戦車の歴史 理論と兵器 (角川ソフィア文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044006815

作品紹介・あらすじ

戦車は、第一次世界大戦のソンム会戦で初めて姿を見せた。それ以来、戦車を抜きにして戦闘を語れないほど、戦場の支配者となった。その裏には、ここにいたるまでの先覚者たちの試行錯誤と苦闘の歴史があった。機甲部隊の運用や戦車戦闘の理念には、年輪が刻まれている。戦車の誕生から、地上戦の主役となるまでの歴史を、イギリス・ドイツ・フランス・ソ連・日本の事情を交えながら解説する、軍事史の古典的名著。解説・加藤聖文

感想・レビュー・書評

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  • 第一次世界大戦時に産声をあげた戦車が、戦間期を経て、第二次世界大戦において陸戦の王者の地位を確立するまでの苦闘の歴史。
    同時に戦車の歴史は、兵器はしょせん道具であり、最終的には使う人、用い方であることを教えているとする。

  • 著者は陸大卒業後陸軍戦車学校教官に就任、太平洋戦争中は各地を転戦し終戦時陸軍中佐。本書のほか『帝国陸軍機甲部隊』や『三八式歩兵銃』などを著すとともに、「第二次世界大戦ブックス」シリーズの多数タイトルを翻訳している(小学生の頃に読んだ父の蔵書ジュークス『モスクワ攻防戦』も著者の翻訳だった)。本書の原本は1977年に出版された『戦車 理論と兵器』、既に「軍事史の古典的名著」(解説)との評価が高い作品である。イギリス、フランス、ドイツ、ソ連、アメリカなど世界の戦車の歴史をたどるとともに、日本についても『帝国陸軍機甲部隊』を補足する形で言及している。戦車の歴史が、第一次世界大戦における発祥から第二次世界大戦のドイツ機甲師団に至る一直線の進化ではなかった点は興味深い。歩兵、騎兵、砲兵を中心とする戦術思想はなかなか改まらず、しばしば戦車は無用の長物とされたり歩兵の付属物としての役割に甘んじた。しかし跛行的に戦車の技術開発と運用研究は進められ、その差が第二次世界大戦において如実に表れる。第一次世界大戦に敗れたドイツは(紆余曲折を経つつ)屈指の装甲部隊を創り上げ、第二次世界大戦が勃発するとドイツ装甲部隊の進撃に驚愕したソ連も装甲部隊を速成する。本書の記述は独ソ戦車戦にソ連が勝利するまでである。そして現代、ロシアはドイツ軍と戦った同じ大地でウクライナ軍と戦っている。しかし、独ソ戦さながらのロシア軍装甲部隊はウクライナ軍のドローンに翻弄され、ロシア兵が遁走したあとに放置された大量のロシア軍戦車は時代の変化を実感させる。「兵器はしょせん道具で、要は使う人であり、戦う人である」という著者の言葉は現代でも変わらないだろう。

  • 「戦車 理論と兵器」の改題(2022/06/25発行、1694E)。角川ソフィア文庫 I418。

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著者プロフィール

加登川 幸太郎(かとがわ・こうたろう):1909-97年。屯田兵の長男として北海道に生まれる。1930年陸軍士官学校歩兵科(42期)卒業、1938年陸軍大学校(50期)卒業。太平洋戦争開始時、陸軍省軍務局軍事課員。第2方面軍、第35軍、第38軍、第13軍の参謀として、ニューギニア、レイテ、仏印、中国を転戦。終戦時中佐。戦後はGHQ戦史課を経て、日本テレビ勤務。戦史研究家として、『三八式歩兵銃――日本陸軍の七十五年』(ちくま学芸文庫)など多数の著書をのこした。

「2023年 『増補改訂 帝国陸軍機甲部隊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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