土佐日記 付現代語訳 (角川文庫 黄 19-1)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 75
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044019013

作品紹介・あらすじ

紀貫之が承平四年一二月に任国土佐を出港し、翌年二月京に戻るまでの旅日記。女性の筆に擬した仮名文学の先駆作品であり、当時の交通や民間信仰の資料としても貴重。底本は自筆本を最もよく伝える青谿書屋本。

感想・レビュー・書評

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  • 男もすなる-と有名な書き出しから始まる旅日記。
    覚えてるいのは「馬のはなむけ」くらいで何が書かれたか知らなかった。

    官位についての赴任とはいえ左遷にも思え、任を終え、土佐から京に帰る嬉しさも束の間、波のせいで旅は55日もかかる。で、昔の舟ってどんな?どんななの?
    ある意味、古の技術はすごいよ。

    安全とも快適とも言えない船旅の寝食や衛生面。
    土佐で子を失って、帰れば家は荒れ放題で、仕事の面でも憤懣やるかたない人生。仮名と女性になり代わりオブラートに包んで55日の旅のみならず人生をも凝縮したものかも。

    解説にあるがこれ以前に仮名序を書いたのだから、意図があってのことに思える。悲哀を感じるも彼は厳しい世間をよく生きとおした人なんだと思う。
    まさに「もののあはれ」。しみじみしちゃった。

  • 当時、貫之がみた海は今と同じものだったのだろうか。

  • 紀貫之の女装日記ということで有名な土佐日記。全編通してきちんと読むのは初めてでした。

    解説に拠れば、女性向けの歌の指導書を意識したのではないか、とか。
    波のようすや松原のうつくしさ、渚の院に素直に感動したり、亡き娘を恋い慕ったり、おおらかにのんびりと日々をつづりつつ、天候や海賊の不安など、当時の航海の容易でないこともうかがえます。
    饗や供物など贈与関係に言及が多かったのが個人的に興味深かったです。かへりごと(返礼)をとても気にしているようでした。

    書き手を擬して、自身を皮肉ったりするところに貫之のユーモアを感じたり。
    文体はわりと素朴な味わい。簡潔で、気楽に読めます。

    本文はともかく歌はまだまだ読みにくいので、要勉強です。

  • 先日、紀貫之の『土佐日記』を図書館で借りて読みました。
    今まで教科書で部分的に読んだことはあったのですが、全体を通して読んだことはありませんでした。
    割と短い話なのですぐに読み終わりました。
    やはり作品は全体を通して読んでみないとその本当の良さは分からないように思います。

    今回読んでみて、『土佐日記』は歌が面白いと思いました。
    子どもの詠む歌は素直でかわいいですし、色々な身分の人が歌を贈答しあうのも風流ですね。
    滅多に歌を詠まない人も宴会では詠んでみたりして、でも誰からも返事がもらえなくてガッカリして帰ってしまったなんてこともあってなかなか面白いです。

    それから、船旅の遅々として進まないことといったら今では考えられないくらいです。雨が降ったらとにかく停泊して、何日も同じ場所から移動できない状態が続きます。
    けれども皆さんのんびりした性格みたいで、呑気に歌なんぞを詠んでいます。そこがまた良いのですけど。

    当時は海が荒れたらそれを鎮めるために海神(ワダツミ)に捧げ物をする風習があったみたいで、ちょっと信じられないですけれど、鏡を捧げた途端に空が晴れて波が静まったなんていうエピソードもありました。
    どうして海神が鏡を好むのかは勉強不足でよく分からないのですが、三種の神器の一つにあるくらいですし、鏡には何か特別な意味があったのでしょうね。

  • 高知などを舞台とした作品です。

  • 10年9月 読書会課題図書②

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著者プロフィール

国学院大学文学部国文科卒業。文学博士。実践女子大学名誉教授。平成5年勲三等瑞宝章を受章。著書に「体系物語文学史」「記紀万葉集の世界」など。

「2002年 『狭衣物語の研究 〔異本文学論編〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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