知っておきたいマルクス「資本論」 (角川ソフィア文庫 N 104-1)
- 角川学芸出版 (2009年5月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044064112
作品紹介・あらすじ
金融危機と世界不況。今日の世界経済は破綻の危機に瀕している。こうなったのはどうしてか。どこにその原因があるのか。資本主義経済の仕組みと矛盾が手にとるようによくわかるマルクス「資本論」入門。
感想・レビュー・書評
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労働力商品の発見というのが資本論の骨子だということをこの本を通じて知った。
驚いたポイント①
資本家が儲かるのは、労働力商品の剰余価値を得ているから。労働者が必要労働以上に働くと剰余価値を産む。剰余価値が生まれると相対的に労働力商品の価値が下がり、資本家のコストが減る。
驚いたポイント②
生産性が上がるほど労働力商品の価値は下がるので、労働者は怠けたほうが得。それを阻止するために評価制度や出来高制など労働者同士を競争環境において労働力強化にインセンティブが働くようになっている。
驚いたポイント③
賃金 = 労働力商品の再生産費(食費、家賃、余暇費、養育費)
賃金は労働力の再生産費である。資本家は生産効率を上げることで、生産数を増やし、市場の物価を引き下げる。物価が下がることで必要な再生産費も下がるため、賃金も下がる。資本家と労働者に格差が生じる。
驚いたポイント④
恐慌は資本にとって労働力不足を周期的に解消する作用を持つ。
資本家が投資を行って生産量を増やす→労働需要が増える=賃金が増える→資本の利潤率が下がる→赤字や倒産する→恐慌により失業者を産む→市場に労働力が溢れる=賃金が下がる→生産量を増やす
この循環を行っている。本来であれば失業者がいない(全員が働いている)ほうが総生産量は増えるはずであるが、失業者がいなくならないのは資本主義という社会システム上、拡大再生産のために必要な予備労働力でその保護のために国が失業保険のような福祉を行う。
以上が自身の理解。
勉強してもう少し深掘りたいし、労働者では資本家に勝てないということがよくわかった。社会主義国家の解体によって福祉の重要性が下がったというのも合点がいく部分があった。
結論としては労働者よ立ち上がれ!!!!!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
+++ ヒットしたフレーズ +++++++++++++++
・使用価値として現れる労働を「有用労働」と名づける。
・「自然素材」に「労働」を加えることによって富をつくっている。
・商品流通とは「商品-貨幣-商品」で等価交換。資本流通(投資)とは「貨幣-商品-貨幣」で価値を増幅させることが目的となる。
・労働力の価値はその再生産費で決まるもので、使用価値とはまったく別。
・必要労働時間分の価値は支払われるから「支払労働」、剰余労働時間分は支払われないので「不払労働」(搾取)とよぶ。
●出来高賃金は労働者に自由感、独立心、自制心を持たせ、他面では労働者相互の競争を発展させる傾向がある。それらもまた生産性を高め、賃金は一時的に増えても、長期的にはもとの水準に戻り、労働強化だけが残る。
・「五公五民」。資本主義以前の剰余価値率(搾取率。剰余労働÷必要労働)は100%。 -
20090807未読返却