物語工学論 キャラクターのつくり方 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044064242

作品紹介・あらすじ

「物語は、どうやって、どこから創ればいいのだろうか?」。『塔の中の姫君』『あぶない賢者』ほか、キャラクターメイキングの七つの類型から、"物語"の構造と本質を解き明かしていく。各キャラクターをゼロから作成できるチャートも掲載。『フルメタル・パニック』の著者・賀東招二氏との対談から、実作上の悩みや注意点などもわかる!"物語"創りのノウハウを様々な角度から吸収できるクリエイター志望者必読の書。

感想・レビュー・書評

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  • お話の作り方に関するもの。
     他の本でも指摘されてゐた、「ラヴロマンスにタイムトラベルが出てくる件」についての考察とか、日本とタイに関する異装の文化とか、古事記の人と(つまりはジャパニーズか!)『シルマリルリオン』のなんかの共通点とか、『デビルマン』はお話を作る際の教材としては普通の作品だけども、参考にしてゐる筈の『キューティーハニー』が、何故か参考にならないと言ふのとか、けっこう面白い。
     この本で、『キャンディキャンディ』がものすごく高く評価されてゐる。

  • 型破りなことをやろうと思ったら、その「型」がどんなものなのかちゃんと勉強しなきゃいけないんです! 各セクションの終わりに、穴埋め式でキャラクターを作るワークシートがあり、「自作キャラが、物語の中でどんな役割を果たすべきか」を設定できる。

  • 本書は物語を創作する人向けに書かれたものといえようが、それにも増して、フィクションを読み解く上での、指針というか、座標軸というものを解説した書といえる。著者の広範な読書遍歴からくる分析は、なかなか説得力がある。

  • 物語大量消費時代の今、パターンの分類と類型に基いて、ほとんどの物語は作られている……物語作者はその理論を手に入れるべし、という流れの一端を担う本。本書では主にキャラの七つの類型について扱う。
     物語理論の解説と具体的な応用、ゲームやネット社会との関係については大塚英志の著作のほうが詳しいと思う。本書はうしろにラノベ作家・賀東招二との対談があり、実作者の感覚を語っているのが面白かった。
     

  •  まず述べておきたいのは、この本は「物語工学論」としては良いのだが、「キャラクターの作り方」としては非常に微妙だということだ。
     社会論的、文化論的、神話論的見地からキャラクターを類型化する内容は非常に興味深いし、多く出典を引く様式は好ましい。例はやや古臭い物が多いが(新しくともエヴァ程度で、前世紀の物ばかりだ)、祖型を探る以上はこれも仕方のないところだろう。
     しかし、既存のキャラを分析するならともかく、魅力的なキャラを想像するためのハウツー本としてはあまり期待できない。祖型を意識してキャラを考えることも、フローチャートに当てはめることも、決して無駄ではない。しかし、本書の中で言う表現を借りれば、「実用的」かについて疑問を覚えるのだ。
     全体的に、抽象的な論じ方がされている点もハウツー本としてはマイナスではなかろうか。工学論という、大学の講義みたいなタイトルには沿っているから、副題が邪魔している印象である。

     創作術としては巻末の賀東招二氏との対談の方が面白い。ただ、こちらも少々グチっぽいところが玉に瑕である。その辺も加味して星三つ半相当と判断した。

  • キャラクター類型から物語の構造を分析する本。
    だいぶ抽象的なところまで収斂して話していくので、7類型の分け方については少ししっくりこないところもあったけど、その分、いかに現代の人間社会に寄り添う物語をつくるかという細部の考察部分がとても興味深かった。
    「物語を作るのって面白そう」「自分もやってみたい」と思わされてしまう。

    最後の賀東さんとの対談も良かった。
    プロットづくりを山登りに喩えて、オリジナリティという幻想がただそのルートの違いにだけあるとする話は分かりやすかった。

  • 物語を作りたい人だけではなく、より作品を深く、分析的に楽しみたい方にオススメ。
    小説や漫画、映画など作品を見る見方が変わります。

    個人的には賀東さんとの対談が楽しかった。

  • 「小説を書きたい」と思っている人に、一番最初に読ませると良いかもしれない。

    エンターテイメント小説のキャラクターや物語を分解すると……という内容なのだけれど、コレの元ネタはハリウッドの脚本術の名著『クリエイティブ脚本術』および、テキスト論的な研究の積み重ねを参考にしているのは明らかなものだと思う。つまり、神話や伝説によるエッセンスが、現代における様々なヒット作品と構造を同じくしている……という例のもの。

    でも、だからといって価値がないかというと、そうでもなくて、ライトノベル作家のカテゴリーの中ではおそらく屈指の書き手である新城カズマさんが、これほど身も蓋もないことを書いたというのは、やはり意味があることだと思う。特に、後半の対談あたりは、現状のライトノベル業界の現状を明け透けに語り合っていてかなり面白い。

    物語を工学的に組み上げられるということを、知っているのと知らないのとでは、天地の差くらいある問題なので、小説を書いている人間はこれで蒙を啓いたほうがいい。あとは、自分のオリジナリティらしきもので、そこそこ形になるわけだから。一方で、コレに頼り切るのも小説書きとしては、いつか限界に突き当たると思う。

  • 巻末の作者が「これは読むべき」という本を紹介しているページと参考文献のページが参考になった。この中から気になったものをいくつか読みたい。

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著者プロフィール

【新城カズマ・作】  生年不詳。作家、架空言語設計家。1991年『蓬莱[ほうらい]学園の初恋!』(富士見書房)でデビュー。『サマー/タイム/トラベラー』(全2巻、早川書房)で第37回星雲賞受賞。現在、大河歴史ロマン〈島津戦記[しまづせんき]/玩物双紙[がんぶつぞうし]〉を鋭意刊行準備中。

「2013年 『ドラゴン株式会社』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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