九鬼周造「いきの構造」 ビギナーズ 日本の思想 (角川ソフィア文庫 G 1-9 ビギナーズ日本の思想)
- 角川学芸出版 (2011年2月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044072223
作品紹介・あらすじ
現代の「おしゃれ」「クール」のルーツといえる江戸好みの美意識「いき」とは何か。日本文化論の傑作として名高い『いきの構造』を、明快な現代文に書き改め、各章ごとに内容を要約、読みどころを解説。読みやすく、かつ理解しやすくした。さらに異端の哲学者と呼ばれた九鬼の波乱に富んだ人生遍歴をたどる「生涯と思想」を付載。『いきの構造』が生み出された背景を明らかにしつつ、時代を超えて読み継がれる魅力の秘密に迫る。
感想・レビュー・書評
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Amazonの「内容(「BOOK」データベースより)」によると「現代の「おしゃれ」「クール」のルーツといえる江戸好みの美意識「いき」とは何か。日本文化論の傑作として名高い『いきの構造』を、明快な現代文に書き改め、各章ごとに内容を要約、読みどころを解説。読みやすく、かつ理解しやすくした。さらに異端の哲学者と呼ばれた九鬼の波乱に富んだ人生遍歴をたどる「生涯と思想」を付載。『いきの構造』が生み出された背景を明らかにしつつ、時代を超えて読み継がれる魅力の秘密に迫る」とのことです。
詠んでみたい。さっそくAmazonに注文しました。
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いきという言葉の意味は、結局時代や見る人の立場によって、様々だということだと思います。
あと、「媚態」「意気地」「諦め」の3要素だけで語るのは、無理があるように感じました。
1.この本を一言で表すと?
・「いき」という日本独特の文化を分析した本
2.よかった点を3〜5つ
・いきな衣装
→湯上りの浴衣姿は媚態、つかず離れず、をよく表していると思う
・九鬼周造の生涯と思想
→「いき」を哲学的に追及する背景をぼんやりだがわかった気がする
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・邦楽における「いき」
→音楽のことは、文章で説明されてもイメージができない。
・「いき」な言葉づかい
→こちらも、イメージができない。どこがいきなのか?
・一口でいえば、媚態のための媚態−恋の成就をめざすのではなく、ただ永遠に成就することのない、恋の駆け引きを生き抜いていくことなのである(p47)
→あまりにも超越しすぎていて、凡人には無理ではないか?
・九鬼が、女遊びが激しかったのは「いき」なのだろうか
3.実践してみようとおもうこと
・とくになし
4.みんなで議論したいこと
・「いき」は異性が存在しないと、ありえないことなのか?同性のみで「いき」はないのだろうか?
5.全体の感想
・日本人としての"いき"という概念の大切さを学べれたきがする
・現代語訳がうまくいっているようで、とても読みやすくなっている
・現代で考える「いき」と本書の「いき」は若干ニュアンスが異なるように思われる
・「いき」というのが、民族性に深くかかわっているということは納得できる
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いき という抽象的で個人的な感覚をここまで概念化させることができる九鬼の手腕に脱帽。感覚的なものを言語化してくれると理解が深まったような気になる。そして、そのことについてもっと知りたくなる。
いきを本当に理解するためには、人がどう感じているかという、いきな行動の奥に潜む意識を感じようとしなければならない…という旨のくだりはとても心に残った。
相手の全てを知ることは出来ないと心得た上で、相手を慮る姿勢に、優しさを感じる。
本書最後の「九鬼の生涯と思想」も内容理解の助けとなった。良書。 -
読んでいて途中、「何を大仰なことを今更!」と思ってしまったが、イキという日本人独自の感覚をここまで論理的に言語化した人もめずらしいなと感心してしまった。
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花柳界をはじめ、日本の大衆文化に息づく「いき」の美学を、欧州で学んだ現代哲学の体系を使って分析。「いき」とは、異性への媚態、意気地、諦めの3要素から成るとした。「日々の暮らし」の中にある、男女の駆け引きを「哲学」に昇華させるアプローチが日本的。
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「いき」は日本の独自文化で、男女のつかず離れずの媚態における「逢瀬の美学」である
人生の50冊 エンジョイライフ ベスト3位
九鬼周造は2013年における大発見でした。
なにしろ日本の遊里における男女の媚態を分析して、
これをフランスで哲学書として成立させるのが、九鬼魔術(マジック)。
白眉は、欧米の類似の恋愛観と比較しながらも、吉原における男女の機微に日本独特の文化的背景を展開するロジックにある。
「いき」は武士道の理想主義である「意気地」と
仏教の脱俗世である「諦観」と密接な内的関係がある。
さらに、関連諸概念として、上品と下品、派手と地味、意気と野暮、渋味と甘味を挙げ、それらでロジカルに概念正方形を形成し、
その中に「いき」を位置づける。
くぅう、これは格好いい!江戸の遊び人、ここに極まり!
人生の目標のひとつが、この大人の遊び感覚、余裕なのです。
いざ、遊びをせんとや生まれけん -
クキさんの書いたイキに関するウィキ。とか、つまんない事言いません。
江戸文化のなかで生まれた「粋」を構造的に分解していく本書。 武士道精神に則る「意気地」が体験を生み、仏教観がもたらす「諦観」が執着を断つ。その狭間にあって、波を乗りこなすサマこそ「粋」という感覚の根幹、というのは大変腹に落ちました。
本来であれば、粋を言葉で語るという行為そのものが野暮ってなもんですが、あえて才人が挑戦した本書は、日本人が持つ特有の精神世界への扉を打ち立てたのではないかと思います。