今昔奇怪録 (角川ホラー文庫 す 3-1)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044094096

作品紹介・あらすじ

町会館の清掃中に本棚で見つけた『今昔奇怪録』という2冊の本。地域の怪異を集めた本のようだが、暇を持て余した私は何気なくそれを手に取り読んでしまう。その帰り、妙につるんとした、顔の殆どが黒目になっている奇怪な子供に遭遇する。そして気がつくと、記憶の一部が抜け落ちているのだった-。第16回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作を含む5編を収録。新たな怪談の名手が紡ぎだす、珠玉の怪異短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 表題作は、ジワジワと侵食されていくような感じが
    怖いというか不気味。
    疱瘡婆は、時代小説風で、なんとも哀しいお話。
    釈迦狂いも、出口のない恐怖ってのがツボだったというか
    こういうのが一番怖い(^◇^;)
    「きも」も、そのままじゃないかぁ~とか思いながらも
    その後が気になって気になって・・・
    最後の狂覚が、どうにもこうにも意味不明。
    自分の理解力の無さに凹みました。

    現実逃避するはずだったのに、出来なかったぁ~
    最後の話は理解できなかったとして、他の作品達は
    面白いというか、上手いですねぇ
    やはりホラーは、元気な時に読まないとダメね

  •  表題の『今昔奇怪録』は不思議な話しである。町会館で偶然見つけた2冊の本、地域の奇怪談を綴るこの本を読むと妖怪が目の前に出現するという奇怪な現象が起こる。過去と現在が交じり合う不思議な感覚を覚えた。

  • 短編集。 表題作の『今昔奇怪録』は番号が抜けてたり記述が無かったりしてたけど自分には意味が分からんかった。なので、もう少し長い話にしてくれた方が自分には良かった気がする。 短編やからか全体的に物足りなかった気がする。それぞれ長編やったら良かったのになぁ。

  • 日本ホラー小説短編賞を受賞した「今昔奇怪録」を含む
    計5作のホラー短篇集。

    現代ホラー、古典ホラー、科学(SF?)ホラー、実験的意欲作など
    同じホラーでもバラエティに富んでいて
    飽きさせない作りになっている。
    どの短編も水準が高くて、あっさり読めるけどハズレがない。

    ■疱瘡婆
    江戸時代に只野真葛によって書かれた「奥州波奈志」に登場する
    妖怪を題材にした話だけど、これが一番怖かった。

    最初は、空き家に住んでいた猫の祟りかと思っていたけど、
    その後疱瘡婆の仕業かと思い直し、
    最後にああ、そういうことだったのねと。
    人間が一番怖いというお話だった。

    ■狂覚(ポンドゥス・アニマエ)
    祟りがあると思われている幽寂庵という屋敷で
    実際に祟りはあるのか被験者が体験していくのを
    干渉者・観察者・統括者の3人が観察していく
    というストーリーで、実験的な作品。

  • なかなか、怖い。話のオチが欲しい気もするが、これはこれで、ゾワッとしたままの気色悪さ、不安定さが、怖さをしみつかせているようにも思う。

  • 「文字化という怖さ」
    伝わる恐怖は連鎖する。
    ライト京極。

  • ふらっと立ち寄った本屋にて表紙買い。
    多様性のある“怪談"を書くのがうまい作者だと思うが、表題作から三番目までは私の好みではなかった。

    まあ怖いっちゃ怖いけど・・・別に取り立てて何か言うこともない、って感じ。

    その代わり「きも」と「狂覚(ポンドゥス・アニマエ)」は気に入った。

    前者はどことなく鈴木光司の「らせん」を思い出した。こういう実験データの挿絵を小説に入れる手法は別段珍しくもなんともないのだが、私が初めてその手法を目にしたのがそれだったからだ。

    で、話しを戻すと、途中の“会話”が怖いんだな。163pの最後4行から165pまでの流れがこわい。「うわっ」っと一歩引いてしまうような後味の悪い怖さだ。
    でもなー、怨霊()のヤマキがそこまで執着するのか?あんまりなっとくいかないなー。でもそれこそが“狂ってしまった”ってことなんだろうか。

    後者の「狂覚(ポンドゥス・アニマエ)」は一番気に入っている。
    実験的要素の多い作品であり、居心地の悪い気味の悪さを感じる。
    夢でも見ているようなフワフワしたイメージだが、この作品はすばらしい。コレがあったから「この本買って良かった~」と思ったもの。


    オチもまた良し。でもこの3.2cmには元ネタあるんだろうか。
    21gは知ってるけど。ダンカン・マクドゥーガル博士だっけ・・・?(そういや映画『21.3g』はなかなか好きだったな。チョコレート・バーと同じ重さの魂・・・)

    同じ作者の本も読む・・・かもな~。狂覚みたいのなら。

  • あっさり、さっぱりした読後感の短編怪談集。

    首ざぶとんが面白かったのでこちらも購入しました。
    すごく感情を揺さぶるというわけではないのだけど
    この作者の書く怪談の雰囲気が好きです。

    一番気に入った話は「きも」。

  • 表題作ほか4作の短編集

    「今昔奇怪録」
    町会館で見つけた「今昔奇怪録」という地域の怪異を纏めた本を見つけた私は不思議な出来事に巻き込まれてく。

    「疱瘡婆」
    疱瘡で娘を亡くした摂津屋の主人であるが、その娘の墓が荒らされた事件が起こる。この出来事を主人の周りの人々は疱瘡婆の仕業と噂する。

    「釋迦狂い」
    釋迦狂いという言葉の元となった出来事を元にしたアトラクションに入った私はお化け屋敷とは思いながらも徐々に恐怖を感じていき...。

    「きも」
    培養器に見知らぬシャーレを発見した渡島。それを先生に見せたところ、普段とは違う様子であったが、いたずらだとして処分するように言うが...。

    「狂感(ポンドゥス・アニマエ)」
    被験者、観察者、干渉者、体験者という4者からのとある実験を描く。

    どの作品もすごい恐怖というものはないもののじわじわとくる。個人的にはもう少し長い方がいいけど、このくらいの方が纏まってていいかもしれない。

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著者プロフィール

朱雀門 出 (すざくもん・いづる)
二〇〇九年「今昔奇怪録」で第一六回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞。実話怪談では『第七脳釘怪談』をはじめとする「脳釘怪談」シリーズほか。共著に「怪談五色」シリーズ、『京都怪談 神隠し』など。

「2022年 『怪談四十九夜 合掌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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