異世界ファンタジーなのに『記紀』がダブる!?
これまでに出会ったひかわ作品のなかで、一番とっつきやすくて楽しめたのが『三剣物語』✧
長いことサンケンモノガタリだと思いこんでいたのですが、あるときミツルギモノガタリでは!? と思い至って調べました。そう、正解はミツルギ! 失礼しました……。
なぜ大和言葉で読むことに気づいたかと申さば(?)、この小説がどこか日本の神話らしさを帯びていると感じていたからです。出現する剣も「神器だね」と思わせる要素が、あるといえばある★
この小説の世界では、九つの浮遊大陸がふわふわ漂っており、主人公の使命はいわば住環境固めにあると言えるのです。何だかイザナギ・イザナミの国造りを彷彿とさせないでしょうか……?
日本の神話なら矛を突き下ろすところ、本作においてその役を担うアイテムは、剣☆ 封印されし三振りの剣<炎の剣><氷の剣><大地の剣>がそろった刻、地の定着が叶うのです。その剣は誰でも扱える物ではなく、<炎の子><水の子><大地の子>という、それぞれ資質を持つ少年少女が手にする必要があります★
その成就を阻もうとする魔王子との間での悶着(?)が描かれています。やたらと艶っぽい悪玉が楽しいのは、ひかわさんの十八番!
紆余曲折を経て、最終的に剣の威力が分かりやすく派手に解き放たれ、描写の壮麗さに魅せられます☆
ちなみに、日本神話の神器<草薙の剣>は、別名<天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)>。天空と緑の大地を結ぶ剣というイメージ、湧くかも……? なんて、自由なこじつけが止まりません★
出てくる登場人物名も地名もカタカナだらけ、きわめて西洋風の小説『三剣物語』。しかし、異世界ファンタジーでありながらも、奇妙にノスタルジックな親しみを感じていました。記紀を思わせることと関係あるのかも……?
考えすぎかなとも思ったのですが、時を経て、あながち関係なくもないと知ることになりました。
関連書籍→https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4487794161