アトムの命題 手塚治虫と戦後まんがの主題 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044191276

作品紹介・あらすじ

2003年4月7日、アトムが生まれた。そしてその日、世界は戦時下にあった…。記号的表現として決して傷つかないまんがキャラクターを、手塚治虫が実際に血を流す存在として描いた時、戦後まんがは始まった。手塚はなぜまんがの登場人物に、リアルな身体と心を与えたのか、なぜアトムは大人になるのを拒んだのか。戦後から現在に至るまで、まんがに流れる「アトムの命題」を解き明かした画期的な評論。

感想・レビュー・書評

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  • 記号に死んだり成長したりする心と身体を与える。そして、その死んだりするからだはキャラクターであり、写実的な絵を与えられた存在ではない。キャラクターというミッキーマウスのような記号〈キャラクター〉が現実的に死亡するというこの不思議な命題をアトムの命題という。そして、このアトムの命題こそ戦後の漫画の始まりだった。漫画を記号のように思っていた現実主義的な手塚治虫にとって、記号に死をもたらすことでしか、漫画として現実的なものには成らなかったのだろう。その矛盾こそ手塚の葛藤であり、芸術性であった。

  • 他の著作で語られてきたアトムの命題のみに焦点を当てた評論。
    表紙が西島大介ってのが面白い。

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著者プロフィール

大塚 英志(おおつか・えいじ):大塚英志(おおつか・えいじ):1958年生まれ。まんが原作者、批評家。神戸芸術工科大学教授、東京大学大学院情報学環特任教授、国際日本文化研究センター教授を歴任。まんが原作に『アンラッキーヤングメン』(KADOKAWA)他多数、評論に『「暮し」のファシズム』(筑摩選書)、『物語消費論』『「おたく」の精神史』(星海社新書)、他多数。

「2023年 『「14歳」少女の構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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