金蘭の王国 月満ちる鏡の里へ (角川ビーンズ文庫 62-6)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044527068

作品紹介・あらすじ

「綺理がよくても、僕が納得できない-」ついに正式な婚約式を行うことになった綺理と冬惺。だが相変わらず恋愛音痴な冬惺相手に、「もう幼なじみの『好き』でもいいかなって…」と笑う綺理を見ると、冬惺の従者・翔波は心穏やかでない。そんな中、化け物に襲われる鏡作の里人が、助けを求めやって来る。化け物を封印するため翔波は、神宝「月氷澄の鏡」継承の儀にのぞむことに。その裏では、敵の若き名将・空騅の影がちらついていて…。

感想・レビュー・書評

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  • 本文64ページより引用
    「・・・ところで真羅。おまえはいつまで壺に入っている気だ?」
     冬惺がつっこむと、真羅は自分が入っている壺をしばし見下ろした。
    「・・・地上には妖道、つまり空間と空間をつなぐ淵妖の通り道が、大小無数にある。だから妖道の出口がそこにありさえすれば、淵妖(わたしたち)は閉ざされた部屋にも入れるのだよ」
    「? そうなんだ」
     綺理はまたたいた。なぜいきなりそんな話になるのだ。
    「この部屋につながる妖道の出口がちょうど壺の中だったので、こうなったのだがね・・・」
    真羅は前足を伸ばし、壺のくびれを外側からぽむと叩く。
    「困ったことに、私のひょうたん水筒がつかえて出られない」
    「・・・・・」
    「・・・子狐。おまえ、実はただの阿呆だろう」
     冬惺は容赦なかった。
    「失敬な。不可抗力と言いたまえ。どうせもときた妖道を戻れば出られーおや、人が来る
     子狐真羅はぴくりと耳を動かすと、壺の中に引っ込んだ。

  • 2010年11月4日

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