子育ての「選択」大全 正解のない時代に親がわが子のためにできる最善のこと

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046057631

作品紹介・あらすじ

0~18歳までの教育的な選択にはどんな意味があり、どんな選択肢があるのか、著者がこれまで取材してきた、世界の教育法、保育施設、習い事、家庭学習、受験と進学のすべてを、わかりやすく解説。さらに最新のキーワードや、知る人ぞ知る注目の選択肢も紹介。「褒めてはダメ?」など子育ての悩みに対する著者のアンサーとなる育児論もまとめた大全。巻頭にとじ込みの「0~18歳までの子育ての『選択』早わかり年表」つき。

感想・レビュー・書評

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  • なるほどなぁと思うことがたくさんです。

    耳障りのいいことだけを並べているわけではないので、中立的な感じがします。

    正解がないから悩むし、迷っているのはうまくいっている証拠、という言葉に救われます。

  • 大全というだけあって、
    幅広く教育関連の内容を網羅。

    様々な理念に基づく世界の教育法や、
    幼稚園保育園など幼少期に過ごす施設のあれこれ、
    習い事やお受験のことなどなど。

    結構知らなかったこと多し。
    さしあたって、幼稚園選びの参考にさせてもらうことにしました。

    天才・将棋の藤井くんはモンテッソーリ教育の幼稚園で過ごしたのだそうな。
    元々備わっていた彼の素質が、自由にのびのび育つきっかけになったんでしょうねえ。
    人生の基礎ともいえる幼少期に、どんなところで過ごし、どんな経験を重ねるのか。
    これって結構大事なんだろうなーなんて思いました。

    最近、わが家の1歳児くんが習い事をスタートしました。
    かわいいわが子のためにいろいろやってあげたいなーという親心がありつつ、
    大切なのは子ども本人の人生。
    これからの子どもの長い人生の幸せを考えていきたいな、とこの本を読んで感じました。

  • 著者は「教育観察者」。その肩書きから、その名の通り、教育にまつわる言葉の「大全」としてこの本をまとめています。

    初めの章で著者が言うとおり、「新しい言葉に過剰反応しない」ために、それぞれがどんなものなのかざっくり知っておくことに役立つと感じました。

    まだ子供が小さいので、後半の受験などはざっくり読みました。細かい塾などの情報はその時期になったら、最新の情報を手に入れたいと思います。が、大事なところは全編通して時がたっても変わらないと思うので大変勉強になりました。

    周りに英語を早期に取り組んでいる人が多くいますが、私としては耳を育てておく程度で、日常生活において日本語学習をしっかりとしてもらうことが大事だと考えました。

    絵本の読み聞かせだけでなく、目を見て大人が物語をする、ということに新たに取り組みたいと思いました。

    何より、子供を観察して、本人にあった環境を提供できるように努めていきたいです。

    以下内容メモです。
    ____
    ⚫︎幼児期
    英語学習は、ツールとしてよりも、母語を相対化する機会として重要だと考える。学習により、日本語の論理的構造に気づける。なので、母語運用能力が完成してから論理的に学習すべき。

    好奇心が発揮されている時、一緒に図鑑で調べましょうと言う本もあるが、頭がいい子になるなどという下心は抱かないほうが良い。
    賢い子ほど下心を見抜き、大人から評価されようと行動してしまう。

    シュタイナー教育は、7歳まで文字や計算を教えない。心や頭を育てる礎の身体が健全に育たないと考えるから。
    絵本読み聞かせはせず、物語を話す。人の話をよく聞くようになる。

    ⚫︎習い事
    プロにならずとも彩りや足腰になればいい。
    ぼーっとする時間を奪わない。
    夢中→上達→挫折→克服のサイクルに意味がある。
    習い事はなんでもいい。才能やセンスがなくてもいい。本人が夢中になれるなら。
    指導者の能力や人柄が大事。
    始める時にやめ時(目標)を決めておく。目標があれば、やめてもポジティブに終われる。

    どんな習い事でも、育成ルートの把握が必要。レベルが上がるとお金や時間がかかっていくものだから。
    サッカー野球などは、地元チームレベルでも指導者には資格が必要になった。

    サッカーは才能を拾い上げる仕組みが最も整っているスポーツの一つ。ユースからプロになったり、ユース選抜から漏れても大学で才能を開花させプロになる人も。

    STEAM教育は、理科系+アート。論理的思考だけでなくAIにない創造的アプローチを可能に。

    将来勝ち組になるために英会話やプログラミングをやらせようという理由では子供は楽しめない。好きなことをやらせるべき。

    ボーイスカウトは異年齢のグループで常に共通の課題に取り組み、組織の中で役割を見つけ、協働しながら探求するプログラム。
    屋外活動だけでなく、奉仕活動も行う。
    ちかい、おきての概念が貴族意識や共同体意識を育む。
    個人の技能を拡大しながら社会の一員としての成熟を追求する生涯教育である。

    ⚫︎家庭学習
    宿題以外の学習習慣を低学年に身につけるべき。
    学校の宿題は全員に一律なので、子どもに合った課題を提供するのが家庭の役割。
    塾までは行かない、学習教室や通信教材がペースメーカーとなる。
    とはいえピアノのようなコツコツ系の習い事だけでも良いと著者は考える。

    ・公文式
    1つの問題を深く考えて理屈で理解することに楽しさを見いだすタイプの子供には、公文式の時間に追われる単純作業は苦痛。算数を理解する楽しさよりも、自分の学年よりもどんどん先の教材進んでいくことに喜びを感じる競争心のつよいタイプの子供に向いている。
    学問的なセンスのある賢い子ほど向いていない一方で、受験的なセンスのある要領の良い子は公文式に置いていると作者は考えている。

    ・玉井式国語的算数教室
    反射反復暗記型の勉強では、高学年で文章題につまずき始める。イメージする力、真の国語力が必要。
    知らない言葉が出たら辞書を引く、読解力をつけたいから読書する、では考える力を奪う。
    低学年のうちは、楽しみながら自由に読書し、書き、日常生活で生き生きとした経験を積むことで、言葉からイメージする力が磨かれる。

    ⚫︎受験
    中高一貫校は、多感な時期に受験を意識せず友人との時間を過ごせるのが良い点。反抗期を満喫できる。

    いろんな塾、予備校があるが、子供にあった環境を提供するのが大事。

    シグマTECHは、中学受験2.0を標榜していて、夕飯を家で食べる生活を維持しながら難関校に合格できる仕組みで指導している。これは中学受験の常識を覆すことになるかもしれない。


  • さて、おおたとしまささんの子育ての「選択」大全を読了した。

    「なぜ勉強をするの?」という問いに対する、「人間は勉強せずにはいられない動物」という回答や、「外国語を学ぶことは母語を相対的に理解すること」など、よくある一般論を本質的に考え直して整理してくれているところが印象的だった。

    人間の可能性を尊重するスタンスで、基本的に子供とは対等に接することを軸としている部分に非常に共感を持てた。

    人間関係の問題の原因でもあるように、相手をよく観察して、相手の立場も理解した上で、自分の意見を相手が理解しやすい形で伝えることや、自分が受け取る場合も最大限に受け取る姿勢や理解を示すことが、子供との関係性や成長を促す上でとても大切なのではないかと思う。

    大前提として、個人的には親に精神的な余裕がないとそのような対応をすることは難しいと感じるので、先ずは親自身が自分を客観的に観察することや、自分の家庭を相対的に見ることなど、子供と向き合う前の準備も必要だと感じる。

    「子育て」にフォーカスせず、すべては繋がっているので、俯瞰的に物事を見て子供とも関わりたいところだ。

  • 子どもの教育上の選択肢についてどのようなものがあるか、広く知ることができた。
    著者が特定のものをすすめることもなく、フラットにさまざまな情報を得ることができる。
    教育法がどんな経緯で生まれたのかも簡単に記されており、興味深かった。
    いつの時代も、大人たちはよりよい教育を子どもに授けようとしていて、 それぞれの場所や背景のもとで生まれていったのだなあと感じた。
    教育理念も掲載されているので頭に入りやすかった。

    モンテッソーリ教育をしたから天才が育つのでなく、 そういった教育が、彼らの素質が自由に伸びるのを邪魔しなかった、という文が新鮮だった。
    本来そこに重点があるはずだけれど、そういったことを踏まえずに表面的なノウハウから取り入れてしまいがち。

    子どもがどんな素養を持っていて、どういう方向に育っていきたいかは、子どもが教えてくれるんですね。
    「有名な教育手法に沿って育てればいい」ということでなく、 この子どもにあったペースや環境は何か?ということを、子どもの様子からすくいとり、選択肢を用意する。
    教育者ではない、けれど子どもの一番近くにいる自分にできることはそういうことかもしれないな、と思わせてくれる本でした。

  • 習い事や受験など
    子育て期に迫られる様々な選択について
    広く学ぶことのできる本。
    概要を捉えるのに役立った。

  • かなり幅広く書かれていて、タイトル通りの本だと思う。ただ、一般的な若いお母さんたちには少し難しいかなという印象。

  • 中学受験考えてなかったが、自分のときの常識とはかなり違っていることをこの本を読んで知った。
    何事も知識のアップデートは不可欠であることを再認識

  • 子育てには色々の選択があり、選択があること自体恵まれているのだと思いました。
    先の見えない時代だからこそ、どんな選択肢があるのかだけでも知っておくことは悪くないし、その選択肢が変わるかもしれないことを知った。

  • 特に学びになったのは2点

    ・習い事を始めるときに、やめどきを決めておく(p157)習い事はネガティブな理由でやめることが圧倒的に多い。ここまでできたら続けるか考え直す、というやめどきを設定しておくことで、達成感を持ってやめることができる

    ・「遊び」は好奇心から来る学び(p58、p363他)
    大人にとっていたずらに見える行動も、子どもにとっては学びの過程。例えば、りんごを手でぐちゃぐちゃに潰すのは五感を使って認識しようとしてる。
    大人の視点でも問題のある行動と決めつけ叱る/禁止するのではなく、好奇心を満たすより良い提案をするのが建設的。

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著者プロフィール

おおたとしまさ:教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。リクルートで雑誌編集に携わり、2005年に独立後、数々の育児・教育誌のデスク・監修・企画・編集を務め、現在は教育に関する書籍執筆および新聞・雑誌・webメディアへの寄稿を行う。テレビ・ラジオなどへの出演や講演も多数。心理カウンセラーとしての活動経験、中高の教員免許、私立小学校での教員経験もある。著書は『ルポ名門校』(ちくま新書)、『勇者たちの中学受験』(大和書房)、『不登校でも学べる』(集英社新書)など80冊以上。オフィシャルサイト:http://toshimasaota.jp


「2024年 『学校に染まるな!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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