角川つばさ文庫版 母さんがどんなに僕を嫌いでも

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046318275

作品紹介・あらすじ

ぼくの家は、下町の工場だ。
ぼくはそこで働くみんなに、かわいがられて育った。
でも、ある日、ぼくは遠くの児童保護施設に
あずけられてしまった。
さびしい1年間を我慢して、やっと家に帰ってこられたけど
それからの暮らしは、地獄みたいで…。
ぼくはもう、ここにはいたくない。
家を出て、大好きな人を、ほんとうの居場所を見つけたい。
自分の力で、幸せになるんだ――!
親から愛されなかった少年が
苦難にめげず、幸せをつかむまでの、感動の実話。

感想・レビュー・書評

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  • R2.4.1 読了。

     一昨年、同名映画が公開された。タイトルだけ見て、気になっていた作品ではあったが、テーマが重く感じていて手を出せないでいたところ、角川つばさ文庫からも発行されていることを知って購入した。
     読んでみて、虐待やいじめなどの描写は私の心を苦しくして、なかなか読み進められなかった。
     主人公は社会に出てから友人に恵まれて生きる場所も見つけられて本当に良かったと思う。そしてその後、友人の助言もあって、自分を虐待していた母親の立場や生い立ちを理解しようと努めます。また、その事を踏まえて母親に寄り添うという選択したことは、すごいことだと思う。尊敬します。母親から「あんたなんか産まなきゃよかった。」と言われ続けていた主人公が母親から「ありがとう。あんたがいて、よかった。」と言ってもらえて、本当に良かった。最後まで読んで良かったと思う。
     しかし、この本は子供にとって刺激が強すぎる気もするが…。

    ・「未来を自分で選べる、選んでいいんだって、そう思えるようになったんです。僕の過去は真っ暗闇だったけれど、もう、そうじゃない。未来はきっと、暗闇なんかじゃない。暗闇じゃないものを選んでいけばいいんだって、そう思うことができたんです。」
    ・「心の傷は、たしかにある。なにもかも、なかったことにはできない。でも、傷に固執して、傷を抱えこみ、傷を手ばなすまいとしてきた自分がいることもたしかだ。生きづらいと感じることがあると、なにもかもを傷のせいにしてしまおうとしてきた。だから、傷を手ばなせなかったんだ。」
    ・「心を強くする方法は、いい思い出や楽しい思い出を、たくさん作ることなんだって。楽しい思い出がいっぱいある人は、かんたんに人生に絶望したりしません。つらいことがあっても、つらいことばっかりつづくわけではないことがわかっているからです。」
    ・「理解っていうのはね、気づいたほうからするものなんだよ。理解が必要だって気づいたほうからするものなの。そうじゃなかったら、理解しあうなんて永遠にむりじゃん。」
    ・「人間にはしょっぱい部分も苦い部分もあるのですから、理解しようとすればするほどしょっぱかったり苦かったりするのはとうぜんです。しょっぱさや苦さを味わってこそ、理解なのです。」
    ・「母から逃げることはできても、記憶からは逃げることはできなかった。体の傷が消えないように、心の傷もなかったことにはできなかった。ならば、傷がぜんぶ誇りに変わるような新しい記憶を作るしかない。それができたら、僕は変われるだろう。堂々と、これが僕だって言える自分に。」
    ・「ほんの10年、20年たてば、想像もつかなかった景色の中を歩くことになります。」
    ・「大好きなことが、なにかひとつあるといいなって、僕は思うんです。大好きなことは、希望を与えつづけてくれます。つねに『生きろ』という声を自分に届けてくれるんです。」

  • ノンフィクションの児童書。
    タイトルから分かる様な辛い内容だけど、わりと淡々とサラっと書かれてるように感じるのは児童書だからかな?
    子どもは母親からどんな辛い目にあわされても、母親の事を求めてしまう。
    これも実話だったけど、こういう思いをしてる子たちがいると思うと胸が痛む。
    最後、もうほっとけばいいのにと思ったけど、やっぱり見捨てられないもんなんですね。
    待ってた言葉が聞けて良かった。

  • 漫画版のノベライズ。

    壮絶な育て方をされた筆者が人生をサバイブする姿に引き込まれる。

    憎んでいた育った母の背景を理解することで、虐待の連鎖に気付く。母親も自己肯定感がなかった。

    肉親の愛憎、大人の絶対的な力の中で親の虐待が起こってしまうということがリアルにわかる。

    そんななか、主人公はきちんと生き抜いていく。
    主人公が自己肯定できる生命力がすばらしい。

  • 心に残るほどいい物語でした

  • 子供にねだられて購入。
    子供向けなので、小一時間程で読了。
    心が受けた暴力は傷が見えにくく、自分でも気づきにくい。
    主人公に寄り添って理解してくれる大人と友達がいて、本当に良かった。我が子に、もっと愛情を持って接したいと反省。

  • ペンネーム:mii
    胸がとても苦しい。どんなことをされようとやはり子どもにとって親は特別な存在なんだろう。私たちは講義として虐待のことを聞いているが、自分の体験を書いてくれているものを読むと、どれだけ学んでも足りないと感じる。無くなる問題ではないだろうけれど、それに直面したとき、ちゃんと向き合える強さが欲しい。そのためにも今しっかりと学んでいきたい。自分を奮い立たせる一冊だった。

    姫路大学附属図書館の蔵書を確認する→
    所蔵無し(掲載当時)

  • 心が痛い
    そうだろうな~~と思っていても
    やっぱり痛い
    途中で折れなくてよかったねえ~~と
    つくづく思う

  • 号泣しました

  • とてもかわいそうな話です。

    人には優しく子に厳しく…
    本当に読む人までが悲しい,辛いお話です

  • ちょっと前に映画化されてましたね。吉田羊さんがこわい母親役で。
    どんな親でも子供のためなら何でもできるとか、子供をかわいく思わない親はいないとか、そんなことを言われたら、虐待される子供は自分が悪いと思うしかありません。すべての親はそうではないということをもっと世の中に知らせていくためにも、児童書として普及することが望まれる本です。
     よくがんばったね。

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著者プロフィール

1日10万アクセスをカウントする人気ブログ「ゲイです、ほぼ夫婦です」の著者。リクルート社員時代に全国紙の一面を使った広告でゲイをカミングアウトし、話題に。その後「オールアバウト」の同性愛カテゴリを担当し、圧倒的人気を博す。自身の壮絶な生育歴を、ドラマティックに描いたコミックエッセイ『母さんがどんなに僕を嫌いでも』『母の形見は借金地獄』のほか、ゲイライフの日常を切りとったコミック『ジリラブ!』など。老若男女、セクシャリティを問わず多くの熱烈なファンをもつ。

「2018年 『角川つばさ文庫版 母さんがどんなに僕を嫌いでも』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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