ジンメンソウといっしょ 1 (MFC)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (162ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046805607

作品紹介・あらすじ

朝起きたら、顔に無数の人面瘡(ジンメンソウ)ができていた――。
「こんなん……どうメイクしろっつーんだよ!?」

ジンメンソウたちは、どうやら3つの特徴がある様子。

ひとつ、どうやら意思がある。
ふたつ、痛覚が繋がっている。
みっつ、飼い主を守ってくれる…!?

寄生された側の人間である
強メンタルの持ち主・トモエは
ジンメンソウをまったく気にしないまま、
いつも通りの生活を送るようで……。

気鋭・寺田亜太朗が紡ぐ
ちょっと不気味で、すこし不思議な、ジンメンソウたちとの共生生活を覗いてみませんか?

※集合体恐怖症のかたはご注意ください。

感想・レビュー・書評

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  • 何度も言っている気はするが、やはり、漫画読みとして、最高の幸せを感じられるのは、自分が楽しめて、なおかつ、他の人にも読んで欲しい、と心の底から思える漫画と出逢える事だろう。私が、ここで紹介している漫画は、そう感じる作品ばかりなので、何だかんだで、私は不幸ではないのかも知れない。
    まぁ、私のお気楽な自己評価はさておき、この『ジンメンソウといっしょ』は表紙とタイトルから、いきなり、読み手に衝撃をブッ込んでくる漫画だが、内容はそれら以上に強烈なので、注意されたし。
    ホラーではない・・・気はする。正直なとこ、私も、何を以て、ホラー漫画とするか、は完璧な判断は出来ないのだけど、少なくとも、ガチなホラー漫画ではない。ちなみに、ガチなホラー漫画を楽しみたい方には、山田J太先生の『エコエコアザラクREBORN』がお勧めだ。
    タイトルと表紙からも解かる通り、この作品に登場する怪異は人面瘡。様々なタイプがあるが、この『ジンメンソウといっしょ』でヒロインの顔に出現した人面瘡は、怖いっつーより、キモカワ系。まぁ、この見た目に騙されたなぁ、と思うようなシーンはあった。
    ジンメンソウ達(?)のリアクションも、ちょいちょい、可愛かったりする。特に、アイスを食べた時の笑顔や、もう一口をせがむ様、ダメだと言われてショックを受ける部分など、不覚にも、ほんわかしてしまった。
    ただ、このキモカワ系人面瘡より、私が「怖っ」と思ったのは、ヒロイン・トモエさん。麗若き美女が、いきなり、人面瘡に寄生されたら、絶望のどん底に叩き落とされ、家から出れなくなり、最悪の場合、自殺すら選んでしまうだろう。自殺はダメだと思うが、これが理由だと、仕方ないかなぁ、とは思ってしまうなァ。
    しかし、このトモエさんは、そんな常識から大きく逸脱している。さすがに、この事態にはビックリしていたが、すぐに受け入れ、これまで通りの生活を続けているのだ。ここまで、鬼メンタルだと、怖さもすっ飛ばし、尊敬の念すら覚えてしまうものだ。
    当然と言えば当然だが、そんなトモエさんの顔に、周りの人間はビクビクしながらも、浅はかな好奇心や侮蔑が混じった視線を注ぐ。卑劣とまではいかないにしろ、うざったさすら感じる周りの反応にイライラさせられながらも、自分を見失わないトモエさん、こう、性別を凌駕した格好良さがある。
    そんな格好良さにハートを撃ち抜かれる、拗れた性癖持ちの男性キャラが、ちょいちょい出てくる点も、実に面白かった。
    これから、どうなっていくのか、実に気になる。何故、トモエさんが、ジンメンソウに取り憑かれる事になったのか、その辺りは完全に明かされてないが、ぶっちゃけ、この辺りはボヤけたままでもいいかな、と思ってる。ただただ、私はトモエさんのゴン攻めな、ジンメンソウとの共生生活だけを見て、彼女の美しさに惚れ惚れしたいだけなので・・・いや、違いますよ、私は歪んでないですよ?!

    この台詞を引用に選んだのは、特にトモエさんの精神的な強さが出ているなぁ、と感じられるものだったので。
    一応、先に言っておくと、トモエさんだって、時には、人並みに、他人の反応で心が傷付く事だってあるし、悲しい気持ちが芽生えることだってある。
    ただ、彼女はそんな時こそ、笑って、怒って、楽しんで、悲しみだけで心を一杯にしない。
    自分に差し迫る理不尽さや他人の悪意に屈せず、「何だ、この野郎」と真正面から睨み合い、殴り返せる。
    負けん気が強い性格なのだろう、トモエさんは。他人に負ける事よりも、他人からの評価で、自分の価値を決めつけ、自分自身を乗り越えられない弱さを許せないタイプなんだろうか。
    世の中の女性すべてが、これほどまでの強さを心に持つのは、正直、厳しいだろう。
    ただ、私が会社員なら、トモエさんのような女傑の下で働き、自分を磨きたい。
    まぁ、恋心を抱けるか、は微妙。人面瘡がどうこうって話じゃない、念の為に言っておくと。
    一瞬は「好きなのか?」と考えるんだけど、トモエさんに自分が釣り合うか、変に悩んでしまい、恋心よりも敬慕の念の方が強くなってしまいそうだ。
    多分、そうなったら、恋愛対象としては見られなくなり、この人をもっと出世させるために働こうってやる気になっちゃうだろう。
    なので、(2)では、トモエさんに恋愛展開が起きたら、一ファンとして嬉しい。
    それこそ、トモエさんのように、人面瘡に憑依されているのに、まったく気にしないで生活している人間と出逢えたら、面白くなりそうかな?
    「・・・恨みねぇ。痴漢にあってた女の子助けて男連行したとか、ニヤけた上司のパワハラに反抗してクビになったりしたけど・・・もし、それで呪われんなら逆恨みだよ。アタシがコソコソする理由はない」(byトモエさん)

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著者プロフィール

2014年、『青春の幽霊』にてアフタヌーン四季賞審査員特別賞(夏)、『星の難破船』にて同賞準入選(冬)。以後、『ゲダラ』(「goodアフタヌーン」)、『ムシンはツッコまれたい』『悪魔のおしごと!』(サンデーうぇぶり)、『吸血鬼は草食系』(「週刊少年チャンピオン」)、『なりかわり☆ミカガちゃん』(「少年ジャンプ+」)など各媒体に作品を発表。単行本に『あやつき』(「アフタヌーン」)全3巻、『ジンメンソウといっしょ』(KADOKAWA)。『猫を拾った話。』で、「次にくるマンガ大賞2020」WEBマンガ部門ノミネート。


「2022年 『猫を拾った話。(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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