ラ・マキユーズ~ヴェルサイユの化粧師~ 3 (BRIDGE COMICS)
- KADOKAWA (2022年2月8日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046811172
作品紹介・あらすじ
琉花たちの技術は国をも動かす危険なものとして国内外の実力者の間で囁かれ始めていた。そんなある日、琉花とレオナールは突然何者かに国外に連れ去られてしまう。呼び寄せられた先はヨーロッパにおいて強大な権力を保持するハプスブルグ家の領内だった。21世紀の技術と知識でも到底太刀打ちできない依頼を前に困惑する琉花。しかし、その家ではもうひとつ、歴史をも揺るがす重大なトラブルを抱えていて――?
治せなければ、歴史が変わる――?歴史×化粧の本格派タイムスリップ浪漫、第3巻!!
感想・レビュー・書評
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前巻ラストの展開からマリー・アントワネットに関わっていく事になるのだろうと予想していたけど、ここまでガッツリ関わるとは思わなかった。というか、フランスを出国してオーストリアに連れ去られてしまってるじゃないか!
2巻ではルカの不自然さに目を留めたリシュリュー公爵によってルカは窮地に陥りかけた。それはレオナールの助けによって脱する事が出来たけど、その一件が示したのはルカが持つ魔法の化粧術が本人が思っている以上に要人の目に留まっているという点
つまりは厳重にも程があるような注意が必要だった筈なのだけど、相手はルカの想定を遥かに上回る早さで手を出してきたようで
それにしたってヴェルサイユへの迎えのフリをして国外へ連れ出してしまうなんてあまりにもあまりな方法だったけどさ
そうしてルカが関わることになったのはオーストリア・ハプスブルク家の内情。いずれ関わるだろうと思われた運命の中心に早くも関わり始めてしまった
そこでルカに提示された問題は2種類プラスαと言ったところか。マリア・エリーザベトの疱瘡跡、マリア・アントニア(アントワネット)の裂傷、そして不遇のマリア・アンナ……
どれも大きな問題だけど、結局ルカに出来るのは化粧に拠って見た目をどうにかするという領域だけ。根源的な治療行為までは行えない。だから現実的に対処が可能なマリア・アントニアへの対応に切り替えるわけだけど……
オーストリア・ハプスブルク家の女性たちを支配しているのは美しくなければ存在を許されないという価値観
過去のフランスに来てからは現代と異なる男女格差に幾度も驚かされたルカだけど、今回のはとびっきりの事案
美を否定する疱瘡跡を持つからマリア・エリーザベトの心は歪み、そして才知豊かなマリア・アンナも曲がった背筋に拠ってその力を十全に活かすことが出来ない
そういった意味ではまだどうにかしようがあるマリア・アントニアの傷を治癒し、その美を未来へ繋げたルカの功績は評価されて然るべき
けれど、未来を思えば、ここでマリア・エリーザベトを助けず、マリー・アントワネットだけを助けたのは歴史の針を進めたに等しい行為と捉えることも可能かもしれない
これまでは自分の生活を保証する為に化粧を施してきたルカ。でも今回の一件は彼女が考えている以上に歴史の奥深くに関わる案件となってしまったのかもしれないね詳細をみるコメント0件をすべて表示