ギリシア神話入門 プロメテウスとオイディプスの謎を解く (角川選書 393)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047033931

作品紹介・あらすじ

朝は四本足、昼は二本足、晩には三本足で歩くものは?-それは人間だ。女怪スピンクスが出した謎に、英雄オイディプスはこう答えた。だがこの有名な問答は、ギリシア語の原典には見当たらない。スピンクスはどのような謎かけをし、オイディプスはどう答えたのか。さまざまな神話の原典を読み解き、ギリシア神話に描かれた人間の本質に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • この本が特に面白いと思える点は、通俗のギリシャ神話が実は解釈しだいでいくらでもその物語の意味付けを変容させるということだろう。
    紀元前のアテネ市民の歴史背景が神話にいかなる影を落とし、今日まで繋がる「物語」の変遷を辿ったかを綴る、極めて興のそそられる本。

    特にオイディプス神話に込めたソフォクレスの精神のくだりは、往年の傑作マンガ「デビルマン」の元型を髣髴させ、矛盾と倒錯に満ちたそた混沌の中で人足らんとするその精神性が、いかなる困難と抒情に満ちたものであるかを描写する。

    欠点は重複描写があまりに多いことではないかな、と。

  • ギリシア神話の中でも特に有名なプロメテウスと、オイディプスの悲劇を、時代順にテキストが書かれた社会の状況とともに詳説しています。
    「入門」となっていますが、神話のあらすじに終始せず、多義的な語彙の解説などテキストの読みに踏み込んだ記述もあって、読み応えがあります。
    古典ギリシア語やギリシア神話の解釈について知識のある人にも新しい発見があるのではないでしょうか。(わたしは不勉強にして、著者の解釈の妥当性・新しさはよくわからなかったのですが、たぶんきっとすごいに違いないと思います。)
    ただ・・・「入門」としているので仕方がないのかとは思いますが、語彙の解説をするとき、ギリシア語をカタカナで書くのは意味がないと思います。カタカナだけ示されても辞書は引けないので・・・。

  • 1600

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著者プロフィール

1960年、大阪府生まれ。
1988年、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。
2006年、京都大学「博士(教育学)」(論文博士)。
現在、大阪府立大学大学院教授(2022年4月より、大阪公立大学大学院現代システム科学研究科/現代システム科学域教育福祉学類所属)。

日本ホリスティック教育/ケア学会前会長。日本ユネスコ協会連盟理事。日本シュタイナー学校協会専門会員。京田辺シュタイナー学校顧問。

主な著作(単著)
『ホリスティック教育論:日本の動向と思想の地平』日本評論社。『ブーバー対話論とホリスティック教育:他者・呼びかけ・応答』勁草書房。『世界のホリスティック教育:もうひとつの持続可能な未来へ』日本評論社。『世界が変わる学び:ホリスティック/シュタイナー/オルタナティブ』ミネルヴァ書房。
(共編著)
『いのちに根ざす日本のシュタイナー教育』、『ホリスティックな気づきと学び』、『ホリスティック教育入門』、『持続可能な教育と文化:深化する環太平洋のESD』、『ホリスティック・ケア:新たなつながりの中の看護・福祉・教育』―以上、せせらぎ出版、ほか。(共著)『変容する世界と日本のオルタナティブ教育』(永田佳之編)世織書房、『ケアと人間:心理・教育・宗教』(西平直編)ミネルヴァ書房、ほか多数。

「2022年 『教育のオルタナティブ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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