- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047036796
作品紹介・あらすじ
「異常豊漁は地震の前兆」「庭の南天は災いを避ける」――。わたしたちの身辺でとりざたされる俗信には、災厄の予兆を感知し、日々の不安を除く生活の知と技がこめられている。さりげない日常に息づいた、庶民の想像力と心のくせが凝縮した言い伝えといえるだろう。家屋敷、生活道具、自然災害にまつわる膨大な俗信資料を整理し、悪霊・境界・流言などについて、伝承の背後に広がる民俗世界とその意味をさぐる。
感想・レビュー・書評
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民俗学者で学校の怪談の父でもある常光徹さんの著書をついに読む。
なんどもAmazonでおすすめに出てきた「魔除けの民俗学」だ。
読んでみると、角川選書なので当たり前かもしれないが、とても学術的な文章なので、読むのに時間がかかるところもしばしば。
多くは要約を解説してくれているけど、昔の言葉や漢文は今もあまり慣れない…。
魔除け、縁起が悪い/良いことを、とことん掘り下げて考察を丁寧にくわえている。
共通することは、「境界」。
家のウチとソト だけでなく、屋根、棟、囲炉裏の鉤、井戸
箒、蓑、鍋蓋、柄杓は、死と生誕が隣り合っており、やり方だけが違う。どちらも人間の生の世界と死のあの世の境目から引き出したり引き戻したりする役割と見られていたようだ。
俗信は、それだけでは「カラスがなくと死人が出る」などなんの根拠もない迷信で終わってしまうが、掘り下げていくと基盤となる信仰や暮らし、習俗が横たわっている。この重要性にいち早く気づいた柳田國男先生を改めて尊敬する。
最後に、地名にあまり詳しくないので時々地図を見ながら読むのだが、旧地名と現在の地名が併記されているのは非常にありがたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
はじめにー俗信と魔除け
Ⅰ 家屋敷と俗信
第1章 生死と境界の空間―屋根と床下
第2章 植物と家の盛衰―庭木の吉凶
第3章 他界への出入り口―井戸
Ⅱ 生活道具と俗信
第1章 人生の節目を表象―箒
第2章 祓う・拒む・鎮める―箕
第3章 禁忌と魔除けの呪具―鍋
第4章 欺く・招く・乞う―柄杓
Ⅲ 災害と俗信
第1章 地震と唱え言
第2章 幕末土佐の人と動物―『真覚寺日記』から
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