サムライと英語 (角川oneテーマ21 B 57)

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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047041653

感想・レビュー・書評

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  •  Samuraiは「戦う人」だけでなく、「深い教養と崇高な精神性を持つ人格者」という響きを持っている。幕末・明治期のサムライたちの英語との出会い。4つのステップを踏んでいった。①言葉を学ぶ ②外国の文化を理解する ③自国の文化を捉え直す ④自己を再発見していく。異文化コミュニケーションとは、自国文化の再発見と自己の再発見。明石康「サムライと英語」、2004.5発行。ウクライナの人々を支援するには、この異文化コミュニケーションのプロセスがとても大切だと思いました。

  • ペリーが来航して幕末が始まった頃からの日本人の英語および異文化とのかかわりについて、歴史を紐解きながら考える1冊。日本を長年支配した「武士道」精神を持つ武士が英語(欧米文化)と出会ったとき、どういう行動を取ったか。明治の開国と西洋文明化には批判的な意見もあるが、当時の武士たちが、他国による「植民地化」を避けるために奔走がうかがわれる。
    今のように日本語で書かれた英語学習本が存在しない時代、サムライたちは英語を英語で学ぶしかなかった。だからこそ、もしかしたら当時の人たちの方が英語力には優れていたのかもしれない。新渡戸稲造が「Bushido」を著した頃の日本では、すでに「英語を道具として日本を伝えたい」という心意気みたいなものが育っていたようだ。でも今の日本では「英語で何かをしよう」とするのではなく、「英語ができるようになること自体が目的になっているように感じる」と著者の明石氏は言う。

  • 日本に黒船が来航して以来、サムライたちは急速に英語を学び始めます。彼らはほとんど未知の言語にどう対応したのでしょうか。言葉の学び始めならではの笑い話も入っており、所々でくすりと笑ってしまいます。慣れない英語を駆使しながらも巧みなサムライたちの外交センスや駆け引きに感服しました。

  • アーーーーー

  • 英語でしゃべらナイトの取材班が作った1冊なので、どちらかというと歴史本ではないんですが、内容が非常に面白いのでご紹介。いわば「英語を通して見た幕末維新」がここにあります。歴史本でないだけに読みやすく、くだけていて面白い。新しい発見がきっとあるはずです。

  • 黒船来航以来、眼の色を変えてABCを学んだお侍さん達の話。ちょっと気になることがあって再読しました。
    当時の侍が書いた立派な英文なんかも載ってます。何百年も前、ネットも飛行機も英会話教室も無い時代、ちょんまげ頭のお侍さんがこれだけの英語を習得できたのかと思うと、なんというか英語学習にも身が入るというものです。

    以下は性懲りもなく妄想です。

    さて、当時の社会の中でお侍さんと言うと、経済力や権力は無いけど人々から尊敬される人達、というポジションだったのですが、江戸時代という泰平の世を迎えて、お侍さん達は戦という、社会の中で威信を保つための場を失ってしまうのでした。ただ、威信を失った地点で侍は侍ではなくなるというわけで、江戸時代のお侍さん達は一斉に学問を修め、人格を磨いて、人の上に立つだけの資格を得ようとしたのです。かくして江戸時代の学問の担い手はお侍さん達、という戦闘専門職がまさかの転身?を遂げたのでした。

    当時の侍の英語学習スピードが凄まじかったのは、そんな背景により、蘭学や蘭語を中心とした西洋の学問の素養があったからだそうな。ということは、「侍」が経済力や権力も伴う社会的地位であれば、戦闘専門職・国防職という立場が形骸化したところで一斉に学問に励むこともなかったでしょうし、言いかえれば当時の地位非一貫性がその後のスムーズな欧米文化の受け入れを可能にしたわけで、ここらへんにも当時の日本社会の一つの利があるような気がするんですが、どないでしょう。

    そう言えばこの前、日本料理がフランス料理と違って個々の職人の専門性が高いのは、地位非一貫性のせいだとかなんとかいう話をどっかでみたような…


    それにしても侍という言葉ときたら、逆輸入した辺りでややこしくなってるんかしらん。誰か言葉の定義の学び方を教えてください。


    あれ、これレビューじゃなくね?

  • 言葉を学ぶのは、世界の異なる価値観を知るためである。
    言葉というものは、あくまでコミュニケーションをはかり、知識を得るための道具である。そのためには、言葉を学ぶ力だけではなく、繊細な心や想像力が必要だと思う。錚々たる文化や、文学、哲学、宗教観など、様々な分野で言語を超えた理解が必要である。言葉に反映しているそれらの文化を尊重し、興味を持って学ぶようにする態度こそ必要だ。
    忘れてはならないのは、こうした他国の異文化を十分に吸収するためには、自国の文化も知らなくてはならないということだ。我が国の歴史や文化、古典や社会について理解していなかったら、異文化を理解するための座標軸がない。
    むしろ大切なのは、一つ一つの言葉の選び方、言葉に対する鋭敏な感覚である。ある文脈の中で、どのような言葉を選び、どのように並べて表現すれば、相手をより説得できるか。

    よき国際人とは、よき日本人なのである。

    改革というものは、押しつけてはいけない。

  • 幕末から明治、第二次大戦後、IT革命(ポストバブル)後という3つの時期に、日本人は国際化、とりわけ英語を身につける必要性に迫られた。

    この中で、とりわけ幕末のサムライは英語習得能力が高かった。当然、アメリカとイギリスと交渉しなければ日本が軍事制圧されるという危機的状況はあるが、彼らの語学習得能力の高さの要因として、サムライの根底に根ざしている「武士道」があると考えられる。

    ・教養の高い高潔な人物を是とする武士道に通じていたため、サムライは向学心が強かった
    ・交通/通信手段がなかったことや身分制度により、コミュニケーションの多くを手紙(文書)によって行っていたため、自分の思いを言語化する能力が極めて高かった
    ・武士道という極めて強力のアイデンティティ・価値感があったために、異文化・異国と触れたときに、「自分と違う部分」を明確に認識できた

    どれも現代を生きる我々(自分?)に欠けているものばかり。学習用の教材がどれだけあっても、最も大事な部分はこういう部分を持っておかないといけないと自省した。

  • 気になって購入。
    侍と英語の関係を臨場感たっぷりに楽しめます。
    昔の人は偉いね。

  •  江戸時代の「サムライ」たちが、どのように英語と出会い、英語を学んでいったのかという話を切り口にして、日本・日本人とは、異文化間コミュニケーションとは、といった問題に掘り下げて分析した本。英語そのものの話ではなく、英語の学び方やコミュニケーションのあり方に示唆を与える本になっている。
     黒船が来航したときの通詞であった堀達之助の話、咸臨丸でアメリカにわたった福沢諭吉の話、『武士道』の新渡戸稲造の話などがとても興味深く、面白かった。『武士道』は一度読んでみないといけないと思った。(09/04/16)
     

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