野村再生工場 ――叱り方、褒め方、教え方 (角川oneテーマ21 A 86)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
3.68
  • (60)
  • (123)
  • (123)
  • (12)
  • (5)
本棚登録 : 832
感想 : 99
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047101517

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 野球は、かくも頭を使うスポーツだったのかと驚き。野球素人で、勝った負けたしか解らなかったのだけど、人をどうやって育成し、育成も考え使っていくのか目から鱗が落ちた。
    一方で、一般の会社でも同じようなことが言える。人を使うには、機会を与え、その人が気づくまで待つ。この待つと言うことはとても大変なことで、どうしても出しゃばってしまうのだが、これからは頑張って待つことにしよう。

  • 野村さんは監督時代にメディアから「野村再生工場」と呼ばれていました。野村さんは他球団で活躍していたが戦力外通告を受けた選手をあえて自分が監督をしている球団に入れさせて、その選手を復活させて成績を伸ばす。これも全部野村さんの指導力と発言力だと思う。
    そんな実績のある野村さんの話にはいつも感心する。

  • 組織作りとはなんたるか、これを読むとよくわかります
    マネジメント業務でつまづいたときこの本に救われました
    ノムさんすごいなぁ!!

  • 他の著書と重なるところあり。
    でも、一読する価値あり。

  • 「適材適所」「フォアザチーム」野村野球の組織作りの考え方がわかります。

  • 野村流の選手の育て方から、部下を育てるケーススタディを学べるという印象。読み物として単純におもしろい。

  • 開始:20080815、完了:20080815

    野村監督の哲学が書かれた本。読み応えがある。以下、気になった言葉。人は無視・賞賛・非難の段階で試される。若手と接するとき大切なのは絶対に結果論で叱らないことである。指導者は選手を好き嫌いで判断してもいけない。一切の先入観を排し、どの選手が組織にもっとも有用かという観点から判断すべきである。「組織はリーダーの器以上には大きくならない」と私は思っている。人間は失敗してこそ自分の間違いに気づくものだ。自分で気づく前に何か言われても真剣に聞く耳を持たない。選手が自ら教えを乞いにくるときは選手の向上心や知識欲が最高潮に達しているときだから、そんなときは聞き入れ体勢が整っている。「自分は何のために野球をやっているのか」ということを明確にさせることが必要なのである。ピッチャーの投げるボールには一球一球根拠がなくてはいけない。人間的成長なくして技術的成長なし、というのが信念。欲はたしかに必要だ。だが最後は欲を捨てなければならない。すなわち、「欲から入って、いかに欲から離れるか」。伸び悩んでいる選手はほとんどが「いわれなき自己限定」をしている。「自分はこれで精一杯だ」「自分の力はもはやここまでだ」と考えている。ではなぜ自己限定をしてしまうのか。低いレベルで「妥協」してしまうからである。壁にぶつかると「俺はこんなもんだ」とあきらめてしまう。それ以上の努力をしようと思わなくなる。「満足→妥協→限定」は成長や再生を妨げる最大の敵。スタートは意識改革、ヒンズー教で、心が変われば態度が変わる、態度が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる、習慣が変われば人格が変わる、人格が変われば運命が変わる、運命が変われば人生が変わる。負け犬根性が染み付いたチームには、「この監督についていけば絶対に勝てる」と思わせなければならない。楽天でも毎晩ミーティング漬け。楽天の選手たちの姿勢はヤクルトの選手に近いものがあった。中心なき組織は機能しない。自分の記録を意識する前にチームが勝つにはどうすればいいのかを最優先して試合に臨むことが大切なのだ。野球は「間」のスポーツである。一球一球ゲームが消える。「そのあいだに考えろ、備えろ」といっているのだ。「野村野球」とは一言で言えば「プロセス重視」。プロ野球は結果がすべて。手っ取り早く勝とうと考える。でも結果の裏側にあるものはなんだろうか。「プロセス、過程」にほかならない。「プロフェッショナルのプロ」とは「プロセスのプロ」でもあると私は思っている。楽天の選手に言っているのは、一に準備、二に準備、ということ。準備の大切さ。これをやかましいほど説いている。準備すなわちプロセスを重視した指導を徹底している。野球は確率の高いほうを選択するスポーツである。強者なら天性だけで向かっても打てるかもしれないが、弱者が勝つにはあらゆる準備をして臨まなければ太刀打ちできない。そのために意識付けが必要なのだ。分析・観察・洞察・判断・記憶。観察とはいわば目に見えるものから情報を引き出す力である。もっとも成功する確率が高いものは何かを選択するのが「判断」であり、その正解率は蓄積された「記憶」の量が多ければ多いほど高くなる。ということは、それだけ勝ちを拾う確率も高くなるのである。「人間」という字は「人の間」と書く。これは「人の間にあってこそ人のためになってこそ人間と呼べる」のだと理解。「人」という字も人は支えあわなければ生きていけないことを示している。つまり「他人があってこその自分」という謙虚な気持ちを持てということだと思う。己を過信しているなら正さなければいけない。選手である以前に人間としての生き方を説いてやらなければいけないのである。チーム強化というものは補強と育成の両面でなされなければならない。よいチームの条件のひとつに先輩が後輩に自然にアドバイスできる環境ができている。山崎を誤解していた。鉄平は中日の二軍で5年くすぶっていた。鉄平と山崎の再生。伸び悩んでいる選手に共通しているのはマイナス思考。「僕はこれで精一杯です」、「自分の力はこんなもんです」。いわれなき自己限定をしている。吉井と阪神の遠山は限界と思われた選手を再生させた。ストレートとスライダーしかなかったところ、シュートをマスターしなさいといった。再生するには絶対欠かせない資質がある。第一は闘争心。「なにくそ、いまにみていろ、絶対に復活してやる」という強い気持ち。
    いわれたことを素直にやってみる、間違いに気づいてそれを正す、どうすればもっとよくなるか考える、こうしたことができなければ、いくら私がアドバイスしても成長することはないし、同じ過ちを繰り返すだけだ。山崎は何も考えていないに等しい、天性だけでやってきた選手。40歳になるベテランが「おお、野球っていうのはそういうふうにやるのか」という。「監督の野球談義を聞いていると、野球の見方が変わる、じつにおもしろいですね。野球って…」相手投手の心理状態を考え、配給を読むようになった。その前に「一流の社会人であること」を私は選手に求める。過去にある程度の実績を残した選手は往々にして自分が正しいと信じている。「このままでいい」と思っている。変わる必要性を感じていないし、変わろうという意思もない再生には「考え方を変える」ために本人が「気づく」ことができるかにかかっている。したがって指導者は「気づかせてやること」が大切になる。指導者に必要なのは第一にその選手をよく「観察する」こと。力があるのに引退せざるをえなかった選手は指導者の怠慢の犠牲者だといっていい。選手をよく観察するというのは、その選手をもっとよく知りたいということでもある。そしてそれは言い換えれば、どれだけ愛情を持って接することができるかが重要だということだ。「どうやって人を再生させるのですか」よくそう訊かれる、すると、私はいつもこう答える。「その選手に対する愛、そして情熱です」再生の根底にあるのは愛情。「この選手をなんとか一人前にしてやりたい」「成長してほしい」という愛情があったからだと自信を持っている。監督は確固たる意思をもって毅然とした態度で「おれのいういとおりにしていれば必ず勝てる」と選手にいい続け、信じ込ませることができなければいけない。でなければチームはそこから崩壊していく。「戦力が足りないから」、敗因を田尾はそう結論づけた。だが、楽天球団が聞きたかったのは、「その戦力でいかに戦うのか、将来どのようにチームをつくるのか、そのためには何が足らず、何がどれだけ必要で、どのくらい時間がかかるのか」ということだtったのだ。見ている人は見ているよ、仕事は絶対に手を抜いたらダメだ。全知全能を使ってベストを尽くしなさい。必ず誰かが見ているから。若い頃、「給料はいらないからもう一年いさせてください。クビになったら南海電車に飛び込んで自殺します。」「そんなこといった奴ははじめてだ」。ブルペン捕手が頭角を現すためには、人と同じことをしているだけではダメだ。人よりももっと練習しなければ。打てなくなってわかったことは「自分は不器用なのだ」ということ。ストレートがくれば打てる。カーブがきてもカーブを待っていたときには対応できる。でも、ストレートのときにカーブがくると打てない。どうしたら打てるか。出てきた結論は「頭を使うこと」。苦手のカーブでもあらかじめカーブがくるとわかっていれば打てるのだ。ならば頭を使って読みの精度をあげればいい。つまり、相手バッテリーの配球をできるだけ正確に読むこおtができれば、それだけ打率はあがるにちがいない、と考えた。より正確に読むために必要なものは、何か。いうまでもないデータである。ピッチャーの配球になんらかの傾向があるはずだ。それがわかれば読みが当たる確立は格段にあがる。そう思い至った。同時に相手投手のクセを探ることにした。たとえ不器用な選手であっても頭を使えば一流のピッチャーにも充分に対抗できるということに気がついた。「野球は頭のスポーツである」、この信念が私のなかでじょじょに像を結びはじめた。選手たちにも読書を奨励している。「引退後の生活は長い。そこでは人間としていかに生きるかが問われる。野球バカで終わらないためにも本を読め」って。

  • 友人に勧められた一冊。これからの楽天が注目だ。

  • とても野村監督らしいお話でした。
    野村さんの現役時代の経験などの話が選手たちに刺激をあたえているのかというのも、
    詳しく書かれていました。

    野球があんまりわからない人でも人生とはこういうものであるみたいなこともかかれていたので
    自分的には良かったです。

  • 僕らはみんな月見草

全99件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

京都府立峰山高校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークスに入団。3年目の1956年からレギュラーに定着すると、現役27年間にわたり球界を代表する捕手として活躍。歴代2位の通算657本塁打、戦後初の三冠王などその強打で数々の記録を打ち立て、 不動の正捕手として南海の黄金時代を支えた。また、70年の南海でのプレイングマネージャー就任以降、延べ4球団で監督を歴任。他球団で挫折した選手を見事に立ち直らせ、チームの中心選手に育て上げる手腕は、「野村再生工場」と呼ばれ、 ヤクルトでは「ID野球」で黄金期を築き、楽天では球団初のクライマックスシリーズ出場を果たすなど輝かしい功績を残した。現在は野球解説者としても活躍。

「2016年 『最強の組織をつくる 野村メソッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

野村克也の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×