- Amazon.co.jp ・マンガ (180ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047342514
作品紹介・あらすじ
ひょんなことから「ハダカショウ」の手伝いをすることになった徳太郎と門松。アプレ娘の踊り子・カンナに翻弄されるふたりは……。また、巷では進駐軍が警察の拳銃を奪う事件が多発し……。戦後の光と闇が交差する、第5巻。
感想・レビュー・書評
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最高エンターテインメント。時代の匂いや臭いを漫画に描き出せる稀有な描き手さんじゃなかろうか。ほかで指摘があった停滞感は感じなかったなー。停滞しているように感じるとしたらそれは見せかけで一気呵成にストーリーを進めている手法は巧み。これからの展開が楽しみで怖ろしい。
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占領下の東京を描くコミック5巻目
映画青年だったインテリの元班長・川島と、乱暴かつ助平だがどこか憎めない巨漢の門松。中国の戦地で生死を共にした2人が、戦後の雑踏の底辺で生きる。
4巻を受けて、川島はストリップ混じりの劇団の脚本を書くことになる。
川島が苦心の末に書き上げる劇は、ある意味、結局は「ハダカ」に行き着かんがための筋なのだが、どこか文学青年的な純粋さもにじませる。自称・芸術家のダンサー、カンナのあっけらかんとした明るさが、奇妙な説得力と味わいを生む。門松もむちゃくちゃな役だが出番をもらう。
前半はカンナと2人、そして劇団の1人のダンサーを巡る物語。
焼け跡では、虚実入り交じる中で生き抜くしたたかさも必要であったというところか。
後半は川島と激しく対立する父のその後。父は、川島に兄嫁への仕打ちをなじられ、出奔していた。武門の出身である父は、敗戦の事実をなかなか受け止められない。浮浪児のヨッチンが、川島の父とは知らず、靴磨きの「手ほどき」をしてやる。
武門には武門の落とし前の付け方がある。父親は、彼なりのやり方で舞台を去る。
川島が漏らす
「あの男は勝手放題やり尽くして・・・どうしようもない男だよ」
という言葉が苦い。
敗戦下の現実を、彼らは受け止めて、戦後へ向かうことが出来るのか。
昏迷はもう少し続きそうである。
*基本、青年漫画の範疇だと思うのですが、性描写は相変わらすきついです。それを描き込んでこそ、戦後の空気が伝わる、のかもしれないですが、正直なところ、個人的にはここがなければ、もう少し、広い層の方に薦めたいところです。
*この巻では、川島・父のご面相が圧巻。この後、出番はほとんどなくなるのでしょうがちょっと惜しいかな・・・。あとは、菊子さんの造形が、かわいらしく色っぽくきりっと勝ち気な雰囲気がよく出ていて、女性キャラクターの中ではピカ一だと思います。