- Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048522977
感想・レビュー・書評
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ガンダ○ウイングが流行っていた頃、友人から貸してもらったパロディ同人誌のなかで、抜群に面白かった作家が二人いた。
一人は阿部川キネコさん、もう一人が、はねざきやすみさんだった。
それからさらに数年経って、更科日記の漫画版がとても面白いという噂を聞いた。
作者は、羽崎安美さんと聞いて、ああ、あの人が描いたなら絶対面白いだろうなと思った。
読んでみたかったが、田舎で学生で、インターネットもあまりない時代、簡単には入手出来なかった。
そのまま20年くらい経ち、ふと思い出してネットで調べたら、わりと簡単に古本で入手できるとわかり、ようやくこの本を読むことができた。
本当は新刊で買いたかったなと思ったら、のちのちにちゃんと蜻蛉日記とセットで再構成されていたんですね…。
残念だけど、オリジナルの装丁で、90年代当時の空気を感じられたからまあいいかな。
そしてやっと内容について、ですが、
サラちゃん(名付ける、という手腕)の嬉しいこと、悲しいこと、素敵だと思ったこと、家族への愛情、全てがリアルで、本当にこんな子がいたんだろうなと愛おしくなりました。
有名な、おばさんに源氏物語をもらえるシーンも感動だけど、笑えました。
全体に、うっすら漂うこの世の寂しさと、少女の強い憧れが見事に漫画化されていて、やはりこの人の漫画はいいなあと思った。
今回、お兄さんの顔を見て、絵柄が、桑田乃梨子に似ている気がした。
この時代、なんて素敵にジャパネスクとか、平安モノ✖️少女小説&少女マンガ、というジャンルが実っていたなあ、ということも一緒に思い出した。幸せなことですね。
そういえば、いろんな場面で、主人公を含めて、その場の全員が涙を流しました、というシーンがある。
この時代、電話もメールもない。手紙もあんまりない。
物理的な別れが全てで、隔たった人とはもう会うことはまず無いし、それが今生の別れなんだなあと改めて思った。そりゃあ泣きますよね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昔、NHKのEテレの「まんがで読む古典」で大好きな「更級日記」をやっていて、嬉しかったなぁ。「サラちゃん」と番組と本の中で呼ばれる作者は、貴族社会のすみっこであっても、生き生きしています。
ラストは、母親になったサラちゃんが宇治の川辺で物語を思う、という書き方も心に沁みます。 -
この『更級日記』は羽崎安実さんのデビュー作で、バックに林真理子さんがついています。
だから、すごく面白い出来なんですね!
菅原孝標女は本が大好きで、源氏物語の世界に憧れます。
でも身近な人の死とか、宮仕えの経験等を通し、現実を知り、成長していくという話。
更級日記を読んだ記憶がなかったので、あまり期待していなかったのですが、とても良い本だと思います。お勧め。