名前のない星の物語 (メディアワークス文庫)
- KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2014年8月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048668828
作品紹介・あらすじ
その世界では、ほとんどの人が"名前"を持たなかった。"名前"を持つためには多額のお金が必要で、大半は名無しのまま死んでいく。"名付け親"という職業につく少年・ニコルは、人々に"名前"を授けるために長い旅をしている。様々な国を訪れ、たくさんの人に出会い、ニコルは考える。彼らの人生にはどんな物語があり、そしてどんな"名前"が相応しいのか、と。長い長い旅の中、ニコルは数々の"名前"にまつわる切なくも優しい物語に出会っていき-。
感想・レビュー・書評
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名前の無いことが当たり前の世界で名付け親を生業にしているという設定に惹かれました。
言葉の運びやリズムが好きです。お伽話のように優しい話でした。読み手が大人になってしまったので「長く続く信仰をこの二人が果たして変えていけるのか?太陽を頂く信仰は特に砂漠の地ということもあり相当な根深さでは無いか?」等と余計なことが頭を過ってしまいました。中学生の頃に読めたらもっと話に没頭できたと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人が名前を持たない世界で、名付け親という職業をしている人がいる。
15歳の少年ニコルは相棒のセッタと共に、誇りをもっていろんな人に名前をつけている。そんなお話。
読んだ感想は、何となく星をテーマにしているからかな。銀河鉄道の夜とキノの旅を思い出した。
お金に困らない仕事っていいな~とも思うけど、ニコルが名付けという仕事に真摯に向き合って、(だからこそ辛いときもあるけど)いろいろと考えて成長していく姿に心暖まるし、自分の仕事に疑問を持ち、悩む姿に同情してしまう。
自分で選んだ仕事でも苦しいことはあるし、やりがいや目標は自分で持つことが大事だなとニコルの話から感じた。 -
「夜を灯す」
月夜の中に死神が。
信仰心が強いのはいい事かもしれないが、全てが正しい訳では無いという疑問を持つ者は他に居ないのだろうか。
誰が言い始めたのか分からないが、夜というだけで忌み嫌われ変人扱いはおかしくないのか。
「ずっと、近くで瞬いていた」
何度も名を変える。
お金を出せば簡単にできる事だからこそ、この様な恋の終わりと共に折角名付けて貰った名を捨てれるのだろうな。
これを機に簡単に名を変える事無く、どんな事があろうと今の名前を名乗り続けて欲しいな。
「ある花実と」
名を奪う事も仕事。
改名は可能でも剥奪は無いと思っていたが、大きな罪を侵した者に対して高価な名前は必要無いのかもしれないな。
名乗る事が普通であった人にとって、剥奪という処置は絶望に近しい感覚になり得るかもな。
「今日を息づく」
安静の意味を諭す。
身体を動かさず絶対安静と言われても、そんな事を簡単に出来る人はいないだろうし何かしらしたくなりそうだな。
お節介といえばそれまでだが、もしもの事を考えたら近くに常に居るというのはいい案だな。
「いつか手渡す」
叶える為に今日も。
必死に足掻いて目標として掲げている事があるからこそ、欲しいと思っても安易に貰おうとしなかったのだろうな。
名付けに関係ない情報だとしても、流石に性別ぐらいは勘違いしている事を訂正すべきでは。 -
このくらいの善性の主人公は割とよく見るので、目新しいところはない感じ。
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名前を持つために多額の金銭が必要であり、名前を持つこと自体が社会的ステータスを表わすことになる世界。そこで名前をつけることを生業とする「名付け親」のニコルは人々に名前を授けるために旅をしている。彼を見守るのは天涯に光る星々。これはその星が語る物語。
なかなか面白い設定の物語です。公的な名前に金銭的価値と社会的地位がある世界で、名前を付けるということはどういうことなのかが語られます。
名前を付けられることを拒む人、付けられた名前をコロコロと変える人、名前を剥奪される人。それぞれの人に物語があり、ニコルはその物語を知り名前について考えを深めていくのです。
名前を持つことがステータスとなるならば、名前を付けることができる者が持つ力とは。そしてその力の使い方とは。そんなことを考えさせられる物語で幕が降ろされます
物語の核となる部分はとても面白いのですが、文体がかなり饒舌なのです。地の文となる星の語りもそうですが、出てくる人物誰もかしこも饒舌なのですね。無口と説明される人物まで饒舌なので、饒舌と称されるものに至ってはそれはもう。
饒舌なのが悪い訳ではありませんが、時にはその饒舌さで飾り立てられ盛りつけられて、物語の核を見失いそうになることも。
この饒舌さがこの作品の味なのでしょうが、なかなか消化するのが大変でした。でも続きが出たら読んでみたいとも思わせるのです。それだけ魅力もあったのです。 -
人や動物が固有の名前を持たない世界で、名付けの権利を持つ役人?名付け親ニコルの旅の話。暖かい話ばかりで癒された。パートナーセッタもうるさかわいい。表紙も話にあっていて素敵。他の名付け親も見てみたかった。
設定は無理があるんじゃと思った。日本でも昔氏がない時代もあったわけだけど、呼び名がなければ社会生活が成り立たないし。非公式の名前とかも出てきたけど、それって名前じゃんとも思ったり。 -
2017.7.26読了 90冊目
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自らのアイデンティティである名前を手に入れるのに、多額のお金を払うなんて自分の常識からすればありえないし、想像もできない。
それにしてもニコルの知識の多さに脱帽。
あんなに相手のことを考えてつけられた名前はすごいと思う。
自分の名前を大切にしたいと思わせた作品だった。
名前というアイデンティティのない人々は普段どうしているのだろうか?
そして童話のような語り口が好き。
少しキノの旅っぽい?
続きがあったらもっと読んでみたかった。
名前をなくしたら自分であることを証明できないような気がして怖い。
名前を奪われた青年の話が読んでて気になった。
アイオの不器用な愛情表現が読んでいて、もどかしくも微笑ましい。
是非、アイオ達には幸せになってほしい。 -
【あらすじ】
その世界では、ほとんどの人が≪名前≫を持たなかった。≪名前≫を持つためには多額のお金が必要で、大半は名無しのまま死んでいく。
≪名付け親≫という職業につく少年・ニコルは、人々に≪名前≫を授けるために長い旅をしている。様々な国を訪れ、たくさんの人に出会い、ニコルは考える。
彼らの人生にはどんな物語があり、そしてどんな≪名前≫が相応しいのか、と。
長い長い旅の中、ニコルは数々の≪名前≫にまつわる切なくも優しい物語に出会っていき――。