夜蝶の檻 (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
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本棚登録 : 50
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048669467

作品紹介・あらすじ

激動の時代が過ぎ、文明開化の音がそこかしこから聞こえても、未だ江戸時代は続いていた。妖魔と戦うため幕府が組織した退魔衆の女剣士・桔梗。百人を斬ることで願いを叶える妖刀を手に旅を続ける侍・殿江静馬。幕府への復讐を誓う軍服の鬼。愛するものを奪われた神凪の巫女。交錯する生き様が浮世の闇を走馬灯のように照らし出す。明治維新が起きなかった仮想の日本を舞台にした、新時代浪漫エンターテイメント小説、ここに開幕!

感想・レビュー・書評

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  • 時代物でかつファンタジーという、ともすれば暴走して自己崩壊を起こしそうな設定を、きっちりとした手綱さばきでまとめ上げている小説。
    主な登場人物は主人公の桔梗、侍の静馬、旅芸者の鈴子という三人だが、それぞれ通り一遍の紹介では書ききれない素性と過去があり、そうした裏の要素が物語の中で絡み合い、刀の技と妖の力で戦いを重ねながら結末へと向かっていく。

    この物語は、時代物にありがちな勧善懲悪でも、ファンタジーにありがちな英雄物語でもない。やり場のない苦しみと怒りを抱えた者達が、それでも生きようとする人生譚だと思う。
    一見重いテーマのように見え、考えさせられるところも多い本書だが、ページをめくると意外なほどスムーズに読めることに驚かされる。思うにそれは、登場人物たちが私達が思いをはせる以上に自らの境遇を悟り、受け入れ、ある種の「境地」に達しているせいで、同情とか思い入れのような要素を抜きにして傍観者の立場として物語に接することができるからだろう。
    そうした「境地」が最もよく現れているのが、数多く登場する立合い、つまり戦闘のシーンだ。剣を交える中の所作や心の動きといった表現からは、単なる戦闘の洗練度合いだけでなく、桔梗と静馬の物言わぬ迫力まで伝わってくるようだった。
    その表現力こそ、本書を高みへと引き上げているように感じた。

  • 設定と表紙に惹かれ購入。初読み作家さん。なかなか面白かったけどさりげなくグロかった気がする・・・。せっかくの設定(幕府軍が勝ち大政奉還も起こらなかった等)だったのでもっと色々盛り込んでほしかったー。「剣士の生き様」みたいな部分が多かったような・・・。

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著者プロフィール

1983年兵庫県生まれ。2007年に第14回電撃小説大賞銀賞を受賞し、『under 異界ノスタルジア』でデビュー。真っ直ぐで透明感のある文章、高い構成力が魅力の注目作家。他の著作に、「花魁さんと書道ガール」シリーズ、『雪には雪のなりたい白さがある』『フルーツパーラーにはない果物』『今日も君は、約束の旅に出る』『わたしたち、何者にもなれなかった』などがある。

「2021年 『パンダより恋が苦手な私たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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