ウィザーズ・ブレインIX 破滅の星〈上〉 (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048691017

作品紹介・あらすじ

魔法士と人間の共存を夢見た賢人会議の参謀・天城真昼の死によって、和平交渉は決裂。ついに、賢人会議とシティの全面戦争が始まる! いよいよ物語はクライマックスへ!

感想・レビュー・書評

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  • すごい勢いで人類全体が絶望へと突っ走るのだけど、明かされないサクラの思惑やディーセラの迷いなど賢人会議側も一枚岩ではなく、誰も彼も足場が揺らいでいるという混沌とした状況。
    けれどごちゃごちゃしてるという印象はまったく受けなくて、今まで積み重ねてきた伏線やキャラクター描写の上にすべてが成り立っているので暗い状況とは裏腹にスラスラと読み進めていくことができる。
    エピソードⅧからこっち散々な目に合っている主人公の錬だが、これらの試練を乗り越えて彼と作者がどんな結論に辿り着くのか、次巻以降も全力で見届けていきたい。

    余談 祐一、ヘイズ、クレアの3人も中立という意味では錬と同じなのだが、錬ばかりが責められるのも主人公だからこそというところか

  • まさか年内に2冊も読めると思ってませんでした。という率直な感想はさておき。
    一言で内容を言うと、

    地球が地球がピンチです(なかがきより抜粋)。

    そして恒例の4行詩が表記的(視覚的)にもヤバイ。個人的には腹くくったサクラが極端なまでに悪役道へ突っ走っているのは爽快感すらあるのに対し、作者からも「主人公」と言われた某氏よ…君が覚醒して活躍するのはあと9巻の下巻(中巻挟むこと前提)と10巻しかないぞと。まあ1巻主人公ズはずっと好きになれないままなんだけど。
    内容については、もう何話してもネタバレになるのでここまでにしたいけど、全10エピソードに向けての伏線回収がすごい。ハピエンが拝めるのかは最早神のみぞ知る世界、なので頑張って生き延びようっと。続きはまあ、あと5年以内には完結するんだろうか。1巻読んだときは…ああああ(遠い目)。
    また、イラストは過去最高に美しいのでは?と思う。カラーの白騎士が真っ黒ですふつくしい、とか、1巻カポーの白と黒の対比的なイラストとか。途中のイラストも可愛いキャラは可愛く、カッコいいキャラは美しくで大満足な巻でした。

  • 人類と魔法士の共存を望んだ青年 天城真昼が前の巻(Ⅷ巻下)で一般市民に殺されてしまって、退場。Ⅸ巻の上巻だけは驚くべき早さで刊行されましたが、下巻が出るまでは、読むまいぞ、と思っていたら、9年の歳月が流れたのでした。

    さて。
    天城真昼の死と大気制御衛星による雲除去方法の発見を駆動力にして物語は進んでいきます。遮光性の高い人工雲を除去するには、i-ブレイン(生体コンピュータ)をもたない普通の人間を大幅に減らし、i-ブレインをもつ魔法士の脳をリンクして大気制御衛星から雲の構造に対して、大規模な演算を仕掛ける必要がある。
    そのために、魔法士の国家である賢人会議は、南極上空に浮かぶ大気制御衛星の奪取と、核戦争の末に総人口2億人まで数を減らしていた人間側の拠点である6つのシティへの破壊工作を繰り返していた。天城真昼を失った賢人会議の作戦は、人類殲滅へ向けて合理化されていく。
    天城真昼の死は、世界中の世界を憂う実力者たちを動かす。世界各国で人間と魔法士の最終戦争を止めるために密やかに動いていた人々が、世界再生機構なる第三者勢力となっていく。
    上巻の終わりには、賢人会議の長サクラが大気制御衛星に乗り込み、1巻の主人公天城錬と量子力学的制御を操るイルを圧倒し、衛星を掌握するところで終わります。


    どんどんと極端な方向に進んでいってしまい、サブタイトルの通り、「破滅」を強く感じる上巻でした。現在の私たちの世界でのロシアとウクライナの戦争の情勢を思うと2015年に始まった物語がこのタイミングで続きを刊行されたことは、大きなメッセージとなっているように思います。
    戦争の状況も確固たる意志を持って突き進む、賢人会議が数で圧倒的に勝る人間側の猛攻を巧みにかいくぐって大気制御衛星を奪取する展開は爽快感がありますし、外的な要因によって動かされているように見える天城錬の優柔不断さにいら立ちもあり、なおさら、賢人会議の正当性を感じるのでした。ラストシーンでサクラが天城錬に「私の道を否定する貴方だったらどうするのだ」と問うたときに、天城錬は何も答えられずに、衛星から排除されてしまいますが、それも当然の結果のように思います。ここからの天城錬の奮起があるのかないのか・・・。天城錬に対してはストレスの増す上巻でした。

  • シティ連合と全面対決することになった賢人会議。
    シティを襲撃する賢人会議、賢人会議の本拠地をつきとめ総攻撃を加えるマサチューセッツ、モスクワ、ベルリン、そしてシンガポール。
    本拠地を爆発させ南極大陸に転移した賢人会議は一気に衛星への転送装置を目指す。
    サクラ、フィアを人質に取られた天樹錬、イルはまとめて衛星に転送され、サクラを通して13年前の真実を知る。
    太陽光発電プラントの同調暴走による爆発の危険性。
    そしてサクラは大気制御衛星から世界に向けて人類を殲滅する宣言を行う。

  • 待ちかねた最新刊。魔法士vs人類の全面戦争がどんどん進んでいく。次のエピソードが待ち遠しい

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著者プロフィール

第7回電撃ゲーム小説大賞<銀賞>受賞。受賞作の『ウィザーズ・ブレイン』が人気シリーズに。

「2023年 『ウィザーズ・ブレインIX 破滅の星〈下〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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