アパシー 学校であった怖い話 1995殺人クラブ リベンジ(2) (電撃コミックス)

  • アスキー・メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048701488

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  • 殺人の依頼方法(校庭の右から3番目のイチョウの木に赤い紙に願いを書いて結ぶ。次の日に願い事をした人の靴箱に“了承”と書かれた緑の紙が投函。殺人クラブが殺人を決行。)が赤紙の仕組みを少し捻ったようなアイデアで印象に残った。

  • 悪意の綱渡りと殺意の鞘当て、そしてひとにぎりの善意。

    ふたつの殺人クラブがいよいよ顔を見せ、裏で絡み合う悪意の意図をほどこうとする――そんなところで二巻は幕を閉じます。

    これは私見なのですが、読者視点だと作中の登場人物が抱える謎と構図はわりと見えている気がします。
    ただ、情報の整理と便宜的謎解きパートも置かれなかったこともあって、サスペンス、学園ミステリー路線としてはストレスがかかる感があったのかもしれません。

    暗黙の了解で話が進む上、各陣営が持っている情報には格差があるので話は進んでいるのに進んでいる気がしないというか……。

    一巻で触れた通り、見えない背後関係がキーになる筋運びはちゃんと描かれていると思うのでもう少し巻数が欲しかったのは確かですけどね。

    時に、ふたつの殺人クラブについて。
    ひとつは玄武拓馬率いる「復讐代行」の殺人クラブ。
    ルールに従って粛然と依頼を遂行するのかと思いきや、里中あゆみのような甘いメンバーも在籍していたりで案外人間味も見せてきた集団でした。
    相変わらず裏で仕掛け人として暗躍する「日野貞夫」も新聞部を擁してこちらに与しているようです。

    もうひとつは岩下明美、新堂誠、風間望と語り部三年生トリオが顔を連ねる「快楽殺人」の殺人クラブ。
    この巻でタフさと怪力を散々強調した西垣大吾を仲間に加え、話の本筋に絡む兆候を見せます。
    あと、岩下さんはこの二巻の全ページを足し合わせたとしても余裕で凌駕する圧倒的な美しさだったので、そちらで引き込まれたりもしました。

    さて、動機はなんであれ殺人鬼が乱舞する嫌すぎる学校「鳴神学園」において主人公「真田亮太」が逆に浮いてると思うのは気のせいでしょうか?
    いわゆる考えるより先に体が動くタイプのヒーローなんですが、納得するにはもう一押し欲しいと思いました。

    反面、暴力を選択肢に入れるハードルが極めて低いクソ外道の西垣を撃退し、高飛車系ヒロインの心をつかむキメまでのコマ運びはなかなかいい感じでした。

    西垣、こういう圧倒的な体格と人間としての奥行きはないけどストレートに下衆な精神性が脅威として残り続けるタイプは結構新鮮ですね。
    個人的に悪役としてはなかなか気に入ってたりします。

    金の亡者にして飼い犬に手を噛まれるを地で行く校長の悪行から退場なども、全般的に悪党たちの台詞回しが面白かったりしました。
    強烈な表情を含め人間の剥き出しの本性を見るってのは案外読者目線でも楽しかったりするのかもしれません。

    校長と子飼いのふたりの手口は妙に現実的で嫌らしいものだったりするので、そっちも驚かせてもらいました。

    で、一応触れておくと各陣営が出揃い、謎を追っていく中でも相変わらず孤高に振る舞う人気投票一位(当時)の荒井さんが気になったりもしました。

    ちなみに引きからすると三巻以降があるとすれば、原作主人公の「坂上修一」を進行役に据えた「七不思議の集会」を行うことで学園かもしくは別の何者かを炙り出す――、という筋立てのようです。

    ただ、これはシリーズの別作品用のプロットでもあるので、どの道続刊は望み薄かもしれません。
    引き込まれるものはあるし、見つめることはできる。
    けれど、引いて全体を見渡すには至らないと、そう思いました。

    私個人として「殺人クラブ」の謎を追うことはやめない、それだけは確かですけどね。

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