長い腕

著者 :
  • KADOKAWA
3.15
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本棚登録 : 115
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048732987

作品紹介・あらすじ

島汐路は、職場で同僚の女性二人がビルから転落する死亡事故を偶然目撃し、大きなショックを受ける。彼女は幼い頃、両親が崖から転落死した事件を目撃し、それがトラウマになっているのだ。汐路は死亡した女性のことを調べ始めるが、彼女は「ケイジロウ」というキャラクター人形を敬愛していたことがわかる。その人形は、半年前、汐路の故郷、早瀬で起こった女子中学生の猟銃射殺事件の犯人も鞄につけていたものだった。妙な共通点に疑問を感じた汐路は、早瀬に戻り、女子中学生の事件の調査をはじめるが、そこには予期せぬ事象が隠されていた…。第21回横溝正史ミステリ大賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 2022.03.13

    ソウルメイトだと思っている職場の同僚からの勧めで読んでみた本。
    おすすめ通り、スリルを味わえた。

    汐路が田舎に帰ってからはテンポ速く進み、汐路の危なっかしい行動にハラハラしながらも読む手が止まらなかった。
    西屋敷に忍びこんだときの「見つかるかもしれない」というスリル満点のシーンは、貴志祐介の「黒い家」にも通ずるものがあってとても楽しめた。無事に屋敷から出れたときはホーッと安堵のため息が出たほど。

    知らなかったゲーム業界の過酷な制作環境も楽しく読めて勉強になった。作者はゲーム業界出身だからついつい書いちゃったんだろうなぁ。前半のゲーム業界の長い説明部分も、保険業界の説明が冒頭で延々と続く「黒い家」ぽいと感じた。
    汐路のキャラも良い。ただ、2日間休まず軽自動車で1100km往復はありえないし、もう少し西家の背景とか英子の人となりがわかる描写が欲しかった。石丸と源田が超多忙にもかかわらず陰で汐路より動いてて先に真相に気付いてるって無理があるでしょ。源田と汐路は他人だし。そして辞めた元同僚の汐路にそんなに肩入れする石丸は下心あり?(その辺は続編に期待?)その辺りが雑だとも感じた。

    自分は天邪鬼なのでおすすめ!面白いよ!とか言われるとプレッシャーを感じて読みたくなくなるタイプなので地道に自分の好きそうな作品を日々探しているのですが、これは当たり。たまには人のおすすめ本を読むのも良い。

    続編2作も楽しみです。

  • 第21回横溝正史大賞受賞。
    最初1枚が江戸時代の幸せそうな家族風景。大工なのかな。
    まさか、江戸時代からの呪いなんて。この賞ぽいよね。
    ゆがんだ家に住むとおかしくなるんだ。住む家は気を付けないとねぇ。
    登場人物もひとくせある。
    で、なんでタイトルが長い腕なのか、最後までよくわからなかった。

  • 中央線の車内でカップルが突然切りつけられる事件が起きる。日を同じく、松山空港では、人気タレントのファンたちが暴走し階段手すりから落下して死傷者が続出する。そして、埼玉のゲーム会社で働く島汐路の同僚女性二人が無理心中する。それらの事件と、地元・早瀬で起きた女生徒が友人を猟銃で射殺した事件に奇妙な繋がりを見つけて興味をひかれた汐路は、帰省し真相を探ることに。しかし、汐路自身も地元には大きな屈託を抱えていた……。

    第二十一回横溝正史ミステリ大賞の大賞受賞作。
    どことなく雰囲気が古く、終始横たわる不吉な空気が横溝ミステリっぽい?ネット社会と田舎の閉鎖社会の歪みが引き起こした事件。
    事件も田舎のじめっとした空気も、昔の怖い話が関わってくるホラーっぽさもわりと好みだった。後半の疾走感もよかったのだけど、ちょっと真相があっさり解かれすぎてて拍子抜け。前半のゲーム会社あるあるはそんなにいらないので、歪みの原因となった人がどれだけ恨みを持っていたのかとか、犯人たちが狂っていった経緯とか、具体的にそれぞれの事件にどういう手段で関わったのかとかを書いてほしかった。ゲームあるある多すぎて、真相とゲームが関連してるのかと思いきや全くそうでなかったのも残念。あと主人公は良いキャラだけど全方位にとげとげしすぎだろう。
    ミステリーというよりホラーっぽい。同年のエントリーに初野晴氏や鳥飼否宇氏がいる。
    どうやら続編があって三部作らしい。最後まで読めばすっきりするようなので探して読もう。

  • なんとも言えない話だった。

  • ひと昔前の本、の感じは否めないけど、面白かったです。

  • 第21回横溝正史ミステリ大賞受賞作。
    ゲーム制作会社に勤務する主人公が、同僚の転落死事件をきっかけに一連の不審死の調査を始めることになる。
    前半と後半がちょっと遊離しているのが気になったが、前半は事件の進展は遅いもののゲーム業界の裏話が面白かったし、事件の伏線も入っている。後半は主人公が会社を辞めて故郷の田舎に帰省し、事件の真相に迫ってゆく。少々都合のよい展開のようにも思えるが、ネットの中の世界と生身の人間の世界、それぞれの歪みが恐ろしかった。
    この作者はこの1作以外作品がないようだが、これ以降は書いていないのだろうか。他の作品も読んでみたいと思ったのに残念。

  • 形の歪みは、心の歪み。

  • テレビゲームの製作現場の様子の描写が興味深い。内部にいた方なだけあって少し冷めた目線。
    全体の流れとしてはそのゲーム関係の業界話に一体なんの意味があったのか分からなかったが、飽きずに読めるくらいの面白さ。テンポよし。しかし石丸さんはなぜそんなに協力的だったんだ?別に主人公に好意を抱いてるような描写もない。なにか決定的に協力するような動機や言葉もなかったような。なんだろう腑に落ちない。

  • 横溝正史ミステリ大賞(2001/21回)

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著者プロフィール

1961年、愛媛県生まれ。京都大学理学部動物学科卒業。セガ・エンタープライゼスなどゲーム制作会社に勤務。2001年 『長い腕』 で第21回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。2012年、続編の『呪い唄』を刊行後、『弔い花』 『疫神』 『誘神』 『署長・田中健一の憂鬱』 と精力的に執筆活動を続ける。本書は、著者の郷土愛が詰まったお仕事ミステリー第3弾。

「2021年 『明日に架ける道 崖っぷち町役場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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