医者が泣くということ

著者 :
  • 角川書店
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737807

作品紹介・あらすじ

聖路加国際病院小児科部長の著者は朝、暗いうちに車を走らせ病院へ。会議、診察、外来、患者家族とのミーティング、「がんの子供を守る会」他様々な仕事が目白押し。でも超多忙の合間を縫って、俳句、スキー、お遍路の旅を愉しむことも-。初心を忘れず、かつ気負わず、医師として見事に生きる日々の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 本書は「俳句」2005年1月号から2006年12月号に「風の吹くままー医者ときどき俳人ノート」というタイトルで連載された原稿をまとめ、加筆されたもの。

     日記という形態で書かれたエッセイで、その一つ一つの表題が俳句になっている。細谷先生が俳句をされるということは聞いていたけど、一つ一つの俳句がすばらしいのにはびっくり!これは趣味の段階ではなく玄人はだし・・。俳句の本も出版されているくらいだから・・納得。

     書かれていることは細谷先生の日常、そしてその時々に思ったり感じたことが素直な文章で描かれている。私が読んでびっくりしたのは、先生が超多忙なことだ。早朝から病院に出勤して、会議、診察、外来、患者家族とのミーティング「がんの子供を守る会」他様々な仕事が目白押し。
    その合間を縫って、俳句、スキー、ゴールデンウィークには毎年恒例の四国歩き遍路をされているのだ。
     それだけではなく一番びっくりしたのは、ほとんど毎週日曜日、実家の山形の90歳を超えた父親が営む病院に日曜診療のため新幹線で片道3時間かけて通っていることだ。タフ~!!もうすぐ60歳なのに大丈夫なのだろうか?

     読んでいて、心がほわ~っと温かくなったり、小児癌の子供たちの姿に涙が流れたり。何が良かったとは具体的には言えないけれど、本当に読んで良かったと思った。私も医療者として、一人の人間として、先生を目標(なんておこがましいが)に、頑張ろうと思えた。そして俳句も、今までは時々やめたくなったけど、細谷先生を目標に細く長く味わっていきたいと思う。

  • 仕事で、聖路加国際病院副院長の細谷先生の講演を聴く機会がありました。
    聴く前は「小児科の先生の話なんてどうせつらい話だろう、本もつらいことが書かれているだろう」とちょっと敬遠していました。
    が、実際に拝聴すると、静かなる情熱が伝わり、実際つらいお話ではありましたがもっと先生のお人柄に触れてみたくなり、図書館で適当な本を借りてみました。

    選んだ本は、俳人でもある先生が、雑誌「俳句」に連載したものをまとめたものです。。
    日記のようなエッセイのような、一見とりとめのない、けれども超多忙な日常を綴ったものですが、出来ることを出来るところまで精一杯、という生き方に感動したし、毎日を丁寧に大事にしている感じもとてもよかった。先生に限らず、そういう方が時々登場する、とてもあたたかい本でした。

    白血病の子どもの話が載った教科書訂正のエピソード、医療スタッフの燃え尽き症候群防止のために尽力する様子、などなど・・・胸が熱くなりました。
    先生のような物事の受け止め方が出来る人間になりたい、と強く思いました。
    この本、本当に読んでよかった。
    先生の他の本も読もうと思います。


    最後に、ガンになった子供たちのコメントが胸に迫ったのでひとつだけ書き留めておきます。

    「家族の中で誰かが病気(ガン)にならなければいけないという運命なら、がまん強い私でよかった。」

  • 幼い命が消えてゆくところに立ち会うことはどれほどつらいことでしょうか。
    細谷先生が「燃えつき症候群」にならずにすんだのは以下の2点があったからだそうです。
    上司が充分に評価してくれたこと。
    心の底に沈んだ思いを誰かに吐き出してスッキリすることができたから。
    そばにいる方が心の支えになってくれたのですね。

    http://ameblo.jp/nancli/entry-11786536563.html

  • 全然題名と内容が一致しない本だった。泣ける本だと思ったのに。つらつらと日記が掲載されているのみ。この先生がどんなに活動的にされてるか、ということくらいしかわからなかった。興味深かったからよかったんだけどさ。60ちかくなっても、こんなに活動的でいられるような人になりたい。

  • 健康のありがたさを実感

  • 小児科医でも俳人でもある著者。こんなお医者さんがたくさんいたらいいのに・・・と思った。それにしても忙しそうだ。『日本の医者は子供が小さい時期に留学すべき』というくだりは納得した。(海外だと日本より子供と向き合う時間がとれるから)

  • 聖路加病院の小児科部長で小児がんの権威であり俳人としても活躍する著者。「子どもってすごいひとたち!」と感動を率直に記する。病気で死にゆく子どもたちへの愛惜と無念さがにじみ出る。病児のために医療施設つきのキャンプ場を作る運動、学会出席、各種方面での講演、週末はふるさとの父親の医院に出勤。その他もろもろ本当に超多忙の中、四国の歩き遍路を毎年五月の連休に組み込む、日帰りでスキーに出かける、思い立ってコンサートに出かける、子どもへの読み聞かせに感動して自分もやってみたいと思ったり(断念)本当に忙しい方だが、その忙しさをどれも愉しみ精一杯生きている、本当に素敵なお人柄のセンセイ。

  • 著者は聖路加病院副医院長で俳人。
    涙の枯れていないこんな医師が、後進を育ててくれているのは頼もしいうれしいことです。
    雅子様行啓の話や日野原重明名誉院長と天皇陛下の話は笑えました。

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著者プロフィール

1948年山形県生まれ。72年東北大学医学部卒業。聖路加国際病院小児科の小児科部長、副院長を経て現在同病院顧問。専門は一般小児科の他、小児がん、小児のターミナルケア、育児学

「2020年 『いつもいいことさがし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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