なにが幼い命を奪ったのか: 池田小児童殺傷事件

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048836937

感想・レビュー・書評

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  • 図書館のリサイクルにて入手。事件後まもなく、8人の各方面の方々により論じられた事件の検証。ただ事件に名を借りて、自分の思想や社会活動をアピっているのもあるおゆな。明らかにずれてるのもあったので、(内容自体は悪くないのだろうけど)首を傾げてしまうものも。

  • 役に立ったなと思えた論文は3本ぐらい。

  • この本は2001年に初版が発行されたので、今の時勢にそぐわない文章もやや見られた。それども、その点を多少無視しても読む価値があると思われたのでレビューをしてみようと思う。
    この本の執筆にはマスコミ関係者、弁護士、哲学者、誤って薬を処方されて精神病院に入院していた方などが携わっており、多様な視点から池田小の事件当時の現状、原因、今後の対策について論じている。
    何度となく、「開かれた学校」の説明が曖昧であったこと、意味をきちんと理解していなかったことに苦言を呈しているの文章が目に入って来る。
    興味深かったのは、法学部教授が「日本で保安処分・治療処分が実施されなかった事に一因がある」と論じているのに対し、弁護士側は「行政・医療体制が整備されていないのに処分を下すことは逆効果だ」と真逆のスタンスをとっている章が含まれていたことである(誤解されかねない要約だが、両者共に事件の再発を防ごうとする目的は同じであり、そこへ至る手段が異なっているのである)。
    他には「(被害にあったクラスの担当教師が児童から目を離してしまったことに対して)行儀の良い児童が多いから、児童だけにしておいても騒動がおこらないという気持ちがあったのではないでしょうか」という厳しい意見もあったが、今後同じような事件が起きないとも限らないので致し方ない警句と読んだ。
    約60ページに渡ってこれまでの教師・マスコミ・日教組のありかたを見つめ直す章が本の後半に組まれているが、「教師は一般社会の常識から外れかねないところがある」「愛のある叱責を第三者に咎められることで、教えることが馬鹿馬鹿しく思えてくる教師が発生する恐れがある」「日教組に加盟している一部の教師は倫理観がおかしい」など、読み応えのある内容であった。
    最後の章では被害に遭った児童だけでなく、責任を問われ続ける教師も精神的なケアがきちんと行われることが大切であると説いている。

    この事件で、多くの精神疾患を抱える方が酷い偏見に苦しまれたことと思います。その事について、本文中で執筆者の一人が精神科の医師に言われた
    「胃潰瘍や胃癌の手術で胃を全部とった人が退院してきました。『お前は入院する前は一升瓶をがぶ飲みしていたんだから、治ったらまた飲めるはずだ』という人はいません。(略)ところが精神病で入院していた人が社会に出てきた時には、『さあ、あなたはまともに会話をしなさい』と社会は求めるのです。胃を取った人に酒を飲ませるのと同様に、それは困難なことです。人を怖がったり、いろいろな妄想や幻聴がまだある状態でも、それは幻聴なんだ、妄想なんだと病識を持つことによって、社会生活を営んでいる人はたくさんいる。そのことがわかってもらえていないのが現状です」
    という、言葉を用いて、精神障害に対する知識・理解は、地域社会を含めた精神医療が発達していけば変わっていくと述べている箇所がありましたが、なるほどそうかもしれないと思う。

    最初に書いたように、この本が出版されたのは今から十年も前なので、今日の情勢にそのまま当てはめることは出来ない箇所があるが、一方で今日でも参考になる箇所も多く書かれている。

  • 池田小児童殺傷事件が起きてしまった背景について、8名の有識者がそれぞれの面から探っていく。
    事件そのものについてはあまり触れられず、法律や教育の在り方や精神障害者の事件に対する検察やマスコミ報道について。

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