- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048850537
作品紹介・あらすじ
皇太子妃をめぐる裕仁親王(昭和天皇)の「宮中某重大事件」は有名だが、嘉仁親王(大正天皇)の婚約内定取り消し事件はあまり知られていない。内定が変更されなかった裕仁親王と久迩宮良子女王(香淳皇后)の結婚と違い、嘉仁親王の妃は伏見宮禎子女王から九条節子(貞明皇后)に交代させられることとなった。なぜ婚約は解消されたのか?病弱な大正天皇ただ一人しか直系男子に恵まれなかった明治天皇の苦渋の決断、それを取り巻く皇族たちの思惑など、皇太子妃選定を通し、近代史における天皇・皇族の実像に迫る。
感想・レビュー・書評
-
この人が美智子さんが皇族に入るまで生きてくれていたら、よかったのに。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ゴシップ的な臭いに惹かれ、野次馬根性で手にした一冊。大正天皇の婚約解消事件のノンフィクションで、こんなことがあったと初めて知りました。と同時に、平安辺りの皇族婚姻の根回しと言うか泥沼過程というか野望と言うか、そんなのも垣間見た気がして、個人的には楽しんでしまった一冊です。皇族に力を取り返すのも、中世の元気な上皇が浮かんでしまったり。今問題になってる宮家のことも、ここで種が蒔かれたか…と、興味深いところがいくつもありました。何だか古代とあんまり変わってないような気もするのだけれど。庶民には関係ないか。
-
いわゆる宮中某重大事件のほうは知っていたがこちらは知らなかったので、非常に面白かった。
いろいろな意味でデリケートな事柄ながら、史料に拠っていることと、著者の推測によることが明確にされていているのも好もしく、一方で読み物としての面白さ・読みやすさを損なったりはしていない。
それにしても、皇太子妃(将来の皇后)やその候補について、周辺の人々のなんと露骨に口さがないことよ。九条家のお姫さんに対してこれなんだから…。一方、現代語訳権記を読んでいるところなのだが、周囲の思惑による后妃たちへの様々な無礼はそれこそ王朝時代も似たようなものといえるし、例えば欧州の王配たちが晒された悪口等と思うと、洋の東西を問わないのかもしれない。別に皇室や王室じゃなくても、ヨメに対するシュート・コジュート的言説のすさまぢさってことかも…。それが皇・王室の話になると、皇統の継承という大義によって、周辺(現代だと国民みんな!)までシュート根性でいろいろ言いたくなっちゃうんすかね。
意外にも、明治天皇や伏見宮といった家父長が、この件に巻き込まれた女性(特に禎子女王)に対してきめ細かい心配りをしているのが救いだった。