絶対城先輩の妖怪学講座 九 (メディアワークス文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048924092

作品紹介・あらすじ

絶対城を頼り四十四番資料室を訪れた、「狐憑き」に悩む女子学生、葛木葉子。こっくりさんの儀式でお祓いを行う絶対城に対し、葛木は「笑わせないでよね!」と言い放ち、真怪秘録覚書『狐』の資料と共に姿を消してしまう。
 突然の事態に動揺する一同だったが、何故か礼音は、葉子の声に聞き覚えがあった。声を頼りに、お祓いと同じ日に礼音が巻き込まれた事件を調べ始めると、海辺のリゾートホテルで開催されるマジックショーのステージに辿り付く。はたして妖怪博士と天才マジシャンが解き明かす『狐』の真実とは。

感想・レビュー・書評

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  • 今回は、狐と自称するマジシャンが相手。狐という妖の特徴を上手く話の展開に生かしていて、なかなか面白い。こんな相手じゃどうしようもないなあと思っても、絶対城と礼音たちは、何とかしちゃうんだよねえ。二人の仲も急速に進展。白澤の存在が不気味。

  • 【感想】
    ・いきなり白澤かと思っていたら、まだらしい。でもビッグネームのお狐さま。
    ・一巻目から考えていたけど違うかなと捨ておいた展開予想がまた息を吹き返したかもしれない?

    【内容】
    ・今回は、狐憑き、小女郎狐、狸囃子、送り狼、髪剃り狐、宝珠の玉。狐系かな。
    ・自分が狐憑きだと信じた女子学生が追い払っても追い払ってもやってくるのでさすがの絶対城先輩もまいった。
    ・ハメられた絶対城。重要な資料を奪われたが、それが目的というより人質(資料質?)、どうする?
    ・ハメられた礼音。弱そうな男子高校生の用心棒になる。礼音をハメた理由は?
    ・狐と絶対城の対決、礼音の決心。

    ▼文学部四号館四階四十四番資料室についての簡単なメモ(妖怪については基本作中の説明によるので一般的な説とは異なるかも?)

    【アイビー】東勢大学内の喫茶店。第一学生食堂より値段は高く量は少なく客層はおしゃれで華やか。
    【晃】→櫻城晃
    【朝霧シアン】謎の少年。高校生くらい。頭脳明晰で運動神経も抜群。読んだ人はまず河童かもしれないと思うだろう。でも、河童はある意味創作された妖怪ということやし?
    【礼音/あやね】→湯ノ山礼音
    【蟻】この話のなかで皆で合体して子どものような姿になる蟻が出てくる。ホンマにおったら珍アリとしてテレビの科学系、自然系の番組で引っ張りだこやろなあ。
    【いくち】第二巻に登場。
    【糸倉】大日本護法息滅会のメンバー。じつは・・・
    【今村】映画研究会の部員。
    【空木淳郎/うつぎ・じゅんろう】紫の知人。おそらく元恋人。森林保護に携わっている腕のいい樹木医であり植物学者だったが森林に撒かれた有害物質の調査に行き身体を壊した後過激な考え方に変化した。行方不明。
    【牛鬼】概ね危険な妖怪。伝わる地域によって姿かたちがバラバラでまとめにくい。水中の妖怪としては河童よりも古い。牛鬼と言えば宇和島あたりだがわりと広く分布していたらしい。
    【馬鬼】第一巻に登場。不慮の事故で死んだ馬の霊が妖怪化し不幸を招く。
    【映画研究会】専門はホラーとアクション、バイオレンス。高尚なアート系はシネマ同好会の領分。
    【遠藤】映画研究会の部長。
    【オオカミ】山の信仰とセット。
    【大柴】映画研究会の副部長? 茶髪で猿っぽい顔の人。
    【大入道】禿頭の巨人。
    【大百足】第二巻に登場。
    【大蛇】第二巻に登場。
    【鬼】牛のような角を生やし虎のパンツをはいているのはウシトラの方角すなわち北東、鬼門が不吉だからだそうだ。あのクラウス教授をして「鬼には手を出すな」と言わしめた恐ろしい存在のようだ。
    【織口乃理子】国文科准教授。28歳だが20歳そこそこにしか見えないお嬢様っぽい美女。大学創始者の一族だが今は絶縁しているもよう。一時期敵対していたが、後に協力者(?)となる。真怪二口女だが特にこれといった能力はない。
    【御場島/おんばじま】ダイダラボッチ神像とかかわりがあるらしい火山島。島全体がダイダラボ講を信仰している。真鎧鉱業の研究所がある。Y県伍来半島(ごらいはんとう)沖六十キロにある。

    【ガイラゴ】ぶよぶよした肉体の妖怪。第四巻に登場。漠然とした恐ろしい妖怪のひとつ。
    【香宇良山/かうらさん】かつてクラウス教授が謎の集団に脅迫された山。W県にある。
    【河童】超有名な水妖だが創作された妖怪に近い。鬼が古代、天狗が中世を代表する妖怪なのに対して河童は近世を代表する。発生当初から人間より弱い存在という設定らしいが櫻城紫さんの説では自然(特に水関係)に対する人間の感覚が江戸期には、畏れつつも最後には支配できるというふうに変わってきたからではないかとのこと。もともとあった河童的存在のイメージに人間があれやこれや付け加えた結果、今の姿になった。医療・薬学とも関わりが深い。
    【鎌鼬】第三巻に登場。有名妖怪。民間伝承系でしぶとく生き残っている。真空説はあり得ない。
    【神隠し】人が突然行方不明になる現象の総称。さらうのは神とは限らず妖怪など人知を超えた場合をそう呼ぶ。誘拐も多かっただろうが、蒸発・家出も多かっただろうと個人的には思っている。絶対城もそう考えているようだ。
    【唐紙キブンゴ】老マジシャン。
    【川端恭介】礼音の地元での二学年先輩。日奈美の恋人。おとなしい性格。今のところ登場はしていない。
    【川坊主】ぬめぬめした体表を持つ人型の妖怪。第四巻に登場。河童の亜種。人を見ると襲ってくる。エンドウ豆が苦手。
    【考える】知らなければ考えろ。 第二巻p.21
    【着ぐるみ】《男はな、着ぐるみに入ったら、女子に接触したくなる生き物なんだよ。これはもう自然の摂理だから仕方ない。》by大柴、第五巻p.91
    【杵松明人】理工学部の三年生。絶対城の友人にして協力者。すごく聞き上手で人あしらいがうまい。元演劇部。「ロマンとセンチメンタリズムは人生を彩る大事な要素だ」第四巻p.317。
    【木村茂吉】小久保荘の営繕担当。節足動物ラヴァー。
    【きよ】はるか昔の兵部家の当主で、河童と闘い腕を切り落とした。
    【京極夏彦さんとの違い】京極夏彦さんの作品とものごとを解決させる方向性は近いが、テイストは異なり、こっちはおどろおどろしい感じはほぼなくあっさりと軽くてドタバタしてる。コケオドシがないので好ましくはある。
    【清姫】安珍清姫の清姫。彼女も鬼の一種。
    【葛木葉子/くずき・ようこ】文学部一年の気弱そうな女子学生。とある依頼に来た。名前からしてお狐さまの関係者。
    【クラウス・インフォレスト】絶対城の師匠。紳士的にだが、美女はとりあえずナンパする。文学部四号館の正式な持ち主。フィールドワークが好み。密教系古武道の達人。正体は自称・・・。「声を荒げた時点であらゆる議論は終了となる」第三巻p.122。
    【倉ぼっこ】座敷わらしの一種で倉にいる。
    【外道院/げどういん】孤高山にある寺。どうやら「だます」ノウハウを教えてくれる施設だったらしい。
    【玄葉翔/げんば・しょう】詐欺師のグループに襲われていたのを礼音が救った高校生。祖父が金持ちで狙われているらしい。
    【光陰】罵王院光陰。大日本護法息滅会のトップ。自称「憑きもの」。昨年まで東勢大学工学部バイオ資源学科の大学院にいた。担当教授は真萱/まがや。今は退職。本名は番場尚敏。
    【コーポ・ネオ苗代】礼音が入居している集合住宅。大学から自転車で二十分。いろいろ不便な位置にあるので家賃はお手頃。
    【小久保日奈美/こくぼ・ひなみ】礼音の地元での友人。今はひなびたしかし通好みの温泉宿小久保荘の若女将。
    【孤高山/ここうざん】旧名。高くも低くもなく交通の便がわるい無名の山。外道院(げどういん)という寺がある。
    【九日霧子/ここのか・きりこ】女詐欺師。玄葉翔クンの祖父を狙っているらしい。
    【こそこそ岩】しゃべる鉱物性妖怪。
    【駒引川】櫻城紫の屋敷の近くを流れる川。河童が出る。なるほど、やからその名前か。最近開発計画が出ている。

    【三枝】東勢大学の学生。大日本護法息滅会に関心あり。
    【櫻城晃/さくらぎ・あきら】絶対城が妖怪学にのめり込むきっかけになった女性。鬼について調べていたがそのせいで殺された可能性がある。実はとある真怪。櫻城紫の妹。長身の礼音よりも背が高い。《知らずに不安がるより知って苦しむ方が好きなの。》第七巻p.256。《当たって砕け!》第七巻p.257。
    【櫻城紫/さくらぎ・ゆかり】非の打ち所のない美人。礼音は彼女にコンプレックスを抱く。絶対城いわく「同好の士」。大学と同じ市内のようだが人里離れた感じの深泥淵(みどろぶち)の傍らに建つ屋敷で暮らしている。茶道櫻城流宗家の令嬢にして櫻城流の家元でもある。河童専門のアマチュア研究家として絶対城も一目置く。
    【座敷わらし】家に出る、子どもの姿をした妖怪。初めて記録に出るのは明治に入ってからと意外に新しい。《二十一世紀になってもなお噂が生まれ続ける、現役の妖怪》第七巻p.20。無人になった住居が増える限り座敷わらしも増える。座敷わらしがいて、それが去って集落自体が衰退し廃村になるというパターンがありそうだと絶対城は推測している。
    【沢渡冬二郎/さわたり・とうじろう】櫻城さんちの庭師。
    【しかみ】恐ろしい顔をすることで鬼神に近づく。糸倉は自分たちを「しかみ衆」と読んだ。
    【七人みさき】第二巻にちょっと名前が出てくるけど、個人的には昔からあれがけっこう怖い。なんでかわからないけど。いつかメイン妖怪として出てくるだろうか? まあ、あれを妖怪と呼べるならやけど。
    【酒天童子】ビッグネーム。元々が妖怪なのか、鬼なのか、ゲリラ組織、テロ組織なのか、盗賊団なのか、ただの怖い人間なのか、あるいは正義の味方だが中央にとってはおもしろくなかった連中だったのかよくわからない。この話ではなんらかのシステムの頂点のようだ。体制とは別の視点で日本を守っているらしい。かつて体制に倒されたわりに体制と協力することもあるらしい。
    【樹木信仰】比較的新しい文化。元々はただ建材としてしか見ておらず奈良時代前後に寺社建立のため巨木を伐りすぎレアになった後に生まれたらしい。
    【城之内】映画研究会の女性部員。
    【白尾根】隣の市の小さな町。雪女が出る。
    【しろまくれ】第三巻に登場。はしてないけど名前は出た。それに例えたせいで礼音を怒らせた。
    【真怪】ほんとうの妖怪と分類されるもの。中には怪異を操る「技術としての真怪」というのもある。登場人物の中では主人公のひとり湯ノ山礼音、織口乃理子、櫻城晃。
    【真怪秘録】幻の本。この物語の中心になっていると言える。絶対城が追っているものとも言える。
    【スカイJ】最近流行っている合法ドラッグ。東勢大学にもやってきた。価格は安く効果抜群のわりに肉体的には害がないと言われている。話の流れからすると、とある樹木医が関わっているのだろうか。あと、もしかしたらとある妖怪専門ライターも?
    【杉比良湖奈/すぎひら・こな】座敷わらしに襲われたと思ったら妖怪専門ライターだった。エヴァのミサトさんのイメージくらいかな。より劇的にしようとして盛って書くわけだが(捏造)それはそれで妖怪に対する正しい記録方法ではある。かくして妖怪には尾ひれがついていき曖昧な存在になっていく。
    【絶対城阿頼耶/ぜったいじょう・あらや】文学部四号館四十四番資料室に住まうワイシャツに黒の羽織で黒色の長身の怪人。妖怪に詳しい学生。バリトンボイス。スポーツは嫌いだがフィールドワークで山歩きには慣れている。改名しているらしく、その名の由来は井上円了の文章のようで、絶対城はあらゆる知識の集まる書庫のこと、阿頼耶は最も深い場所くらいの意。本名というか元の名前は不明。クラウスは知ってるようなので過去にあったらしい出来事のときに変えた可能性が高い。実家は政治家を輩出する家柄。礼音は「先輩」と呼び、杵松は「阿羅耶」と呼ぶ。
    【創作妖怪】絶対城は創作された妖怪にはそう大きな関心を示さないが、創作物であっても多くの人のイメージとしてあるのなら、脳内にいるのなら、いつかそれら多くのイメージがかたちをなすこともあるかもなあとか思う。AIM拡散力場みたいに。
    【蒼空/そら】小学五年生。礼音が通う市営スポーツセンター二階の柔剣道場で合気道を習う受講仲間。船幽霊を目撃してしまった。礼音のことをコーチと呼ぶ。

    【第一学生食堂】通称「いっしょく」。礼音御用達。
    【ダイダラボ講】御場島で信仰されている。初代鎮女となったシズさまの命を捧げた願いに応え女神ダイダラボッチが火山噴火を抑えてくれているという伝説がある。
    【大日本護法息滅会】宗教団体。東勢大学から車で二時間半ほどの山間の朽縄町にあり、教祖の光陰は大学のOBで昨年まで理工学部の院にいたらしい。
    【高岩】とある若手政治家のボディーガード。
    【竹上行哉/たけがみ・ゆきや】依頼人。勘違いしたイタリア人またおに大袈裟で軽い人物。不特定多数の女性への愛に生きている。
    【立見菜月/たつみ・なつき】薬剤師。四十歳手前くらい。白尾根の温泉で出会った。天寺市の兵部製薬で働いていた。
    【多邇具久/たにぐく】蛙を神として敬うときの呼び名。特に知恵の神としての性格を強調するとき。農業国の日本では蛙が田の神とされることも多い。
    【憑きもの】第四巻に登場。大日本護法息滅会のトップ、光陰が使うとされる。飯綱使いとか管キツネなどのこと。光陰はトウビョウ(小蛇の集団)を使うらしい。持ち主の意思を反映して勝手に働いたりする。おおむねいい目にあっているヤツへの社会的制裁として「あいつは憑きもの」だとレッテルを貼る形らしい。「今日はついてる」と言ったりするのはこの憑きもののことなんだとか。
    【付喪神】第一巻に登場。長く使われた道具が変じた妖怪。
    【土蜘蛛】第一巻に登場。人を襲う蜘蛛妖怪。けっこう強力な妖怪として描かれることが多い。
    【釣瓶下し/つるべおろし】人魂のようなものが上下に行ったり来たりする。バリエーション多し。
    【手品】妖怪学と近い方向性を持つので絶対城はその手の資料も多く持っている。九巻では手品師との対決? 人は心地よく騙されたいという欲求を持っていると思う。フィクションの小説も、妖怪話も、手品も。心地よくという一点で詐欺とは異なる。宗教は微妙なところ。
    【天狗】第三巻に登場。超ビッグネーム。公的記録にも民間伝承にも現れ、歴史も長く、さまざまな様相で描かれる。絶対城先輩の暴くその正体は・・・
    【東勢大学】舞台となる私立大学。天寺市(てんじし)にある。古い施設を流用して創られており怪しい噂がいっぱい。
    【鳥山石燕】妖怪画集で有名な絵師。オリジナル妖怪を入れたり、名前をより印象的なものに変えたりしているので絶対城の評価は微妙なところがある。
    【ドレス】礼音が絶対城をしばらく居候させた礼に買ってくれた。礼音いわく《あんな王室主催フラメンコ大会みたいな服》第四巻p.77。
    【泥田坊】第四巻に登場。メジャー妖怪だが鳥山石燕の創作なんだとか。当時の誰かを風刺したものらしいが昔からの伝承と創作妖怪を区別なく並べたために同列に扱われるようになった。ご近所に似たようなのが出没しているらしく小学生の間では「ドロドロ」と呼ばれている。

    【ナメラ筋】位置的な妖怪。超常的な存在が利用する道。ナメラとは一般的には蛇のことを今するらしい。
    【南郷蒼空/なんごう・そら】→蒼空
    【ナンジャモンジャ】正体のわからない大木でかつ畏怖を感じさせる神々しさのあるものの総称。
    【鵺】第三巻に登場。その正体は・・・
    【ぬらりひょん】第一巻に登場。頭が大きくて背丈の低い老人の姿の妖怪。「妖怪の総大将」的な言い方は後付けの設定だとか。
    【粘菌】南方熊楠で有名になった、かなりおもろい生物。第四巻の重要ファクター。
    【ノタバリコ】座敷わらしの一種。低級。屋内を這いまわるらしい。
    【のっぺらぼう】メジャー妖怪。闇夜の象徴。意外なところで登場。この話の中では、相手の持っているイメージを利用して、幻覚で変身しているように見せる能力を持っている。

    【白澤】なんでも知ってる妖怪。白澤書房ってのが前の巻(第七巻)からチラチラと。どうやら次の「悪の組織」かも? 妖怪に関する情報で利益を得ているようだ。「鬼」が意外に大したことなかったので期待。白澤は「しゃばけ」にも登場。「鬼灯の冷徹」では神獣って感じかな。
    【破多破多/ぱたぱた】ぱん、という音が聞こえるが音源を探しても見つからない現象の妖怪化。
    【春田】市営スポーツセンターで合気道を教えている師範。
    【一つ目小僧】メジャー妖怪。第四巻に登場。絶対城は月を擬人化したのではないかと考えている。
    【判断】「それを決めるのは本人じゃないさ。判断するのはギャラリーだ」第二巻p.40
    【ひょうすべ】河童の仲間。古いタイプ。いっこ下の兵部って音が近いな。神話伝説系では音には意味があることが多いのでたぶん関係あるんやろな。
    【兵部統子】天寺市市会議員。駒引川を開発しようとしている。兵部製薬の一族。駒引川開発は誰が考えても赤字になるので企業と議員の癒着は取沙汰されていない。他者に命令したりすること自体を好むタイプと織口先生は言う。男の権力者に多いタイプ。「若いチカラ活用プロジェクト」を推進している。
    【広人】そらくんの友人。合気道を習っている一人。
    【神籬村/ひもろぎむら】廃村。座敷わらしが出るというウワサ。開拓されて十年ほどで捨てられた。スケール感の狂う超巨大なクスノキがある。他に正体不明の物音が聞こえることがあるらしい。
    【フォーシング】手品師が自分の好きなカードを相手に引かせる誘導術。
    【二口女】『絵本百物語』の中にしかでてこないが別名「食わず女房」、こちらは全国に伝わっている。後頭部に口がありそこからものを食べる。胃袋はひとつなのだから口が多いからといって大食いになれるわけではなかろうにと昔から思っていた。
    【船幽霊】第二巻に登場。
    【ふれあい牧場】白尾根で雪女の話を聞いた寺の隣にかつてあった動物園と牧場の中間のような施設。動物虐待をしていたらしく、管理も甘く苦情が多かったからか夜逃げした。
    【プレステージ】マジックパブ。プロの手品が見られる洋風酒場。今は廃墟。
    【べとべとさん】第一巻に登場。足音だけがついてくる追跡系の妖怪。あるフレーズを唱えることで去ってゆく。
    【方相氏】鬼を追い払ったりする。
    【星川】海洋生物学専門の小柄で童顔で気弱そうな女子学生。理工学部のバイオ資源学科四年生。船幽霊事件で関わった。見た目に反してイヤなことはテコでもやらない強さも持つ。いつか礼音のライバル? になるかも? 「恐竜とかマンモスとか、単体で強い生物って、意外とあっさり滅びますから……。弱くて小さくて小賢しい方が、結果的には有利なんですよ……?」

    【真鎧辰彦/まがい・たつひこ】御場島の研究センター所長。同族会社の真鎧鉱業では傍流で実質的なトップは本家の龍成。
    【真鎧龍成/まがい・りゅうせい】織口の婚約者。同族会社の真鎧鉱業では本家筋で常務。ちやほやされて成長してきたので傲岸不遜な人間となっている。
    【真萱鋭吉/まがや・えいきち】東勢大学で研究室を持っていた生物学者。粘菌が専門。憑きもの使いの血族らしく、その教え子がトップを務めている大日本護法息滅会と何らかの関わりがありそうな感じ。
    【間刈/まがり】市営スポーツセンターで剣道を教えている警官。厳格で短気な性格。
    【真久間トヨ】ダイダラボ講の当代の鎮女(しずめ)。
    【見越し】第二巻に登場。
    【水木しげる】民俗学的伝承のある妖怪と、鳥山石燕などの創作した妖怪を、おそらく意識的に混在させて紹介し、そのことで最近の妖怪観が決定づけられたと絶対城は言う。
    【海晴/みはる】蒼空(そら)の友人。小学六年生。市営スポーツセンターで剣道を習う美少女剣士。鎌鼬の被害に遭った。
    【狢屋金鳥/むじなや・きんちょう】消息不明になっている芸人。声帯模写が異様に上手かった。
    【目目連】いっぱい目がある妖怪。鳥山石燕の創作。
    【門】平安京の門、有名どころでは羅生門や朱雀門ではおにがよく出る。内と外を隔てる境界だからということだそうだ。ただあくまでも象徴なので門はあっても防壁とかはなかったらしい。

    【夜行さん】第二巻に登場。
    【柳田国男】妖怪という現象がいったいどういう存在であるのか、実際にいるならばどういう現象であるのか現代人の目で見直した井上円了に対し、柳田国男は妖怪が伝わってきたということ自体を、その背景を重視した。ある意味人間を主体に考えているということか。井上円了へのアンチテーゼ的なところがあるので円了の考えを踏襲しているところがある絶対城にとっては微妙な位置付け。
    【山姥/やまうば】第三巻に登場。個人的には「やまんば」と呼んでいたが「やまうば」が正式? 絶対城によると民間で広まった伝承ゆえに鬼や天狗に較べより直接的な怖さがある。恐怖をもたらす者であると同時に善性を抱くこともある不可解な存在。
    【ユーレイ】絶対城は湯ノ山礼音をこう呼ぶ。
    【友香/ゆか】礼音と同じ学部の友人。
    【紫/ゆかり】→櫻城紫
    【雪女】ラフカディオ・ハーンの雪女が秀逸すぎてイメージが固まってしまったが、多くは出会った人間をいきなり殺す。いろんな話が混じりやすいタイプ。
    【湯ノ山礼音/ゆのやま・あやね】語り手。ヒロイン? 大学一年、経済学部。長身でツルペタ系の女性。たぶん、うまくすれば男装の麗人ふうになれると思う。絶対城先輩はユーレイと呼ぶ。とある妖怪の末裔らしくサンプルとも呼ぶ。能力を解放したら凄いんやけど普段は解放していたくはなく、そのためには絶対城先輩の作る(怪しい)アイテムが必要でほぼ下僕扱いされている。趣味と特技は合気道。蒼空くんいわく《コーチには女子のことは分かんないだろうけど》第六巻p.81
    【妖怪】個人的に考えているだけだが、妖怪は概ね、人間が主に自然(および自然現象)と折り合いをつけるため、そのズレを埋めるために発生したのかなと思っているので絶対城先輩のやり方は本来のありように合ってるんだろうと思う。
    【妖怪学】井上円了がつくった学問。その意図は妖怪という怪しい存在に理性の光を当て、そのバックボーン、背景に隠されたものを探ること。要するに妖怪なんていないと証明したかったってことかと。それは時として不都合なことを隠蔽してきた権力側にとってまずいことでもあり、それゆえに危険でもあった。
    【妖怪学の意義】礼音がいつか誰かの役に立つかもしれないと言って、ある程度絶対城先輩が納得したみたいなのが不思議。そんなもんとはちゃうでしょ? よっぽど弱ってたのかと思ったら、そうでもなかったみたいやし。ちょっとキャラがブレてたかな。
    【妖怪の分類】井上円了が提唱したらしい。生物などを見誤った「誤怪」、捏造された「偽怪」、自然現象などを超自然と思い込む「仮怪」(その中でさらに物理的実体に由来するものを「物怪」、心理的要因に由来するものを「心怪」)、そして「真怪」はほんとうの妖怪。

    【ルナール尾坂部】手品師。唐紙キブンゴが初めて会ったときは鯰団三郎(なまず・だんざぶろう)の助手だった。天才だったが新しい技術を求めすぎ客に後遺症が残りかねない危険なトリックも平気で行い周囲から非難され姿を消した。《ルナールと先輩って、やっぱり似た者同士なのかも。》第九巻p.239。
    【霊】妖怪は自然発生だが霊は人工的なもので深みが違うらしい。それは、ぼくもそう思ってる。
    【六条清香/ろくじょう・きよか】小学生。竹上の英会話教室に通っている女子グループの一員。蒼空くんいわく「ロードオブザリング」みたいなかっこいい名前のスポーツをやってたらしい。って、六巻第二章の答え、それだけでわかるやん。

    【わいら】第三巻に登場。名前と姿だけはいくらか流布しているがバックボーンを持たない妖怪。どうやら無名の絵師の創作かもしれない。
    【若いチカラ活用プロジェクト】兵部統子市会議員が推進している。大学生などの能力を地域振興に使おうというプロジェクト。織口先生は反対している。
    【若林直央/わかばやし・なお】東勢大学農学部一年で小柄で童顔、中学生くらいに見える。絶対城不在のときに依頼を持ってくる。
    【笑い女】第三巻に名前のみ登場。

  • 狐の巻。遂にくっついたね。もう若くもないのでテレテレしあってるところなんかもう読んでられないけど、二人の関係性はとても好きですよ

  • 「狐付き」
    狐が人間に憑依すること、およびそれによって生じる変異のことを言う。
    古来より広く語られる著名な怪異だが、故に伝えられる様相のバリエーションは極めて広い。
    相手を術にはめるには徐々に時間をかけてというのは間違っていないのだなと思ったと同時に、何故ここまで手の込んだ事をしてまで秘録を奪ったのか気になるな。

    「小女郎狐」
    京都などに伝わる化け狐の一つ。
    美女に化けて人を騙す狐の名前の一つであり、「おとん女郎」や「しょろしょろ狐」の同類。
    彼女の話を聞いている間、詐欺師の親玉が狐なのだと完全に騙されていた為違う名前が出た瞬間とても驚いたな。

    「狸囃子」
    関東を中心に全国に伝わる。
    狸がお腹を叩く音がどこからともなく聞こえてくる怪異現象。
    マジックのネタは思ったよりも単純であるが、人間である限り見破ろうとしても無意識に別の物に目がいってしまいそうだな。

    「送り狼」
    全国の山間部に広く伝わる。
    転んだら襲われるや、煙草が嫌いだから煙草を吸えばいいなど色々対処法がつたわっている。
    山奥で日も暮れた後に狼と出会うなんて、どれだけ恐怖な出来事か計り知れないがそれを対処してしまうこの二人もすごいな。

    「髪剃り狐」
    人を騙して髪を剃り丸坊主にしてしまう化け狐、もしくはその狐が登場する昔話。
    道行く人を化かして髪を剃ってしまう悪戯好きの狐。
    相手を騙すなら味方からともいうが、流石にあそこまでの演技を事前に知らず目の辺りにしたら狼狽える所では済まないだろうな。

    「宝珠の玉」
    狐の毛が固まった白い玉で「狐の毛玉」とも言う。
    これは誰の視点なのか分からないが、確実に殺られたのは彼等であるようにしか思えないな…。

  • 化かす動物と言えば狸と狐ですが、狸は悪戯レベルな感じなのに対して狐は狡賢いイメージです。なぜ狐は化かすと言われるのか。なかなかいい着想です。

  • 狐の回
    お付き合い始めるのね~
    胸キュン出来ないのはなんでだろう?

  • 狐を名乗る奇術師との対峙の巻。
    久々に大掛かりなことにはならなく、こぢんまりとしていた感じ。
    手品関係のストーリーは面白かった。

    杵松さんがキツネ関係かと思ったけれど、違ったのか。
    苗字にきつねの音が入っているし…。
    松明のように絶対城先輩を明るく照らすってことなのか?

    そして、ついに礼音が成り行きで…!
    どっちも相手にそこまで好かれているとか思っていなかったとは…。
    にぶちん!!

    最後の白澤部分。
    正体に気づいてないということは今までに登場している人物なのか。
    明人さんが正体不明で怪しいけれど、そこまで単純ではないだろうし。
    うーん。

  • 終盤で急進展!!でも終わりが近いということなんだろうか…まだまだ続いて欲しい。

  • 【『狐』の真実に挑む、妖怪博士・絶対城。鍵を握る天才マジシャンの正体とは──】

     絶対城を頼り四十四番資料室を訪れた、「狐憑き」に悩む女子学生、葛木葉子。こっくりさんの儀式でお祓いを行う絶対城に対し、葛木は「笑わせないでよね!」と言い放ち、真怪秘録覚書『狐』の資料と共に姿を消してしまう。
     突然の事態に動揺する一同だったが、何故か礼音は、葉子の声に聞き覚えがあった。
     声を頼りに、お祓いと同じ日に礼音が巻き込まれた事件を調べ始めると、海辺のリゾートホテルで開催されるマジックショーのステージに辿り付く。
     はたして妖怪博士と天才マジシャンが解き明かす『狐』の真実とは。

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著者プロフィール

小説家。2008年に『ほうかご百物語』でデビュー。著作に『少年泉鏡花の明治奇談録』『金沢古妖具屋くらがり堂』『今昔ばけもの奇譚』『ゲゲゲの鬼太郎(TVアニメ第6期ノベライズ)』など。予言獣を扱った作品に『ほうかご百物語8』、『絶対城先輩の妖怪学講座 十』(いずれもKADOKAWA)、『アマビエを探しに』(『文芸ラジオ』8号)などがある。
○推し予言獣は「左立領」。中に二人くらい入っていそうなデザインが着ぐるみ怪獣愛好家としてはたまりません。

「2023年 『予言獣大図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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