- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048936125
作品紹介・あらすじ
第24回電撃小説大賞《金賞》受賞作!
――これは僕が失った、二百十四回にも及ぶ一週間の恋の話。
そして、わたしが手にした、四年に及ぶ一度きりの恋の話。
「ねえ、由くん。わたしはあなたが――」
初めて聞いたその声に足を止める。学校からの帰り道。中学のグラウンドや、駅前の本屋。それから白い猫が眠る空き地の中で、なぜだか僕のことを知っている不思議な少女・椎名由希は、いつもそんな風に声をかけてきた。
笑って、泣いて、怒って、手を繋いで。
僕たちは何度も、消えていく思い出を、どこにも存在しない約束を重ねていく。
だから、僕は何も知らなかったんだ。
由希が浮かべた笑顔の価値も、零した涙の意味も。たくさんの「初めまして」に込められた、たった一つの想いすら。
――これは残酷なまでに切なく、心を捉えて離さない、出会いと別れの物語。
感想・レビュー・書評
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序盤は仕掛けがよく分からなかった。
それでも仕掛けが理解できると途端に胸が締め付けられ、読む手が止まらない。
ヒロインである 由希 には色んな意味があり、それを理解すればする程、由希を抱き締めたくなる衝動。
桜を見るたびこのお話を思い出しそうです。 -
正月休みを活用して、一気読み。よい作品でした。1、2章くらいまでは主人公が高校生だったり、中学生だったりして時制を把握できず、ちょっと混乱。読み進めると「なるほど、そういう仕掛けか」と納得したけど(ネタバレになるので内容はナイショ)。2回読むとまた印象が変わりそう。でもラストはもう少し書き込みが欲しかったかなー。
それにしても葉月文さんは美少女の描き方がうまい。今作のヒロインである椎名由希もだけど、「あの日、神様に願ったことは」のヒロイン、逢見燈華、黄金井月泪も魅力的だったし。 -
3.8
蛇足的な継続がなかったのがいい。ラストまで駆け抜けた感じ。にしてはそれほどラストが良かったと言われたらなんとも。 -
割と純愛モノ。『陽だまりの彼女』のような読後感。面白かったけど、電撃のラノベとしては、こういう設定になった理由付けが欲しいなと思ったり。もう自分はメインターゲットの読者層じゃないのかもしれない。
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ファンタジー(SF?)設定の言ってみれば悲恋系なお話。
ラストの持って行き方はまあ、分かるけど、個人的にはちょっと納得いかない。
そこは奇蹟でもなんでも、ハッピーエンドにして欲しかった。
記憶が消えて何度も繰り返す話は、最初、記憶が消えてしまう病気系か、何度も時を繰り返すSF系か、それとも白ネコちゃんのファンタジー系か(笑)と思って読んでたのだけど、どれも矛盾があって中程で真相が明かされたときは、なるほどと思った。
でも、これは救われないよなあ。
由希的にはその想いでがあれば生きてゆけるのだろうか?
春由はなぜか分からないけれど心惹かれる場所があれば十分なのだろうか?
いや、やっぱりちょっと納得いかない。
こう言うのはいやだな。
そう思う。
とは言え、物語としては楽しく読んだ。
それはよかった。
それだけに…… -
アラサー女が読むにはしんどかったけれど(すいません)、電撃の読者層には響くんじゃないかな。
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「うそつき」その一言が効果的に響く青春恋愛小説。
1週間で記憶が失われるという部分だけを聞いて「またか」と食傷気味に読み始めたが、なんのなんの、単なるありきたりの設定でなかったのは、さすが電撃大賞金賞受賞作。
ランダムな時系列で、設定の背景や「うそつき」の理由を明かしていく構成は面白い。
文章には透明感があり、それは美しさでもあるが、やや薄いなと感じる部分でもある。深掘りされた言葉が読み取れなかったので、高校生にしてはかなり情感的な色恋模様なのに、上滑りしている感があり、ちと残念。 -
電撃の賞で恋愛ものって少ない、ってことで読んでみました。
物語としては特に真新しいものではないけれど、綺麗な小説でした。 -
【君との積み重ねた思い出を僕だけは忘れないように】
少女と少年の記憶に纏わる出会いと別れの物語。
人と人の関係はひとえにその人との日々の積み重ねで形成される物である。
しかし、少女の死によって、周りの人々は少女に関する記憶を忘れてしまう。
本当の死とは、その人の事を忘れて思い出さなく事。
これは、少年と少女の淡くて脆いたった一度きりの恋の物語。
積み重なる物が無いからこそ、自分の存在を何とか楔として世界に埋め込もうと足掻く由希と、沢山の初めましてを繰り返して。
それでも彼女を忘れない由の純愛が胸に切ない痛みを齎すのだ。