恋は双子で割り切れない (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 152
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049137323

作品紹介・あらすじ

 我が家が神宮寺家の隣に引っ越してきたのは僕が六歳の頃。それから高校一年の現在に至るまで両家両親共々仲が良く、そこの双子姉妹とは家族同然で一緒に育った親友だった。
 見た目ボーイッシュで中身乙女な姉・琉実と、外面カワイイ本性地雷なサブカルオタの妹・那織。そして性格対照の美人姉妹に挟まれてまんざらでもない、僕こと白崎純。いつからか芽生えた恋心を抱えてはいても、特定の関係を持つでもなく交流は続いていたのだけれど――。
「わたしと付き合ってみない? お試しみたいな感じでどう?」
 ――琉実が発したこの一言が、やがて僕達を妙な三角関係へと導いていく。
 初恋こじらせ系双子ラブコメ開幕!

感想・レビュー・書評

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  • シンプルには幼馴染の三角関係なんだけど、複雑に(笑)でも、やっぱりお姉ちゃんの方が好きなんじゃないかなぁ

  • いろんなもの(フィクションや詩、哲学など)からの引用やオマージュの組み合わせで物語を成立させ、組み合わせること自体が物語ることと同義という点が興味深い。

    純、琉実、那織の視点で、それぞれに合った文体で文章が紡がれるのも面白いと思った。例えば那織の場合、ライトノベル的に誇張された晦渋な文体だったり。

    ヒロインのひとりがチャンドラリアンというのもあまり見ないな、と。レイモンド・チャンドラー『プレイバック』の引用も、一般に流布した「あのセリフ」ではなく、清水俊二訳のものからなのは好印象だった(村上春樹訳でもよかったけど、ここでは清水俊二訳が適切だと感じた)。

    いろんな文化に触れている人ほど引用が分かって楽しいと思うが、反面で私はオマージュや引用抜きの「自分の言葉」(というものがあればだけれど)で書かれた著者の小説も読んでみたいと感じた。オマージュや引用をするにしても、それらに読者が気づかなくても、あるいは著者が明らかにしなくても楽しめる小説を書けたらもっといいんじゃないかなぁ。例えば、あとがきの文豪オマージュの解説も、あえて書かないといったこともできたと思う。気づく人は気づくし。メイン読者層的に解説したほうがよい(それで『人間失格』などの読者が増えるかも)、というのはあるのだろうが。

    物語自体としては、ライトノベルやラブコメを普段あまり読まない自分には新鮮に感じ、面白かった。作品を評価するにも、物語と引用が表裏一体というまではいかないが、切っても切れないくらいにはあると思うので、なかなか難しいけれど。

  • 面白い!久しぶりにページをめくる手が止められませんでした。著者の『好きな文化』がこれでもか、と込められた作品です。主人公の純と双子ヒロイン妹の那織の博覧強記っぷりでグイグイ物語を引っ張り、体育会系だけど心底乙女な双子ヒロイン姉の琉実によるセンチメンタリズムが炸裂して、両者のバランスがとても絶妙。ラブロマンスとラブコメの良いとこ取りという感じでした。続きを見たい感じもしますが、本作はここで完結した方が良いかも(いや、もちろん続編あれば嬉しい限り)。何故って?自分も琉実と那織のどちらかを選べないからですわ。

  • 名作の文章を引用しながら会話が展開したり、重要な局面で物語が文字通り同時進行したり、ほかの本とは読み口を大きく変えた1冊。
    ただその分ちょっと冗長に感じる部分もあるかもしれない。細かいやり取りに読者の意識を誘導する文章が仕組まれているなど、作り込みがすごいのは伝わってくるけど、もう少し全体としてテンポの良い方が好みかもしれない。

  • 会話の内容がマニアック…。文学作品は詳しくないからついていけん 笑

  • 関係を非常にこじらせた主人公+ヒロインs(双子)の話。視点が3人の間でくるくると入れ変わりながら進行し、各登場人物のこじらせまくった関係の心理描写を楽しむことが出来る。
    妹の那織が気にいるか(文体にとっつけるか)が、本作を好むかどうかの分水嶺だと思う。文学や映画、アニメなどなどの作品のネタを大量に利用した文が展開される為、ヒットする人には大ヒットするが、だめな人は全然だめなのでは?と思う。
    ちなみに個人的には大ヒット。那織ちゃんを追いかけるために、このまま読み続けようかと考えるレベル。

  • 本作を読んでいると、どうしても思わずに居られないのが「随分と取っ付き難い文章だ…」という点なのだけれど、よくよく読んで見れば取っ付き難いのは主に那織のモノローグであり、それ以外の特に琉実のモノローグはスッキリしていて読みやすく感じられる。また、純のモノローグは2人とは異なる趣を持っている
    つまり、本作は3人の思考回路によって構成されているようなものと考えることが出来るね。勿論、そこには作者の癖なども存在するのだけど、書き分けられた3人の思考を読み進めるのはある意味楽しい工程では有ったかな

    だから本作を読んでいる間は気になるモノローグを見つけてはマーカーを引くなんて事をしてしまったよ
    こういった行為をするのは随分久しぶりだし、もっと言ってしまうとややこしい文体で構成された文学作品を読んでいる時の気分を思い出してしまった


    文体以外に着目するなら、本作はかなりややこしい始まり方をしているね
    最初は双子の片割れである琉実で付き合っていたが、理不尽で身勝手な理由で振られて、それを消化できないままにもう一人の片割れである那織と付き合うことに純はなった
    それは傍目には非常に羨ましい状態なのだけれど、それぞれが納得感を得ないままに関係を進展させるから心の置きどころが難しくなる

    そこで三者三様の葛藤や心の動きを見せているのが本作の見せ場になるのかな?
    那織への申し訳無さから関係の解消を望みながら本意でなかった事から苦しみ続ける琉実
    感情を整理できないまま双子と向き合って、以前は那織が好きだったのに今は琉実が好きな自分に気付き悩む純
    下げ渡された彼氏、双子の妹としての自分。求められた役割を理解しつつも自分が望む条件を意識し続けた那織

    終盤の入り口で那織が明かす思惑については驚かされる一方でもやもやしていたものが落ち着くべき所に落ち着く感覚も得られるものだったな

    琉実と那織って双子だけど、二卵性双生児で性格も大きく異なる。なら全く似ていないのかと言えば、そうではないのだろうな
    この2人は姉・妹の役割、父系・母系の思考タイプ、インドア・アウトドアの行動範囲などによってまるで似た部分が少ないように思えるけれど、結局の所は芯の部分がそっくりだと感じられる。同じ人を好きになってしまった点だとか、どんな嫌味を言おうと双子の姉妹を大切にしている点だとか
    考えてみれば、琉実は勝手に付き合ってしまった罪悪感から純を振るという結末を自分で導き出したのだけど、那織だって何も明かさなければ手に入っていたものを自ら手放すかのように種明かしをしているんだもんなぁ
    あの双子は根本的に自分達の関係を壊したくない、とそういった部分が見えてくる描写の用に思えたよ

    けれど、それが大きくズレてしまったのは琉実が先に純に告白してしまった一件なのだろうな。そこから双子や純の関係性は変わらなくてはいけないもののように思えてしまった
    それが三人にとって大きな重石となり、那織が悪役な道化を演じなければならないような状態になってしまったのだろうね


    盛大に苦しんで盛大に当たり散らかして行き着いた先はスタート地点
    俺達のラブコメはまだまだ始まったばかりだ、といった所だろうか?

  • ちゃんとしてるけど、好みでは無いわ。

  • THE 三角関係
    サンプルを読んでた時はお姉ちゃん一択だったんだけど、読み終わる頃には二人共応援していた。

    私自身が長女なのもあってか
    思い当たることとか覚えのあることとがフラッシュバックして頭抱え

    ズルい…妹ズルい…って思ってた。
    可愛くってさって。機転も効くしさって。
    でも妹って、妹なりに努力してそこにいるんだよね
    私自身、負けたくなくて勝負をしなかったけど
    唯一守られた自尊心だけ大切に生きてるけど
    これ読んでる時はお姉ちゃんを応援しちゃうけど

    きっと妹はサブカルクソ野郎を手に入れるんだろうなー

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著者プロフィール

第27回電撃小説大賞に応募した作品が最終選考作となり、その後同作を改稿して出版した『恋は双子で割り切れない』でデビュー。恋愛に懊悩する思春期のキャラクターたちを巧みな筆致で描き分け、濃厚な感情描写の青春ラブコメとして評価を得る。

「2023年 『恋は双子で割り切れない5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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