86―エイティシックス―Ep.10 ―フラグメンタル・ネオテニー― (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049138801

作品紹介・あらすじ

シンが「アンダーテイカー」となり、恐れられるその前――原作第1巻、共和国の戦場に散ったエイティシックスたちの断片(フラグメンタル)と死神と呼ばれる少年に託された想いをつなぐ特別編!

感想・レビュー・書評

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  • 超人気ラノベシリーズとなった「エイティシックス」の最新刊。

    本書はエピソード0という立ち位置になるのかな。
    本主人公のシンの新兵時代が描かれますね。

    これを読んで思わず、

      そう!これ!これなんだよ、86は!

    とうなってしまった。

    まさに1巻以来、久々に感じたこの感情。

    最近のエイティシックスはちょっとキャラクター達が死なな過ぎて面白味に欠けていたけど、(←ほんと、あまりにも不謹慎な言葉ですが、86の一巻はキャラクターが死にすぎるほどに死にすぎてもう血反吐を吐くくらいでしたからw)この10巻を読んで1巻のあの感じが思い出されましたね。

    いや~、86はこうでなくっちゃね。

    それにしても、この10巻が発売されるタイミングでアニメも開始されたけど、このアニメ化は素晴らしかった。

    原作勢としてはまさに感涙ものでしたよ。
    特に声優、音楽、映像とどれも最高。特にシンとレーナの声優さんが秀逸。脚本もほとんど原作からいじってないし。

    実はアニメはあまり見ないんだけど、この「エイティシックス」だけは1巻を読み終わって以来、ずっと映像化を期待していたんだよね~。

    まさに、原作勢が感涙にむせぶ作品を作ってくれました。ありがとうございます。

    まだアニメはシーズン1が終了したばかりで1巻のラストシーンにも到達していませんがww。
    10月からのシーズン2も期待していますよ。

  • シンの過去がわかった…
    シンがどうして死神と呼ばれるようになったのかとかすごくよくわかった
    シンの最初の戦隊の戦隊長さんのことも知れ、シンの心情などにすごく感動した…!

  • 2023/12/17 読了。

    図書館から。

    戦場が、人間が、環境が、過酷で残忍で、
    ヒトは耐えるほどに削られていくのだなぁ…と。
    その中でも優しさがあったり友情と呼べるものが確かに在るんだろうけど、
    微かな本当に微かなものであって、そうやってシンが出来たのか…と思うともう…。

    まだ世界は変わらないけれど、
    辿り着けてよかった。

    ファイドの話が心に沁みた。そしてかわいい。

  • シンは如何にして「アンダーテイカー」となったか。本編の前日譚が語られる第10巻は連作短編集でした。第86区での出来事がメインであり非常に重たい展開が続くので陰鬱な気持ちになってしまいます。しかし、「死神」と呼ばれ他の隊員から忌み嫌われていたシンが、戦いを重ねいくうちに畏敬の念を抱かれる存在になっていく過程がしっかり描かれているので、陰鬱とした雰囲気の中にも救いとこれから彼を待っている未来に向けた光明が見えた気がします。ファイドが何故シンに懐いているのかも分かって良かった。ファイドかわいい。

  • シンエイ・ノウゼンという子供が死神になるまでの物語プラスα。その為にシンが死に隣接した存在になるまでを描いているというより、シンエイ・ノウゼンを構成する欠片を纏めているといった印象を受けるね
    だからこそ、ラストの帰結に繋がるのだろうし


    シンエイ・ノウゼンは特別に不幸だったというわけでも死に惹かれていたわけでもない
    ただ、数千万人に一人みたいな気味の悪い奇跡によって有り得ない程の戦闘適性を持っていただけ。それによって仲間が死に絶える戦場であろうと生き残れてしまった
    また、エイティシックスが押し込められた八六区という絶死の戦場が平時なら何の価値もない戦闘適正に意味を持たせてしまっただけ

    そもそもこの過去編でシンが絡む戦隊長達なども戦闘適正を持った存在と言えるんだよね。年間生存率が絶望的なまでに低い戦場で数年間も戦い続けている時点で奇蹟的な存在
    それらの傑物からしても化け物に思える程の強さを持ってしまったからシンは誰からも置いていかれ、皆の死を看取る存在になるしかなかった
    本人が望んだのではなく、そうならざるを得なかった

    だからシンに皆が託していく事になるわけだ
    八六区では墓を作れないから「覚えていてやれ」と指針を示したアリス、死にきれない仲間にとどめを刺す役目を明け渡したイスカ、シンに死神としての役割を与えてしまったエイジュ、死んだ後に連れて行ってくれるシンが居るから死ぬのは怖くないと言ったサイキ
    誰も彼も自分勝手で。けれど絶死の戦場を生きる為には誰も彼も縋り付くものが必要だったわけで。エイティシックスの多くにとってシンがそのような存在となり、シンはその役割に縋り付いて生きざるを得なかったわけだ

    そう考えた時、最初にシンと共に歩む役を得たファイドという存在がどれだけシンの支えになった事かと感じ入る
    他者から見ればスカベンジャーなんてただの機械に過ぎなくて。それでもシンに寄り添ってくれた。一緒に帰ってくれた
    いつも仲間に置き去りにされるシンにすればとても貴重な存在だったろうね

    あと、ファイド視点で描かれた短編は良い意味で明るい気分になれたというか
    そこにだって絶望は存在しているのだけど、ファイドが想像以上にコミカルで主想いの存在だったものだから、あの話を読めた事で幾らか救われた気持ちになってしまったよ
    と言うか、扉絵のファイド可愛すぎでしょ……


    そうしてシンが死神になるまでの物語が描かれた後は本編から零れ落ちていた物語の欠片達
    第1巻は主にレーナ視点で展開され、エイティシックスに覆い被さっていた希望なき虚無を上手い具合にボヤかしながら進行していたから、あの当時の出来事をエイティシックスがどう感じていたのか詳細に記していたかというと物足りない部分もあったのも事実
    クジョーがどういう人間だったかを拾い上げ、特別偵察任務中のスピアヘッド戦隊最後の旅路を描き
    そこには確かに希望なんて無かったかもしれないけど、エイティシックスが確かに生きていたと感じられるだけの物語が展開されていたよ


    最後に収録された嘘っぱちの物語
    本編にて想像を絶する数の人々が亡くなっている事を考えると、どれだけ夢物語で有り得なくてもあの嘘っぱちの世界の方が良いに決まっていると自分には思えてしまう
    けど、その平和に過ぎる世界だったらシンは自身を構成する大切な欠片と出会う事なんて出来なくて
    あの発言はきっとシンエイ・ノウゼンしか言えない言葉。八六区であまりに大きな物を背負わされて、それでも八六区から外に出たシンエイ・ノウゼンだから言える帰結
    他者には否定も肯定もできない結論はだからこそシンが手にしたものの尊さを示しているように思えたよ

  • シンが今のシンになるまでのお話。
    上司がいた、同僚がいた。
    86区にはたくさんの人間がいた。
    決して良好の関係でなくても、死んだ人の思いを名前を連れていく。
    まだ幼いのに随分たくさんのものをすり減らし、隠し、出せなくなったんだな。
    レーナに会えてよかったね。
    人らしい、少年らしい、気持ちが表に出るようになって嬉しい、微笑ましい。

  • ファイドはやっぱりね…
    だったら、もっとファイドの話をしてほしい
    セオの話も単体でもっと

  • ついに10巻にして初の短編集、しかも全て基本はシンの過去編。
    初めて配属されたアリス戦隊長のいる部隊のエピソードから始まり、死に別れつつ連戦しながら成長していくシンのエピソード。
    別ればかり続いていく中、シンが削られ過ぎなかったのはファイドのお陰なのかなあと思ったり。
    あと、神父さんの影響もけっこうある気がする。

    書き下ろし3部も良かった。
    「レテの畔」「ファイド」が特に好き。

    フラグメンタル・ネオテニーは全て過去、つまりもういない人たちの物語と思うと悲しくもあるけど、シンとファイドが連れれってくれたんだねと思えば救いになる。のか。
    そして、ああつい10巻まで終えてしまった。
    残り1冊。これでやっと最新に追いつくわけで。
    この1月ちょっとでまあ我ながらしっかり86世界、堪能してるな。こうなるとアニメ一期から観直そうかな思ったりして、エンドレスになりそうな予感(それはそれで、幸せですね)

    2022年13冊目(2月:4冊目)

  • 2月5日読了。図書館。

  • スピンオフ短編

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著者プロフィール

第23回電撃小説大賞《大賞》を受賞し、受賞作『86‐エイティシックス‐』でデビュー。陸戦専用・高機動型・できれば多脚のメカを偏愛。スペックが化物なワンオフ機よりも量産機や旧世代機、ステータス一点張りの欠陥機を愛する。

「2023年 『86―エイティシックス―Ep.12 ねんどろいどヴラディレーナ・ミリーゼ ブラッディレジーナVer.付き特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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