姫騎士様のヒモ (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 170
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049142150

作品紹介・あらすじ

★第28回電撃小説大賞《大賞》受賞作★

 灰と混沌の迷宮都市『灰色の隣人(グレイ・ネイバー)』。
 数多のモンスターと財宝を孕むダンジョンの鮮烈な灯りの影には、必ず害虫が潜む。そんな掃き溜めに咲く汚れなき深紅の花が姫騎士・アルウィン。王国再興を志し秘宝を求めるダンジョン攻略の最先鋒――そして彼女に集る元冒険者・マシューは、この街に数いる害虫の一人だ。
 仕事もせず喧嘩も弱い腰抜け、もらった小遣いを酒と博打で浪費するクズ、そう人は罵る。

 ――しかし、彼の本当の姿を知る者はこの街にはいない。

「お前は俺の飼い主(おひめさま)の害になる――だから殺す」
「おい、てめぇ! ただの腰抜けじゃ……ッ!」
「内緒にしてくれよ。俺たちみたいな害虫が何をしているかなんて、彼女は知らなくていいんだ」

 ――彼は自らの手を汚すことを厭わない。

「マシュー、お前は私にとって大切な命綱だ」
「君が必要とする限り、俺はこの手を離さない。言っただろ。俺は君の『ヒモ』だって」

 ――全ては姫騎士様のために。

 選考会騒然! エンタメノベルの新境地をこじ開ける、衝撃の異世界ノワール!

感想・レビュー・書評

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  • 電撃文庫史上、最低な主人公と聞いて。
    久々に電撃文庫買いましたが、面白かった!
    ダークヒーローと言うには下半身ゆるゆるで下衆い。
    姫騎士のヒモやってますし。
    一応面倒見いいところもあるのに、子供に腕相撲で負けるほど弱い。
    と見せかけて、作中何人も人を殺しているヤバいやつ。
    本当にびっくりするほど弱いのに、さくっと殺しちゃうので驚いた。
    勿論、普通の人ではなく、過去に名を馳せた人ではあるのだけれども。
    でも、今は諸事情で弱体化しちゃっているので、あの暴力的な街でよく生きてきたなと感心するほど。

    特に終盤に彼が目的のために殺さざるを得なかった存在には非常に驚かされた。
    え、その人まで殺しちゃうのかよという。
    しかも全く躊躇なくやったので、本当に心底驚いた。
    それも全ては姫騎士さまのため。

    主人公の過去、姫騎士が抱えている秘密、弱いながらも修羅場をくぐり抜けるハラハラ感、そして容赦ない別れの数々。
    そして「ヒモ」の意味、その役目の深さ。
    主人公はあんなだけど、魅力的なエピソードや設定が多く、ジェットコースターに乗っているような興奮を覚えた。
    帯にある暴力的な面白さというのは伊達ではない作品だと思う。
    主人公の何の遠慮もなくぶっちゃける一人称文章がまた小気味いいんだよなあ。
    あそこまで言い切ってくれると清々しさまで感じる。
    映像化や音声化は厳しそうだけれども。
    ……規制ばかりでつまらない世の中だ、本当に。

  • 【読書メモ】
    国を襲った多数の魔物を倒す神器を入手するためダンジョンに挑む姫騎士とそのヒモで冒険者の男が織りなす物語

    ヒモをやっているけど実は……
    まではよいが、大活躍するでもなく、イチャイチャするでもなく、姫騎士はかわいいが出番もあまりなく(話の中心ではあるが)
    姫騎士を守るため殺人を犯す点は不快だし、神の話は途方もない(解決はしないだろうなあ)
    秘めていることが何かあるって感じで読みすすめるが後味が悪い
    あと神様とか明後日の方にふっとぶ
    陰鬱な空気感とか雰囲気とかはあるけど
    結局、何が見所なのかよくわからなかった

    電撃小説大賞受賞作らしい

    【以下再読のための備忘】
    ・「ふざけてなんかないさ。俺もアンタも麗しき姫騎士様のためにできることやっている。おたくは日々「迷宮」で剣を振り、俺はベッドで腰を振る。俺たちの仕事は等価値だ」

  • 悪事が蔓延る街。描写の際の言葉遣いの悪さ。太陽神への罵倒の数々。そのどれもが正義なんて存在しない、残酷な世界観を表している。読んでいて引き込まれた。

    「君は悪くない」というマシューの言葉は、相手に言っているように見えて、実は罪悪感を押し殺すために、マシューが自分に言い聞かせているような気がしてならない。

    アルウィンがマシューをヒモにしたいと言ったのは、自分が道を踏み外しそうになった時に手綱を絶対に離さないでいて欲しいからなのかな。

    太陽の下でないと元々の力が出ないって、かなりの痛手だと思う。目立つのが嫌で実力を隠しているなんてレベルではないから、アルウィンの願いを直接支えることもできないし。今後はどのような展開になるのか楽しみ、

  • 評価(16)
    世界観(3)ストーリー構成(2)設定(4)文章(2)登場人物(2)ジャンルとしての完成度(3)

  • いかれたやつしかおらん
    好みではないわ

  • なんとも通俗的なタイトルで、タイトルそのまま冒険者の姫騎士様のヒモとなった訳あり碌でなしが主人公の物語なわけだけど、そのタイトルの本当の意味を知るとなんとも味わい深い。
    ただ、物語的には全然スカッとはしないし湧き上がるような熱量があるわけでもない。
    代わりに、なんとも言えないやり切れなさや怒りやほんの少しの希望が描かれている。
    あまりライトノベルでは描かれない世界だな。
    電撃小説大賞の大賞作なのだけど、これはちょっと読む人を選びそうだなと思う。
    もうひとつ、個人的に物足りなく思ったのは主人公と姫様との絡みがほとんどないこと。
    唯一、姫様絡みの事件場面だけ格好良かったのだけど^^

  • 「ヒモ」と聞いて良い印象を持たない方が大半だと思いますが、ヒモの立場に甘んずる主人公は印象に違わない社会の爪弾き者で無法者。

    『彼はただのヒモでした』という話なら、本作が電撃小説大賞の大賞を受賞するわけはなく、そこにはアウトローの彼だからこそ陰に日向にと立ち回って姫騎士を支えられるわけですが、そこが魅力的に映るような気がします。

    早くも第2巻を準備中だそうなので、楽しみに待つとします。

  • ううむ、久しぶりに主人公が正義じゃなくて、明らかに
    ヒロインにべたぼれしているであろう話を見た。
    いやあ。べたぼれしてなきゃああまではできないだろうに。
    続編が見たいようなもうおなかいっぱいのような。
    そんなわりとダークな話だった。

  • マシューカッコ良い
    ここで終わっても綺麗なのになって所で終わらず黒さを出してくるのでとても引き込まれる話
    2巻が楽しみ

  • 迷宮に潜るヒロインを地上で主人公が待つという、通常と逆の視点の作品。
    主人公が「ヒモ」としての信念を持ち、如何なる事も躊躇なく進める様が描かれる。
    終始暗い展開であり、一部(特に一か所)受け入れにくい展開もある。
    しかし、今までに無い読後感を味わえる作品であった。この点、新しい雰囲気を重視する電撃文庫大賞作品らしいと感じた。

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著者プロフィール

第28回電撃小説大賞《大賞》を『姫騎士様のヒモ』で受賞しデビュー。

「2023年 『姫騎士様のヒモ4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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