86―エイティシックス―Ep.12 ─ホーリィ・ブルー・ブレット─ (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049143966

作品紹介・あらすじ

 連邦にとっても多大な犠牲を払った共和国民の避難作戦。その無惨な敗走は、シンたちエイティシックスだけではなく、前線で指揮するレーナや作戦に参加できなかったフレデリカにも精神的に大きな影響を及ぼしていた。
 シンは思う――将の在り方とはなんぞや。レーナは想う――燃え落ち、もう二度とは取り戻せない祖国を。クレナは、アンジュは、ライデンは。そしてフレデリカは悩む……『鍵』であり最後の女帝である自身の無力さに。生き抜くためには、愚かなままではいられないから……。

 一方、連邦領内では共和国に対してだけでなく、連邦政府上層部やエイティシックスへの不満が噴出。戦況悪化に耐えかねた一部の離反部隊が起死回生を信じ、ついに禁断の一手に縋ろうとする……そんな奇跡のようなものなんて、どこにもありはしないのに。

 Ep.12『ホーリィ・ブルー・ブレット』
”青く貴く醜い弾丸が、静かに己の心臓を冒していることを、哀れな彼らは知ろうともしない。”

感想・レビュー・書評

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  • なんか引っかかる文体があるけど、良かったです。
    半分は過ぎてると思うけどまだ終わりそうでもない。
    今回は、羊さんと一人の王の対比が考えさせられる。
    エルンストは相変わらず脳内でアニメの声優さんの声でセリフを再生しているけどなんか合わない?不穏な感じじゃない…、声優さんがちゃんと演技してくれたの聞けたら最高なのにな…もうアニメ続編ない気がする。グレーテとエルンストの演技最高なのにな…
    クジラ出さないとあとがきで書いていたけど出てきてた、あとがきでもう出さないとまた書いてたけど、出せばいいのに。ファイドとのからみも良さげ。
    セオ×アネットはあるのか?
    などなど、まだまだ楽しみ続編期待

  • シンやセオ、フレデリカが「足りない」と感じたので星一つマイナス。
    個性的な新キャラが登場したり、楽しめたのはこれまでと変わらず。

    無知がこれほど危険な行動に繋がるとは…
    機会はあったのにも関わらず学ぼうとせず、努力せず、その自らの
    行動の結果を最終的に全て他人のせいにして終える人生。
    自業自得と思いつつも、やるせない気持ちもある。
    世の中、自分で考えて判断して行動するより、言われるままを選ぶ・
    好む人がいるのも事実。 ラクだもんね。
    平和な時代にはそれでもいいのかもしれないけど、悪意や様々な情報
    が飛び交う現代、無知は選択。
    命取りになることも。

  • 文句言うだけの愚図を処分できて良かったな

  • 積読期間が長くて読み始めから半年余り、やっと読了。
    面白かったですけどね。
    ヘイル・メアリィ連隊が痛かった。
    あとヴィーカとレルヒェ。相変わらず賑やかし担当なんですけど、やっぱ好きです。

    2023年8冊目(だったか?)

  • 相変わらず不穏は不穏だけれど、最後は大団円だと信じてるから頼む……!! という心境。内部に生まれた不和をどんな落としどころに持っていくのか。これまでとは性質のちがう事象と対応になるのかな。本編の続き、楽しみです。

  • 人の気持ちから1番厄介と感じたエピソード
    レーナはほぼ出ない

  • 前回の共和国民退避作戦は成功とは言いがたく、作戦を率いていたレーナも不調をきたし療養することに。そんな中、新たな作戦を妨害することになったのは連邦の離反分子で…という今回。内憂外患じゃないですが、内側から足を引っ張られてしなくても良い苦労をする羽目になったシンたちが不憫でならない。どんな状況でも正しく情勢を捉えるための「学」は必要なんだと強く思う次第。最後に出てきた「仔鹿」が何なのか明らかにされなかったのが気になるところ。続きが楽しみです。

  • 第二次大攻勢でレギオンにおされた前回。
    陣地の防衛を固めるためにダムを決壊して川を復活させる、が今回のミッション。
    ただ、ヘイル・メアリィ軍隊と原生海獣の為に難易度が上がる。

    ノエレとレーナ、どちらも指揮をとる身でありながらこうも違うのか…。
    間違ってるとわかったなら謝る、止めるの大切さ。
    あと自分で考える事、ですね。

    風向きが変わり、連邦の統率者が無能、86に戦わせるべきという論調も。
    ユートはダスティンを知るチトリという少女と一緒に共和国へ…?

    まだ完結はしないらしい(あとがきより)

  • 想定外…というか、このような内容のエピソードが本作で描かれる事を想像していなかったという意味で意外なストーリーとなっている今巻
    物語当初においてエイティシックスとは迫害された弱者であり、それで居ながら誇りを抱えて無限地獄を戦い続けていた強者。86区を出た後は戦い続ける日々は変わらぬままに自分達を、そして自分達の未来をどうするかに焦点が当たっていったから本作の主役はいつだって彼らで。だからこそ彼ら以外があの悲惨に過ぎる世界をどう生きているかなんて考えた事がなかったかもしれない
    だって読者からすれば、彼ら以外は全てモブなんだから

    今巻を読み終わってから改めて冒頭に記述されたヴィーカの言葉を見ると、主役とモブ、王と羊の違いを考えずにはいられない


    第二次大攻勢によって防衛戦を大きく後退させた人類。誰もが焦りと恐怖を抱えずには居られない状況。だからこそ何かを間違えれば自身すら失う未来への恐れを抱く。その状況下はむしろ自分より他人に正しい行動を取って欲しいと願ってしまうものかもしれない
    その「正しい行動」とは職能に応じた最適解の行動で。だから人の理想ばかり追い求めるエルンストの支持率は下がるし、エイティシックスには戦いの技能が求められる
    エルンストは求めても応えないから。、エイティシックスは求めれば応えてくれるから
    なら求められた者が応える力が無いのに応えてしまったら?というのがヘイル・メアリィ連隊に起きた悲劇であり騒動の原因とも言えるのかな?

    ノエレ・ロヒが利用した放射性廃棄物から核兵器を、といった手段。ノエレは状況を劇的に変える希望の武器としてそれを求めたけど、作中で言及されたように御伽噺みたいな力は無かったわけで
    求めても応えられない。何故ならそんな役割は持ってないから、力を持ってないから

    形を転じればメアリラズリアの領民達がノエレ・ロヒに求めたのも同じ構図
    彼女は応える力なんて持ってなかったのにそれを自覚しないばかりに悲劇へ突き進んでしまった

    そう考えるとこれまで求められるがままに転戦し常勝してきたエイティシックスって異質な存在かもしれない
    勿論、86区で殆どのエイティシックスが死に絶え、それでも生き残った者が機動打撃群として戦っている事を思えば、絶死を生き抜く素質を持つ特別な人間ばかりを今ではエイティシックスと呼んでいる都合もあるけど
    絶死を生き抜いてしまった彼らだからこそ、死を目前に正しく足掻こうとしない者の気持ちを理解しきれない
    エイティシックスは真に無力な者にとって救いであると同時に絶望の象徴だろうな……

    それを踏まえると前巻終盤にてシンが恨みを吐く共和国人に「どうして戦わなかったのか」と悲痛な問い掛けをしていた場面の意味が変わってくる
    あの時はエイティシックスに感情移入し、共和国人を忌避する形で読んでいたから気付かなかったけど、あのシンの言葉は戦える者の傲慢とも言えてしまうのかな……


    この巻では出来るから出来る者、出来るのに出来なかった者、出来ないから無力を押し付けられた者が入り乱れている
    後退した防衛戦の中で一緒くたに存在するから衝突が起きる。互いの違いが見えてしまう
    違いが見えてそこで自分の行いを改められるならそれはまだ出来る側の人間。違いが見えたのに違うのは自分のせいではないと他者に押し付けたら出来ない側の人間
    両者には大きな断絶が有る

    これまではあまりに過酷で悲惨な境遇であった為に理解される事が少なく、また自分達をも理解しきれていなかったエイティシックスが他者を理解できない側に回るとは思わなかった
    この意外さはこれまで本作がエイティシックスを主役として描いてきたから生じるものだね
    エイティシックスは勝って生きて成長してきた。それに読者は寄り添ってきた
    だから第二次大攻勢によって悲惨な状況に陥った者達をエイティシックスが理解できないなんて展開が有るなんて思わなかった

    でも今巻はエイティシックスとそれ以外で区別されているわけではないから尚更に厄介
    出来る者と出来ない者、自身の王である者と他者に王を求める者、役割に応えられる者と応えられない者
    能力・才能の差と言ってしまえばそこまでなのだけど、人類の状況が極限に近づいてくるからこそ見えてしまった差なのかな


    なんだか今回は内容に直接言及しない形の感想になってしまったな……
    状況に劇的な変化があるわけでもシン達に何か試練が訪れたわけでもないから仕方ないかもしれないけど

    つまりは状況やシン達以外に少しずつ変化が起き始めているかもしれないという事で
    現政権に反発する連邦人、独自の行動を取り始めるエイティシックスの一部、明らかになった共和国の裏切り
    状況が状況だけにレギオンよりも人間の方を恐ろしく思えてしまう局面が近づいているのかもしれないね……

  • 今回はレギオンとの戦闘もあるけれど、それよりも愚かな造反軍の顛末に焦点が当たったお話だった。
    あと、レーナはおやすみ回^^

    造反軍の愚かさ、自分では何も決められず誰かに責任を押し付ける様は、ある意味共和国の白豚どもと似通っていて、だからこそシン達86が、自分の事を自分で決められる王たちが、一層尊く感じてしまった。
    けれど今回はなんと言っても再登場したクジラ(原生海獣)の印象が強い。
    なんか起きるんじゃないかとドキドキした。
    あれ、これもしかしてクジラくん今後重要な意味を持つの? と思ったけど後書きでそれは否定されてた。えー。

    共和国がらみで色々伏線が張られているようなので次回も気を抜けないな。
    あと、後書きがらみで言うと、まだ全く終わる気配ないよね、と思う。

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著者プロフィール

第23回電撃小説大賞《大賞》を受賞し、受賞作『86‐エイティシックス‐』でデビュー。陸戦専用・高機動型・できれば多脚のメカを偏愛。スペックが化物なワンオフ機よりも量産機や旧世代機、ステータス一点張りの欠陥機を愛する。

「2023年 『86―エイティシックス―Ep.12 ねんどろいどヴラディレーナ・ミリーゼ ブラッディレジーナVer.付き特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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