春夏秋冬代行者 秋の舞 下 (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.24
  • (16)
  • (15)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 362
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049150780

作品紹介・あらすじ

「きっと、貴方に恋をする為に――」 異国の地にて勃発した神を巡る大事件。それは二つの国の『秋』を波乱と混沌の渦に呑み込んでいった。 大和の秋である祝月撫子。橋国佳州の秋であるリアム。幼き秋達は運命に翻弄されていく。と同時に、容赦なく訪れる理不尽な暴力に対し、座して待つことを良しとしない者たちが奮起していた。 冬の代行者、寒椿狼星。 夏の代行者、葉桜瑠璃。 さらには、大和からの随行陣や橋国佳州の四季の代行者も加わり、事件は国家をも巻き込む事態へと発展していく。 やがて明らかになる、巨悪の存在。数多の勢力が交錯する中で、撫子の護衛官、阿左美竜胆は主を救う為に命を賭す。 少女の愛と罪を巡る物語の答えは如何に。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 面白かったが、面白くなる前が冗長とは言わんがちょい長めという暁本。
    個人的には花桐の活躍をもっと読みたい。なんなら花桐主役でもいい。それならかなり長くても大丈夫。さらに小さい小型犬ではなく、中型、もしくは大型なら尚良かった。例えば『天狗の台所』のむぎちゃんみたいなのが良い。白犬は神。
    そんなどうでもいい個人的な願望はともかく、
    最後、ええとこもっていくのは、やっぱりあの神様。面白かったが、もっとガッツリと橋国の悪者にきっちりバチ当てるところとか、後始末がどうなったとかも読みたくなる。設定の前半がこってり描かれるのと逆に、後始末がざっくりしすぎていて、ちょっとモヤりはする。
    そんな感じで、今回もまたもや秋がキッドナップされるが、色々うまくおさまる。
    神様に対する愛が性別を超えた何かなのはわかるが、秋主従だけみていると、ロリ甚しくて、ちょっと変態味が強いかとは思うが、需要はありそう。逆に橋国の主従は神様が男児なだけに、これまた大変なことに。
    次は冬か?、かなり楽しみにしている。

  • 恥ずかしいぐらい読書中泣いた
    苦しい辛い寂しい、そして嬉しく優しい涙
    子供だからこその無垢で純粋な感情が胸を突く
    大好きな人に傍にいて欲しいという願いが堪らなく愛おしくて、そして、最後の挿絵の破壊力に心臓張り裂けそう
    正直この春夏秋冬代行者というシリーズの中で1番泣いてしまったと思う
    読む章読む章で涙腺が崩壊してしまう…私には罪深い作品であった……

    7章のジュードさんの邂逅と慟哭
    彼の行動の理由を知ると、彼を責めることなんて出来やしない
    愛おしい人の別離と愛おしい人を守ること
    最愛の神を失い、だからこそ幼い最愛の神を守ろうとする姿が印象的だ
    幼い命を失う瞬間の叫びが聞こえるようで、自害を試みるぐらいの愛していることが伝わり涙するんだ
    そして最愛の者との再会は、大人になろうとした彼の幼さに気付かされる
    そんな彼に愛されていた異国の秋の少年神であるリアムくん
    彼の絶望の気持ち、そして諦めの描写が苦しくて苦しくて
    もうしにたいと呟く幼い男の子の望み
    ただただ愛おしい愛おしい人の子の愛を乞う姿
    小さい、彼にとってはとてつもなく大きな願いがかなった瞬間、唯一の愛おしい人に望む願いにぶわっと涙が溢れてしまった
    本当の意味で幼い神様と彼が心を通わせる日を心待ちにしてしまう

    もう一方の秋の主従
    こちらも時々すれ違いそして抱きしめ合う
    小さき女神の恋心
    色んな想いを胸に秘め、もしかしたら未来で知られてしまうかもしれない
    お互いがお互いを想うからこそ、傷つけ合うように
    未来で大人になった女神とその従者は、変わらずにきっとお互いを想うのだろうと想像する
    そして2人の関係は、きっと、最良のものだと私は信じてしまう
    撫子ちゃん…年の差なんて些細なものなんだよ!

    もうひとつの号泣シーンは、大人の都合で亡き者になった幼い神様たちを読み上げるところ
    その元代行者護衛管や家族たちが涙する姿を想像すると……私にはダメだった
    仇討ちが良い事だとは思わないけれど、従者の神への愛の深さを知ってしまうと…もう本当泣きながら読むしかなかった…

    更にさらに胸熱がっ、というシーン
    大和と橋国佳州の四季の代行者とその従者が一箇所に集まる瞬間が最高すぎて!
    遅れながらに春も代行者と護衛官も登場
    佳州の代行者たちも癖強で…好き!ってなる笑
    いつか橋国…佳州の物語も読める日が来るだろうか
    そして、橋国の全ての秋の神様たちが一箇所に集まったと書いてあり、どんな光景でどんな言葉を交わし、どんな思いで彼らはいたのかと想像してしまう

    長文で感想書きたくなるぐらい、もっと書きたいぐらい最高な作品で充足感を味わっている
    素敵な作品で大満足でした

  • 佳州の秋の護衛官ジェードが大和の秋の代行者撫子への事件を起こしたところから。
    撫子はいろいろな方法を使って死んだ者たちを蘇らせるが、一人拉致されてしまう。そこは山奥で逃げ出せるような場所ではない。しかし撫子はジェードが事件を起こした背景を知る。ジェードの父は橋国現人神教会佳州支部支部長代理エヴァン・ベル、認知されない外の子だったが、認知後即、咲羽州冬の代行者として飛ばされる。そこでの出来事と息子という立場を利用し橋国現人神協会の悪を洗い出したかった。
    救出とそれに至る過程、方法などを存分に堪能し、特殊な状況に置かれた神と護衛官の心情に寄り添って楽しみました。

  • なんだかんだハッピーエンドで終わると思っていたのに。幼き2人に訪れた未来は決して明るくはなかった。

    ジュードの行動には正義があった。それは正義となり、悪は成敗されたし、白日の元に晒された。
    それでも、深く傷ついた少年と少女に咎は押し付けられる。

    自由を奪われてもたった1人の自分を見てくれる人を選んだ少年。選ばれた護衛官。今の最善であることは間違いない。でも未来は?この2人の未来に憂いを感じるのは私の性格でしょうか。。。

    年端も行かない女の子に、子どもの内にこの気持ちを昇華してしまえなかったのか、と言わせてしまう恋心を、溢れてしまった思いを、きちんと受け止めて終わってほしかった。。。あたしにはこの終わりをポジティブに読み解けない!

    どうするの?竜胆?竜胆、ちゃんと欲しがって!
    凍蝶を見習って!

    愛も恋も誰かを思う気持ちが溢れすぎてそれに救われる一方、そのせいで噛み合わなくなるのが苦しかった

    お金のために犠牲になった命を読み上げるシーンは涙一歩手前でした。

    2024.2.23
    32

  • 前回の急展開からそれぞれの陣営が様々な思惑のもと行動することで複雑に絡みあい、最後までどうなるか予想がつかず面白かった。

  • 上巻がドン底で終わったからあとは上がっていくのみ…と思ったのが間違いでした。リアムと撫子にはまだ底があった。残された大和四季の面々は流石の安定感で一つずつ(あるいは一気に)手を打って、解決を手繰り寄せていくので思ったほどの悲壮感はなかったけど、リアムは完全に闇落ちしていくし、ジュードは全て諦めモードだし、レオと撫子が居なかったらもっと真っ暗だっただろうな。
    そして、撫子が夢で会う竜胆がいつも、現在が何年かを確認するから多分そうなんだろう、とは思っていたけど、やはり未来の竜胆だったよね。夢だからと撫子が話す内容を聞いた竜胆の思いについては最後に答え合わせがあってよかった。秋の2人が揃って生きていく幸せな道に辿り着けますように。

  • まさかの裏切りをする橋国秋の護衛官ジュード、はぁ!?という所で上巻が終わってしまい耐えられず下巻を読み始める。
    幼い秋の代行者相手に何をしてるんだ!と憤るが橋国の内情が明らかになりこの手しか選べなかったジュードにも同情してしまう。
    大和でもそうやけど、代行者を物扱いにする精神が分からん!と上層部に憤りを覚える。
    そして秋の代行者の隠された力が明らかに。互いに傷つけ合いながらも一緒にいる大和の秋の主従、散々すれ違った末一緒にいられるようになった橋国の秋の主従、両方の主従の今後を祈りたくなる。互いが大切だと言い切れる2組にずっと一緒にいてほしい。
    冬の舞で終わってしまうのだろうか……願わくはこのシリーズが永遠と続いてほしいくらい大好きすぎる。今作も上下巻共に最高すぎた。

  • 上下巻まとめて読了。
    黎明二十一年仲春。秋の神様をメインに橋国との外交編です。
    いやー、今回も読みごたえあって面白かった。これ絶対上下巻セットで並べて読まんとだめなやつ…!展開読めそうで読めない上巻、展開予想しつつも誘われる涙腺な下巻。主従のすれ違いっぷりがよい…。ここ最近、秋の権能を使いすぎてるな、という節があったから、ここで秋について深められたのはいいタイミングかと。あと秋は基本的に言葉が足りてない気がします…!ラストの撫子と竜胆がどうなるのか気になるけど、絶対うまくいくやつだよね。秋主従は相思相愛傾向が高いのかな、恋愛的な意味で。
    今までの物語・関係性を踏まえた上で、それぞれの神様と護衛官たちみんなが共同して動いてるの読めるとウワァー!///ってなります。微笑ましいし嬉しい。狼星と瑠璃のやりとりも可愛かったな。
    橋国側のの神様もたくさん出てきたので、これからさらに物語のスケールが大きくなりそうな予感がします。続刊も楽しみ。

  • 2024/03/12 読了。

    図書館から。

    秋の権能の恐ろしさと凄さがね。
    春主従も参戦してよかったー。

    リアムもジュードを傍に手に入れて、
    2人にとっての幸せが続けばいい。
    橋国の春夏秋冬も揃って出てきたけど、
    この先にも登場するんだろうか…。
    次、順番的に冬だと思うけど。

    終わりが切ないけれど、
    撫子の想いが竜胆に届く未来があってほしいなぁ…。

  • ※登場時から秋の主従の尊さに平伏している人間が書いています

    あぁあああああぁああ!
    ラストーー!その後はどうなったのぉおおおお!
    竜胆!竜胆、撫子様に何か言ってあげてー!というか、きっと言ってるはず。その様子を暁先生の文章で読みたいいいいいいい(床をころげ回る)
    巻末の著者の一言に「遠い未来のことは誰にもわからない。その先がどうなっているかは、ぜひ読者の皆様で想像の羽を広げていただければと思います。」とあって、そういう意図なのがよくわかるラストで、だからこそ秋としての美しさが際立っているのだが。涙……嗚呼、切ない、尊い、合掌

    お願いだよぅ。秋の二人の幸せな未来を見せてくれよぅ。
    渇望度が高すぎて、もう妖怪になるか二次創作書いちゃおうかなくらいの勢いだったけれど、
    カクヨムの秋の舞 外伝を読んで、ちょっと落ち着きました。
    うん。そうだよね。二人の愛は揺るがない。ずっと。

    この物語が「それでも、生きていく」というのをテーマにしていると度々暁先生がおっしゃっているが、今回も辛い境遇が明かされ、畳み掛けるように理不尽な暴力や困難が襲いかかる展開に涙した。「それでも、生きていく」という言葉が、自分にとっても踏ん張る力として心に残り、今後何度も救われるだろう。

    スオウ先生の挿絵が秋の舞も最高だぁ。特に最後の1枚の尊さと言ったら…
    絵で泣かされるとは思わなかった。
    何度も見返したい。

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

KAエスマ文庫『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』でデビュー。

「2023年 『春夏秋冬代行者 暁の射手』 で使われていた紹介文から引用しています。」

暁佳奈の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×