どこを切り取っても人間ってつくづく怖い・・・と思うお話ばかり。
「海の魚鱗宮」は父親の13回忌に出席するため、久々に帰郷した女性の話。
彼女には一人娘がいるが、まるで男の子のような恰好をさせている。
結婚してから一度も実家に帰らなかったことと、そのことは彼女の封印された記憶によるものだった。
そして久々の帰郷によって、その封印された記憶がよみがえる・・・。
「狐女」は身寄りをなくした9歳の少年が今は亡き父親の家に引き取られる所から話が始まる。
そこは地元でも有名な旧家。
その敷地内にはイナリ屋敷と呼ばれる離れがあり、キツネつきと呼ばれる女性が住んでいた。
「籠の中の鳥」は「鳥人」一族の最後の生き残りの少年の話。
村人たちに迫害されて生きてきた鳥人一族。
学校に通うこともなく、最後の身寄りの祖母をなくした少年は一人の男性に引き取られる。
「鬼来迎」は都会でのOL暮らしに疲れ、田舎の漁師町で家政婦として働くことにした女性の話。
雇われた先は立派な造りの家で、雇い主はひなびた漁師町には似つかわしくない美しい琴のお師匠さん。
未亡人のその女性には一人息子がいて・・・。
「夜叉御前」は引っ越し先で鬼を見るようになった少女の話。
その鬼はほかの家族には見えず何故か少女にだけ見える。
さらに夜になると、彼女に黒いものがおおいかぶさるようになって・・・。
「八百比丘尼」は怖~い人魚のお話。
日々不満だらけの高校生に声をかけてきたのは女性でもうっとりするような美しい同級生。
夏休み、彼女の別荘に誘われた主人公を待っていたのは・・・。
これでもか!と山岸凉子さんの怖いエキスがつまった一冊。