プロメテウスの罠 5: 福島原発事故、渾身の調査報道

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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054057876

作品紹介・あらすじ

朝日新聞連載の書籍化第5弾。福島原発事故から2年以上が経過しても、被災者の苦悩はいまだ癒えてはいない。海の汚染、置き去りにされた動物たち、賠償の問題、さらには原発再稼動の動きなど、気鋭の記者たちによる長期にわたるルポルタージュの書籍化だ。

感想・レビュー・書評

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  • 情報が断片的なので、わかりにくいところもあるが、巻末の事故後の年表を見るとこんなにたくさんのことが同時並行的に起きていたのかと改めて驚く。これはとてもじゃないが誰の手にも負えない状況だ。
    テロ対策にしても以前からアメリカから示唆されていたにもかかわらず、きちんとできていなかったというお粗末さ。事故後の対応の酷さ。ダム建設の際の住居移転への補償よりもずっと低いとは…。
    あとがきにあった「忘れてほしくない」という被災した方々の声は社会に伝わっているのか心許ない。避難者への補助も打ち切られたと聞く。どちらかと言えば、今の政府は忘れたい、無かったことにしたいのではないだろうか。あの「悪夢の…」のフレーズで一括りにして。

  • 2022/02/12

  • サブタイトルで自画自賛している本書だが、長期連載だけあって
    様々な角度から福島原発事故を追っているのは確かだ。

    福島沖の放射線調査の為に東京海洋大学が緊急で練習船を
    出航させた第1章と、高校生が立ち上げた安否確認サイトから
    広がったネットワークを描いた第2章は辛い現実のなかにも
    光が見出せる。

    人間が避難するのに精一杯。その避難だってまさか長期に渡る
    とは思わなかった人々は家族の一員であるペットを連れて避難
    することが出来なかった。

    置き去りにされたペットや家畜をどうすればいいのか。確かペット
    の救出に関しては大勢のボランティアが活動していたが、その
    すべてが歓迎されたわけじゃないんだよな。

    福島原発事故関連の作品を読むたびに、新たな憤りを感じる
    ことが多いのだが今回もそうだった。被災者に対する損害賠償
    の酷いことに唖然とし、ふつふつと怒りが湧き上がって来た。

    本書で紛争解決センターの方が言っているのだが、東電に拒否権
    があることがそもそもおかしいのだ。結婚したから。新しい家を購入
    したから。生活の基盤が出来たでしょ。では、精神的慰謝料はなく
    なりますってなんだよ?

    土地家屋の賠償にしたって固定資産税を基準にする?その金額
    で住めなくなった家と同じ規模の家を買えますか?買えませんよ。

    出て行きたくて住み慣れた土地を出て行った人たちではない。
    「安全ですよ。事故なんて起こりませんよ」と言い続けて来た
    己らの原発の事故で出て行かざるを得なかったんじゃないか。

    しかも、東電の評価が低いなら私たちが基準を作りましょうと
    資源エネルギー庁がしゃしゃり出てくる始末。勿論、東電より
    の基準を作っているんだよね。

    あれだけの過酷事故を起こしても、東京電力は相変わらず
    「電力様」のままなんだ。やっぱりこんな会社は破たんさせた
    方がいい。誰が故郷を、家を、思い出を奪ったのか。

    当事者意識なんてまったくないだろう。避難を余儀なくされている
    人たちは1日でも早く生活を立て直したいっていうのにさ。理解
    してないよな。

    アホノミクス…じゃなかった。アベノミクスとやらで政府は景気の
    いいことばかり言っているが、被災地はやっぱり置き去りなんだ
    と思うわ。

  • シリーズ第5弾。さすがに5冊目になると、テーマがかなりマニアックになってきた印象。ペットの話などは、確かに”この非常時に!!”と言われそうだが、現実には無視できない問題かなとも思う。これだけ成熟した社会では、個々人の価値観が違い、思いもよらない問題が起こるのかな?
     補償問題も身につまされる。なぜ被害者がさらに被害を受けるようなことになるのか? 
     等々、マニアックながらも考えさせられる。

  • 543.5||As

  • 漁業、学校の再開、家の再取得、ペットなど大所高所の話から小文字の福島の方々の話に徐々にテーマがシフトしつつも原発後を追い続ける。こうした各論に入っていくと読み手も色々な意見が出てきて支援一色ではなくなるのだろうけど(私も都内でペット支援の募金呼び掛けている人は理解出来ない)、被害者には責は無く、また住宅が再取得価格で補償されたからと被災前に戻るわけではないという事実を踏まえていくためにも、この連載は終わらないで欲しい。

  • 福島原発事故のルポルタージュ第5弾。最初の2話「海鷹丸が来た」と「生徒はどこだ」は、甚大な被害を受けながらも、ネットワークの力で状況をともかくも前に進めて行く事例。もちろん、海の汚染も、失われた生徒たちや教育環境も元には戻らないのだが、そこに少しは明るさが垣間見えてくるのだ。自分にもできる支援があるのだと思う。半ば以降は、なかなか先の見えてこない事例ばかり。それにしても東電、エネルギー庁の被災者への対応は想像以上に酷い。震災後2年半が経過した。今だからこそできる支援もありそうだ。続巻も追い続けたい。

  • 068

  • 展示期間終了後の配架場所は、開架図書(3階) 請求記号 543.5//A82//5

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著者プロフィール

朝日新聞報道局につくられた調査報道専門の取材チーム。2011年の福島原発事故による放射能汚染の惨劇を受け、検証記事を作製するために、特別編成取材班がつくられた。

「2015年 『プロメテウスの罠 9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朝日新聞特別報道部の作品

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