プロメテウスの罠 6: ふるさとを追われた人々の、魂の叫び!

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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054059368

作品紹介・あらすじ

福島原発事故をテーマにした、朝日新聞連載の書籍化第6弾。事故からまる3年が経過したが、被災地の復興はほど遠い。故郷を追われた人々の多くは、帰還をあきらめはじめている。被災者の苦悩と真実の叫びを追い続ける渾身のルポルタージュ。

感想・レビュー・書評

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  • 2022/02/13

  • 10年経って読むとそうか、と納得する場面も多い。特に東電の当時の対応などは、知ってはいたが、今さらによく知られるようになってきている。今年はあれから10年という区切りで、たくさんの報道特集番組をやっていたので、理解が進んだのもあるだろう。改めて検証することの大切さを感じた。
    10年経って、当日から1日過ぎただけで、事故報道への温度差がグッと下がるのには本当に、腹の立つ思いがする。定期的に報道を続けてほしいと強く願う。

  • 朝日新聞朝刊連載記事の書籍化第6弾。月に1冊は東日本大震災
    と福島第一原発事故関連の本を読もうを決めているのだが、
    なかなか手が回らないのが現状だ。前作第5弾から随分と
    時間が空いてしまった。

    栃木県の中禅寺湖、群馬県の赤城大沼ではニジマスやワカサギ
    のセシウム濃度が国の基準を超えた。両の漁業関係者にとって
    は死活問題だ。これだって原発事故の影響i以外ないだろう。

    福島第一原発事故で避難を余儀なくされた人たちが奪われた
    のは家や財産、ふるさとだけではない。多くの民族伝統が
    消滅の危機に晒される。

    多重債務に苦しむ人々を救おうと奮闘する司法書士、住民の
    姿が消えた地域で増えるイノシシに対応する罠猟師等、当事者
    たちの話は痛みを伴わずには読めない。

    なかでも秀逸なのは元東京電力社員であり、原子炉を知り尽く
    した男性による福島第一原発の原子炉データの解析だ。

    東京電力は今でも「事故は津波によるもの」と主張する。しかし、
    「炉心屋」と呼ばれる男性の解析によると、津波以前に地震で
    配管の一部に亀裂が発生した可能性があるという。

    そして、東京電力は恣意的にデータの隠蔽をしている可能性が
    ある。そりゃそうだろう。原子炉建屋内を調査したいと言った
    国会事故調に対して「真っ暗だし、穴があいてるし。危ないから
    入れないよ」と嘘を吐いたような企業だもんな。

    結局は事故原因の究明も出来ないまま、廃炉作業に入ってし
    まった。今後、「炉心屋」の男性が言うようなすべてのデータ
    を東電が公開するかも疑問だ。

    改めて東京電力の当事者意識の希薄さを感じると共に、責任の
    なさに憤りを感じる。

    尚、巻末に収録されている浪江町町長・馬場有氏、浪江町民・
    菅野みずえさん、福島原発訴訟の弁護士・馬奈木巌太郎氏の
    対談だけでも必読。

    これは報道を通してしか被災地の様子を知ることが出来ない
    私にとっては耳に痛いし、被災地や被災した人々のストレート
    な感情なのだろうなと感じた。

    「──お金ではなく、元の生活を戻してくれと。
    管野 2011年3月10日の浪江です。以前の暮らしをしたいと
       いう私たちの思いをなぜ分かってくれないのだろうと
       思います。」

    原発政策は国策だった。そして、東京電力は独占企業だ。
    それでも、誰も責任を取らない。これが私が生まれ育った
    国なんだよな。

    「原発持つ町の哀れを君知らず『電気どうするとたはやすく言ふ』

    大熊町で原発への怒りを歌に詠み続けた人の作品のひとつ。
    再稼働を叫ぶ人に、この歌を片っ端から送りたいわ。

  • 原発事故後の福島及び人々の状況を追い続ける。川魚にイノシシ、放射性物質の残留しやすい生き物とそれに関わる人々の対応。郷土芸能に地域社会と原発事故が壊した、経済では換算出来ぬものごとを描く。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:543.5//A82//6

  • 024

  • 震災から2年半。福島が東京からこれほどまでに「遠い」ことを示した瞬間があっただろうか。

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著者プロフィール

朝日新聞報道局につくられた調査報道専門の取材チーム。2011年の福島原発事故による放射能汚染の惨劇を受け、検証記事を作製するために、特別編成取材班がつくられた。

「2015年 『プロメテウスの罠 9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朝日新聞特別報道部の作品

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