いいデザイナーは、見ためのよさから考えない (星海社新書)

  • 星海社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385627

作品紹介・あらすじ

経営学部出身のデザイナーが思考する、デザインの論理
「デザイン」は、「デザイナー」と呼ばれる人たちの専売特許ではありません。ロジカルシンキングやプレゼンテーションと同じ問題解決の「道具」であり、コツさえ学べば誰にでも使いこなすことのできるものなのです。本書では、書籍やアニメ、スマホアプリなどの身近な題材を元に、デザイナーの思考プロセスを分解。「デザインとは何か」を、一緒に考えていきます。著者の有馬トモユキは経営学部出身。デザインとビジネスをつなぐのには、おあつらえ向きの人材です。さあ、「センス」や「絵心」のせいにするのはやめにして、共に「デザインの論理」について学びましょう。あなたの仕事をよいものにするヒントが、たくさん見つかりますよ。

感想・レビュー・書評

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  • アートは問い、デザインは答えというフレーズが印象に残った

  • デザインは目的を達成するための手段である、ということを様々な例を用いて説明していた。

    appleやsony等の成功例を持ち出していてわかりやすかったが、筆者さんの例についての説明は少し冗長だった気もした。
    途中におすすめの文献を載せてくれていたのはありがたいかった。

    前半はよかったが、後半は微妙な気がしたため星3

    (追記2022/4/17)
    今思えば、
    AppleがiPhone7以降でイヤホンジャックを廃止したことも将来のイヤホンのあり方をデザインしたということになるのかな、と思った。
    それまで有線イヤホンが当たり前だった世の中に、Bluetoothの無線イヤホンを浸透させたのはAppleの戦略だったのかもしれない。
    実際AirPodsを使う人は圧倒的に増えたし、「コードレスイヤホンは無くしやすいし接続が不安定」から「イヤホンはコードレスの方が便利」というマインドセットに変化した気がする。

    デザインするのは見た目だけではないというところについて、改めて理解が深まった。

  • デザインに必要なロジックの部分がわかりやすく書かれていた。

  • 美しさではなく、簡潔なデザインについて書かれた本。
    プレゼンについて1章をあてているのがデザインの本として珍しいかも。

  • ・かつてプロダクト・デザイナーの端くれだった私が、当時常々感じていたことを代弁してくれています。

    ・この本は、かつてプロダクト・デザイナーの端くれだった私が、当時常々感じていたことを代弁してくれています。デザインは、消費者の感性に働きかけたり、行動を変容させたり、時には社会の嗜好にすら影響を与える力を持っているわけですが、大事なことは「デザインは、物事がどうあるべきか」ということを熟慮することであり「デザインは、物事をシンプルに、わかりやすく、使いやすく、安全にするための創造的なヒント」であるということです。世の中には様々な思考体系がありますが、デザイン思考は、今までにない強力な突破口になると思います。

    ・デザインという仕事の難しさを知っている方の中には、その通りだと認めながらも、常識?になりつつある考え方だと指摘される、ご感想・レビューもありますが、この本の読者は、デザイン思考を取り入れたいと考えている方や、将来的「問題解決までのプロセス」をコンサルタントではなく、デザイナーに依頼する可能性がある人たちである、と考えると、良いガイドブックになっているのではないかと感じました。

    ・『いいデザイナーは、見ためのよさから考えない』というタイトルは、有馬 トモユキさんが考えたものなのか、編集者の方が提案されたものなのか、分かりませんが、このタイトルは、「いいデザインには、人々の生活を快適にし、瑞々しい体験を与える力がある」と考え、「いいデザイナーであり続けたい」と思っている、多くのデザイナーが、クライアントに伝えたい、「いいデザインは、見ためのよさだけでは測れない」との気持ちを代弁していますよね。

    ・「デザインとは、見ためや機能から問題を解決する手段であるということです。」という言葉は、佐藤可士和さんの「アートディレクターは、企業や経営者を問診し問題を発見して解決していく人」という言葉に通じるものがあります。

    ・Chapter 3は、「あなたのプレゼンは なぜ複雑なのか」というタイトルです。7月末に、大切なプレゼンを控えている私にとっては、本当にタイムリーというか、ありがたい内容でした。当たり前ですが、プレゼンの目的は、「限られた時間で伝えたいことを簡素に理解してもらうこと」そのためには、まず、自分自身が“伝えたいこと”を理解すること、そして、出来る限り簡素に表現すること、そのためには、“見ため”という手段を用いて相手の心を動かすということ……

    ・有馬トモユキさんは、「“自分の考えを他人に伝えたい”という欲求が先ずあって、けれど伝えることがうまくいかない。その時、問題を解決するのがデザインというう手段です。」と書いています。ですから、プレゼンの体裁を整えようとする前に、まずは伝えたいことを整理してみましょう。と促しています。そう言われてみると当たり前のことですが、私たちは四六時中パソコンの前に座っているので、つい、いきなりパワーポイントに書き込み始めてしまいがちです。

    ・有馬トモユキさんは、デジタル時代の方ですが、スマートフォンのUIをデザインする際などに「ポストイット」に手描きでスケッチする「ペーパープロトタイピング」という手法を紹介しています。最終的なプロトタイプは、プログラムでつくるのでしょうけれども、プロセスは、ポストイットに手で描く方が早くて、それぞれの画面も簡単に貼り換えられるので、操作の流れを修正するのも簡単なのでしょうね。

    ・私は、QFD(Quality Function Deployment)を学んでいるところなんですが、デザイン思考も、ある意味、顧客の要望と、それを叶えるためのスペックとの関係を分析してバランスをとる手法と言えると思います。短いブームに沸き立つようなデザインも否定しませんが、本質的なデザインは、使い手と共に成長し、存続するようなものなのだと思います。

  • 「デザイナーが考えていることを、デザイナー以外の方々に読んでもらう本」(p.4)と言っていて
    デザイナーでない人も思考の参考になるように、というスタンスが感じられましたがどちらかといえばわかりづらかったです。

    デザインのことを専門的に、と言われれば
    わかりづらくともこちらが非デザイナーなので仕方ないと思えますが、冒頭上記のように言うのであれば わかりやすいのかなと期待してしまいます。その期待に対しての内容がどうだったかといえば、「わかりづらい」になってしまいます。

    デザイン業界で活躍されていますし
    デザインを発注する側のクライアントからも著者のプレゼンが好評を得ているとのことで、
    デザインと、自分のデザインをもとにしたプレゼンであれば著者の考えを伝えやすいかもしれませんが、新書という書物で主に文字で伝えるという形式をとった場合、文にして伝える能力のある欠如があるのではないのかと考えました。

    文中、有名な企業の話が出てきます。
    iPhoneなどのAppleや、掃除機のダイソンなどです。
    そういった有名企業の説明が、一番面白かったかもしれません(笑)
    そのように、明らかなる事実、もしくは多く語られている事実をまとめてわかりやすく伝える能力は著者は高いと感じます。
    ただ著者自身のデザインの経緯やプレゼンの組み立て方、思考の仕方について、彼独自の言語化が多いと感じ、その点がわかりづらく感じました。

    言語化自体は、ありきたりな言葉を使っています。
    『僕はこれを〇〇と呼んでいます』と言った感じで〇〇に入るのはごく普通の言葉です。
    例えば「気付き」など。
    ごく普通の言葉も”記号などで 区切ると 何か特別な意味がある、もしくは言語そのものの意味と、さらに二重の意味、もしくは皮肉、逆の意味が含まれているなど考え過ぎてしまいますが、この本の場合そう言ったことはなくただシンプルな意味なのに 記号で区切られてしまうので理解しづらかったです。

    事実をまとめる技術は高いかもしれませんが
    文章というものは時にして事実だけを書けばいいわけではありません。
    比喩表現やどの言葉を使うか、言い回しで 伝わる度合いは理解度が変わります。
    畑が違うと思いますが、よりこういった形式(新書など文が主なもの)でもご自身の考えを発していきたいと考えられるのであれば、デザイン書関連以外の 読み物を読まれて文章の表現力も磨かれた方がいいのでは?と、何目線かわかりませんが思ってしまいました。
    というのも、もったいないと感じてしまうからです。

    事実をまとめる能力、整理能力、
    着眼点や思考の仕方などは素晴らしいと思います。
    それをごくごくシンプルに、それでいて文章のスパイスもあればもっと読み物としてわかりやすくなると思うのが、少しカッコつけたような言い回しが逆にわかりづらく読者の理解を妨げるのが残念でしたから…。

    その点は編集者さんの力かもしれませんが。
    こんな僻地の感想は 届かないと思いますが…
    もったいないなと思ってしまうのです。

  • 著者のデザインに対する向き合い方や、どのような経緯を経て作品やアウトプットがされたかが述べられている。
    これは著者だけの方法論で終わらずに、一般化する為のヒントが記され、著者もそれを望んでいる。
    読んだ人には実に有益な読書体験になり得ると感じた。

  • レポーティングという作業において、デザインの思想や技術を参考にしたいと思い本書をとったが、全く学べるところがなかった。

  • 著者はデザインを学校等で専門的に学んでいないため、非デザイナーからしても分かりやすい内容になっています。デザイナーの方がどんなことを意図してデザインしているのか、仕事で扱った実際の事例を交えて紹介してくれています。こちらのPodcastでも紹介しているので、よろしければどうぞ!
    http://shinmaga.com/2016/01/18/post-211/

  • デザイナーの考え方を、デザイナー以外の方が知るための本です。著者はデザイナーですが、アートの教育を専門的に受けたことがないそうです。そのため、非デザイナーの方にも分かりやすい内容になっています。実際に読んで感じたのは、デザインの視点を持つことで日常が少し豊かになるということです。本書で書かれていますが、著者は日常の気づきからデザインのヒントを得ることが多く、よく町中を散歩するようです。気付きとは心が少し動く瞬間、つまり感動であり、たとえデザイナーでなくてもそういう経験が増えることは幸せに繋がると思います。

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著者プロフィール

有馬トモユキ デザイナー
1985年長崎県生まれ。青山学院大学経営学部卒。複数社を経て、日本デザインセンターに合流。グラフィック、Web、UI等複数の領域におけるデザインとコンサルティングに従事している。その傍ら、TATSDESIGN名義で商業コンテンツ作品とそのプロモーションに関する活動を実施。音楽レーベル「GEOGRAPHIC」クリエイティブディレクター、タイポグラフィ教育機関「朗文堂新宿私塾」講師、SFレーベル「DAISYWORLD」主催。主な仕事に、「ハヤカワSFシリーズJコレクション」装丁デザイン、TVアニメ『アルドノア・ゼロ』アートワーク等。タイポグラフィを軸としつつ、対象に深くアプローチするデザインを得意とする。車好き。

「2015年 『いいデザイナーは、見ためのよさから考えない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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