- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061388215
作品紹介・あらすじ
突然の死を迎えた彼女の死体を葬儀会場に忍び込み、盗み出してしまった「僕」。一人暮らしのアパートを占拠した大型冷凍庫の中に横たわった彼女との奇妙な同棲生活がはじまった…!唐辺葉介の問題作にして、新たな代表作。
感想・レビュー・書評
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本当はレビューなんて書かなくていよいのだけれど。
本作の主人公は家庭に問題を抱えていて(いたと言った方が良いかも)、それを口実に思い悩むことが出来るし、亡くなった彼女やその父親との過去を引きずって精彩を失った現実から逃げることも出来る。そして、主人公はいつもどおりそういったことをせず、苦しそうにへらへら笑っている。違うのは、特に相手する特殊な問題もないというか相手がいないこと。みんな死んでるんだもの(母親以外。親というのは得てして厄介なものだといえばそうだけど)。
『ドッペル』との比較でいえば、作者のいうように両作は良く似ているけれども、難題を無理に復活させて取り組んだのが『ドッペル』で、死んだままにしたのが本作ということになると思う。その意味ですごく素直で、主人公は生まれ直って過去の自分と決別したりしなくても、ホームレスに殴られて、教え子に別れを告げられて、遺体を焼けばそれで良かった。多分どちらもすごく簡単で、異常に面倒くさい。
本作はすごく普通の内容で(悩むべき過去を悩んで、それなりの解決を得るという意味で)、その通りに読むと設定が全然生きていない下手くそな小説にも見える。それでもなぜか面白いと思ってしまって、それは唐辺さんだからっていうひいき目もあるかもしれないのだけれども、クズみたいな人間がそれなりに生きるのは、こういう風に少しずつ問題を乗り越えて行って、些細な解決を見たような気持ちになってやり過ごして行くしかないと思うからなのだと思う。
いちいち態度が大きくなったり卑屈になったり斜に構えたり偽善ぶったり感情ゆさぶられたりする主人公に腹が立つ人はこういう小説は読まなくていい人なんだろうな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
彼女が脳死った.
で,いろいろ奪われた後の葬式前の死体を盗み出す.
冷蔵庫で冷凍した彼女と二人?暮らし.
結構面白かったわー.
変人には変人が集まる的な
類は友を呼ぶ的な変人たちがいっぱいですね.
あと母親気持ち悪い.
それから母親気持ち悪い. -
表紙の絵に目がいって読んでみた。今こういう画風流行ってますね~。
内容は・・・う~ん、難しいな~。「特殊設定モノ(ただし主人公のみ)の青春小説」???読みづらくもなく、読んだ後の気分も悪くないけど、感想は「・・・で?」って感じでした。
私にはオシャレ過ぎる内容だったのか。 -
一般作品になってマイルドにはなったんだろうけど、太宰的な自己完結からの頽廃コンボは健在。
生理的に嫌悪を覚える母親を描かせたら右に出る人いないんじゃないかなこの人は。 -
表紙の絵に目がいって読んでみた。今こういう画風流行ってますね〜。
内容は・・・う〜ん、難しいな〜。「特殊設定モノ(ただし主人公のみ)の青春小説」???読みづらくもなく、読んだ後の気分も悪くないけど、感想は「・・・で?」って感じでした。
私にはオシャレ過ぎる内容だったのか。 -
この人の小説の長所は、展開が「空気を読んでいること」だと評した、もう記憶にない昔の自分の「CARNIVAL」のレビューを見て、手前味噌ながらなるほどと思った。いかにもこうなりそう、凄惨な大事件が起きそう、という予想を裏切って、平凡な出来事に留まったかと感じるのだが、よく考えてみると、物語全体が既に凄惨でしたね。と思い直すのだ。結末は感動の一言。
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最後に主人公が意外とあっさりしていて、びっくりした。
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この作家さんは初めてです
表紙買い(^^)
なくなった恋人の死体を葬儀場から盗み出して自分の部屋に持ち帰り、大きな冷凍庫の中に大事に大事にしまいこんでしまう男の話。
もうちょっと猟奇的なものを想像していたんですが、表紙のイメージと同じでどことなく綺麗な印象を受けました。
ま、主人公は自分を人間のくずだと思い込んでいて、自分の人生には何の意味もないと思っているんですが。それを考えると、綺麗という言葉は主人公には不本意でしょう。主人公の独白を読む限りほんとにろくな人生送ってないな~という感じなんですが、どうも周りの目から見たら違うようです。周りはきっと、主人公が思い込んでいるほどの低評価は下してないと思うんですよね~。
あと、途中まで「ほんとにこの人は、死体を盗むほど彼女のことを好きだったんだろうか??」と思うほど淡々と彼女とのことを語ってますが、最後の最後で、やっぱり死ぬほど好きだったんだな~と思うことができました。 -
主人公を含めてどこかがおかしい登場人物。(一番おかしいのは主人公ですが) リアリティはないはずなのに、登場人物一人一人がもの凄く人間らしく見える不思議な作品でした。
最後のシーンはあんなにおかしかった主人公がまともな人間になったということなのか、それともどんなにおかしくても人は人なんだ、ということを表してるのかなぁとか思いました。 多分両方共違うけどね。
161ページの最後から4行目のダジャレは最高に面白いと思います。このダジャレだけで私はお腹いっぱいです。これ書くためだけにこの作品書いたと言われても納得できるくらいのダジャレです。 -
タイトルのセンセーショナルさの割に、中身は普通だった。淡々とした文章がこの作家の持ち味。