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- / ISBN・EAN: 9784061425316
感想・レビュー・書評
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自然に対する日本人の考え方から見た日本人の歴史。1979年発行の古本だが、2022年に読んでも興味深い。
日本人の自然に対する考え方は、この季節の節目節目が人生の運命を決めてしまうとする暦の思想をもとにして、それを体系化して生まれた哲学であったと述べている。
火を守るための信仰があるのは、火は簡単に付かないもので、火を大切にすることによって、火の災害を防ごうとする知恵があったと著者は考えている。
水に関しても、恩恵と脅威を知っていて、自然神の一種、水神として崇めたとも著者は述べている。
水が日本人の性格を決めたとしている。その理由は、湿り気をおびた柔らかさや、しっとりとしたおだやかさに深い共感をいだくようになった。そこから、しっとりとした情の深さ、湿っぽい人間関係と心の中にまで水気が入ることで、人と人との距離を接近させたと述べている。
しばらくすると桜の季節がやってくる。日本人はどうして花見をするのか。著者は、日本人はとくにその花の下に入っていこうとする意識を持つと述べている。
花の下に入るとことについて、著者は以下のように解釈している。
花粉を受け、花粉のもっている燐(りん)とか硫黄を吸収しようとする科学的健康法であった。
しかし、昔の人はこのように分析していたわけではなく、花に接近すれば花の精気を受けるという発想から、花見をするようになったとも述べている。
冬の寒い時期が終わり、新たな命が芽生える季節のサインとしての役割もあったのかなと思う。
自然をキーワードにして日本人を見るといろいろあるなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示