ほんとうの生き方を求めて: 共存のフロント構造 (講談社現代新書 798)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061457980

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  • 「フロント構造」という概念をもとに、著者の思索がつづられているエッセイです。

    著者は、西谷啓治の「廻互的連関」にかんする議論をもとに、「フロント構造」という概念を提示しています。たとえば、部屋Aと部屋Bが隣りあっているとき、二つの部屋をへだてている壁Wは、それぞれ一方の部屋の構成要素でありながら、他方の部屋を示しているということができます。部屋B内の壁面は、部屋Bの構成要素でありながら、隣室Aを代表しています。これと同様のことが、部屋A内の壁面についてもいえます。われわれが「空」の立場にいたることで、頑固な「物」はその自体性を脱落させて相互に他を表現すると西谷は論じています。

    著者はこうした議論をヒントにして、「フロント構造」という概念を提出します。フロントとは、あるものが他者に出会うさいに、他者に直面しているありようのことを意味しています。一般にいうと、AのフロントがAのフロントであるままで非Aの一部になっているとき、このようなあり方を「フロント構造」と呼ぶとされています。

    本書は、こうしたフロント構造の思想について語った試論と、自然との交流やさまざまな人びととの交わりのなかにフロント構造の具体的なかたちを見ようとしているエッセイから成り立っています。

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著者プロフィール

1932年生まれ. 専攻, 新約聖書神学, 宗教哲学. 東京大学とゲッティンゲン大学に学ぶ. 文学博士(九州大学), 名誉神学博士(スイス・ベルン大学). 東京工業大学教授, ハンブルク大学客員教授, 現在, 東京工業大学名誉教授.
著書:『新約思想の成立』(1963),『覚の宗教』(久松真一との対話, 80), 『宗教と言語・宗教の言語』(95), 『新約思想の構造』(2002), 『場所論としての宗教哲学』(2006), 『イエスの宗教』(2009),『〈はたらく神〉の神学』(12), 『回心 イエスがみつけた泉へ』(16)ほか.

「2018年 『創造的空への道 統合・信・瞑想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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