ローマはなぜ滅んだか (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061489684

感想・レビュー・書評

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  • 2015/12/20

  • 高校世界史では単に「ローマ帝国はゲルマン民族の大移動で圧された結果分裂し,その後西ローマは滅亡した」といった調子で教えられるものであるが,本書ではその背景として,ローマ帝国内の貧富差を中心とした議論を展開する.ローマの繁栄は専ら,「周辺」たる国外の異民族から「中心」たるローマ人が収奪・搾取することで成り立っていた.更にローマ人とされている人々の中でも,支配層と被支配層があり,一般にローマの繁栄として見られているものはつまるところ,一握りのローマ人支配層が豪奢を極めたものに過ぎなかったとしている.最終的に,ローマが衰退した大きな要因として,異民族がローマに抗うことよりも,ローマと同化する道を選び始め,4世紀にはローマ帝国内の有力者になる者が現れ始めたことで,「中心」としてのローマの地位が相対的に低下していったことを挙げている.

  • 通史的なローマ史ではありません
    なぜ滅んだかにズバリと答えているわけでもありません

    古代地中海世界の一つの見方が示されており、内容には深く考えさせられました

  • 全世界から巨富を集め、繁栄の限りをつくしたローマ帝国。食卓をにぎわす珍鳥・珍魚、文学に、スポーツに進出する「自由な女」、文化となった愛欲―。「永遠」をうたわれた巨大文明の興亡の中に現代の超大国・日本の姿を透し見る。


    序 「ローマはなぜ滅んだか」となぜ問うのか
    1 ローマ帝国の繁栄とは何か
    2 道路網の整備
    3 ローマ帝国の経済構造
    4 経済大国ローマの実体
    5 爛熟した文明の経済的基礎
    6 悪徳・不正・浪費・奢侈・美食
    7 性解放・女性解放・知性と教養と文化
    8 ローマ帝国の衰退とは何か
    9 第三世界(「周辺」)への評価の岐れ道
    10 ローマはなぜ滅んだか

  • ローマが滅んだ理由について解説とおもいきや、それは半分くらいである。ローマ後半の爛熟と退廃を描き、衰退した理由を考えている。国家が長期に渡る時に異文化を取り入れることは必然であり、滅んだのはやはり必然なんだろうなと考えた。

  • 某所で見かけて。雑多な情報。

  •  タイトルから歴史的な内容かと思っていたが歴史を辿っていくのではなく一部を抜粋して特定の論旨に集中している。新書の紙幅では古代ローマの歴史を網羅するのは無理だろうし、絞ったことで伝えたいメッセージが明確になっている。
     ローマの道路から始まり、経済、格差、性、周辺などのトピックがある。漠然とイメージしていたことも間違いが多かった。ローマの支配はパクス・ロマーナと言われるように比較的平和なものかと思っていたが実際には酷い収奪、奴隷化だった。また元老院議員ら一部の爛熟、豪奢ぶりは想像を遥かに上回っていた。贅沢も極めると目も当てられないものになるのか。また性道徳も現代と比べられないほど乱れていた。男尊女卑が著しかった時代背景によって人々の常識も左右されていることは現代でも意識しなければそうなってしまう危険があるということだろう。今の日本が名目上男女平等を掲げているからそれが当たり前で正しいと思っているがそもそも世間が男女差別を当然としていたら自分もきっとそれに疑問をもたない。
     さらに現代で参考になるのはローマ(中心)と周辺の関係だ。本書では周辺が中心に進入し逆転する段階でローマは周辺を拒絶したころがローマ滅亡の要因だとしている。ローマ人のゲルマン人に対する蔑視は現在の日本人にとって身につまされる話だろう。
     ITでは韓国企業にパイを奪われ、GDPでは中国の後塵を拝している。この現状で彼らを敵と見做すのか、ともに歩むパートナーと見做すのか、ローマの歴史を通して見えてくるものがある。

  • 4061489682 238p 1990・1・10 4刷

  • 題名の質問がなぜ、常に問われるのか、から始まります。ローマ帝国の歴史における存在意味、そしてその現代に通じる普遍性(悪徳不正、飽食、性道徳の乱れの記載が生々しい)、ローマの経済大国ぶりなど面白く読みましたが、普通のローマ史を読むにはあまりふれていなくて、期待はずれになりそうです。

  • ローマのことについてこんなに深く学んだことはなかったので、参考になった。

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著者プロフィール

1924年、東京生まれ。東京商科大学(現・一橋大学)卒業。東京大学教養学部教授、フェリス女学院大学学長等を歴任。2006年没。著書に、『ローマ帝国の国家と社会』(岩波書店)、『ローマ帝国とキリスト教』『素顔のローマ人』『歴史家と歴史学』(河出書房新社)、『永遠のローマ』(講談社)、『歴史学入門』(東京大学出版会)、『ローマはなぜ滅んだか』(講談社現代新書)ほか多数。

「2020年 『地中海世界 ギリシア・ローマの歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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