統合ヨーロッパの民族問題 (講談社現代新書 1218)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061492189

作品紹介・あらすじ

ユーゴ内戦、チェコスロヴァキア分裂、国外ハンガリー人をめぐる国境問題…。「ヨーロッパ統合」へと向かう冷戦後の世界で、なぜ旧東欧は解体を続けるのか。「民主化」「市場化」を果したEUに加盟する日は来るのか。「統合」「ヨーロッパ回帰」をキーワードに、民族問題の本質を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 1994年刊行。著者は法政大学教授。◆21世紀で見れば、ソ連崩壊直後の中欧・東欧情勢は、現代的な問題意識醸成には直接役に立たないかもしれない。しかし、プラハの春やハンガリー動乱など、60年代の問題は前提知識として知っておく意味は高い。そういう意味でソ連崩壊後を叙述する本書も現代の問題意識の前提として知っておく意味は高い。◇本書はハンガリー、チェコ、旧ユーゴ等東欧・中欧諸国における政治問題、就中、民主主義の成立の可否について主に検討していく。

  • 筆者は東欧の民族問題は、社会主義のタガがはずれたためという説に疑問を呈している。筆者によると本質は彼らの「ヨーロッパ統合」への希求からだという。そして、欧米が西欧の価値観に基づいて一方に加担することが、対立に加担しているとも。
    筆者はユーゴスラヴィア紛争についてこう書いている。
    「ユーゴスラヴィアのなかで相対的に豊かで先進的なクロアチアとスロヴェニアが、セルビアやボスニアを切りすてるかたちで「ヨーロパ」への接近をめざそうとしたとすれば、セルビアの攻撃の客観的な分析と説明なしに、彼らの民族主義的で攻撃的な残虐性だけが一方的にメディアで報道されたことは、われわれが公正な思考と判断を養うことを困難にしたとはいえないだろうか」
    これは現在、混迷を極めているシリア内戦にもあてはまると思う。

  • 統合ヨーロッパの、と言っても
    東ヨーロッパを中心に据えた議論となっています。

    1994年のものなので今とは情勢は変わっているものの
    こういった諸問題は今も内部にはあるものだと思われます。

    また、こういった諸問題を乗り越えて
    現在のEUがあるということはもちろんひとつの達成であり、
    「現在のEU」よいのかどうかは別で議論されるべきですが
    アジアブロックにおける連帯についての示唆もあると思います。

    まぁ、地政学的な差がアジアでの連帯を
    やりにくくしているのがわかってしまったりも。

  • もっと東欧もみようぜ!っていうこと。

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著者プロフィール

青山学院大学国際政治経済学部教授。
著書等に
『21世紀 大転換期の国際社会 いま何が起こっているのか?』
(羽場久美子 編、法律文化社、2019年)、
『アジアの地域共同 未来のために
 東アジア共同体シリーズ 第3巻』
(羽場久美子 編著、明石書店、2018年)、
『アジアの地域協力 危機をどう乗り切るか
 東アジア共同体シリーズ 第2巻』
(羽場久美子 編著、明石書店、2018年)、
『ハンガリーを知るための60章 ドナウの宝石 第2版
 エリア・スタディーズ20』
(羽場久美子 編著、明石書店、2018年)、
『アジアの地域統合を考える 戦争をさけるために』
(羽場久美子 編著、明石書店、2017年)、
『ヨーロッパの分断と統合 
 拡大EUのナショナリズムと境界線 包摂か排除か』
(羽場久美子 著、中央公論新社、2016年)ほか多数。

「2021年 『移民・難民・マイノリティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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