リストラと能力主義 (講談社現代新書 1489)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061494893

感想・レビュー・書評

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  • [ 内容 ]
    リストラの「四つの誤り」とは何か。
    能力主義の致命的欠陥とは―。
    企業優先主義を排し、「自由と自己責任」の新雇用革命を提唱する。

    [ 目次 ]
    第1章 「日本型リストラ」四つの誤り
    第2章 日本的雇用システムの正体
    第3章 「人事部」は何をしようとしているのか
    第4章 「個人優先」の人事制度
    第5章 「自由と自己責任」の人事制度
    終章 反リストラの経営学

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    [ 参考となる書評 ]

  • 購入:2003年12月26日 読了:2004年1月6日 廃棄:2019年5月18日

  • 日本のリストラの問題点を指摘するとともに、これからの日本社会の進むべき道を示している本です。

    日本の会社では通常、社員は会社が決めた事業分野で会社が決めた仕事をおこなうことが求められます。そして、彼がうまく与えられた仕事をこなすことができるどうかは、仕事を決めた会社の責任なので、仕事の成果にかかわらず、雇用と一定の処遇は会社の責任で確保するというのが、日本的雇用慣行の仕組みでした。一方アメリカの雇用システムでは、職種ごとに採用がおこなわれ、どのような仕事に従事するかを個人が選んでその能力に応じた給与を受け取るのが普通です。つまり、旧来の日本型の雇用システムは企業優先・平等主義であり、アメリカ型の雇用システムは、個人優先・能力主義ということができます。ところが、不況下の日本の企業が推し進めた「リストラ」は、人事課をはじめとする企業の雇用管理を維持したままで、社員を能力主義によって選別し、さらには解雇するというものだと著者は指摘します。

    こうした日本型リストラは、社員の士気の低下を招くことを避けられず、これからの知的創造社会では通用しないと著者はいいます。そして、今後一人ひとりの社員が個人事業主に近い存在になっていくのではないかという見通しが示され、各企業は会社への忠誠心ではなく企業理念によって社員をまとめあげるような仕組みをつくる必要があると主張しています。

    「年収300万円」というキー・ワードを流行させた著者の本は何冊か読んだことがあるのですが、それらの多くは、リストラの問題点やそれに対処する方法を述べたものでした。これに対して本書では、これからの社会と企業の姿が描き出されており、著者の考え方の大きな枠組みを見通すことができたように感じました。

  • 目標管理制度は実際の処遇と結びつける面で致命的な欠陥を持っている。それは目標管理制度から決まる評価の大きさと、本人が稼ぎ出す付加価値の大きさをリンクさせることができないということである 自分が何のために生きているのか、一度しかない人生をどのように生きるのかを真剣に問い直し、自分自身の判断で自分の人生を再構築、すなわちリストラすることなのではないだろうか

  • 日本型の雇用形態は世界的に見てどうなのか、ということを真剣に考えてみれば、この国の将来をどうしようかという方向性が表れてくる。会社の経営をめぐる部下と上司の架空の会話が、なかなか面白く、問題の本質を考えるうえでよいサンプルになっている。

  • <著者の問題意識>
    ①安易なリストラを行う企業の方向性が間違っていること(コミットメントを失う)②企業は能力主義を導入する一方で個人優先主義を放棄していないこと(米国では能力主義かつ個人主義)③知的創造社会・情報化社会、技術の揺らぎが日本的雇用慣行を変えること(中間管理職は不要になる)④目標管理制度は機能しない(2段階で調整される、評価は付加価値にリンクしない)
    <著者の提案>
    ①大本営(役員会、人事部)は不要で個人とチームワークは両立できる
    ②レイオフを避け、賃金カット、「まだら定年制」を導入すべき
    ③「まだら定年制」、副業により個々の能力、創造性を高めるべき

    物語風にアレンジされており大変読みやすい本かと思われます。

  • 企業優先主義を排し、「自由と自己責任」の新雇用革命を提唱する。 著者・森永卓郎

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著者プロフィール

経済アナリスト、独協大学教授

「2022年 『楽しい!2拠点生活』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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