- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061498884
作品紹介・あらすじ
晋三、この本をよく読んでもう一度しっかり勉強するように。――祖父より
昭和31年3月16日、衆議院内閣委員会公聴会で展開された丁々発止の論戦。
知られざる白熱の議事録をここに紹介!
いったい新書の「新しさ」とは那辺にあるのか?
書き下ろしや語り下ろしだけが新書なのか?
そのどちらでもない「温故知新」の新書が1冊くらいあってもいいはず、否、あるべきだと考えます。
本書『50年前の憲法大論争』は、昭和31年(1956)3月16日金曜日に開かれた「第24回国会 衆議院内閣委員会公聴会」の記録です。意見を聴いた案件は「憲法調査会法案について」(法案提出者は時の自由民主党幹事長・岸信介ほか60名)。
公聴会に呼ばれた公述人は神川彦松、中村哲、戒能通孝の3人の碩学。質問したのは石橋政嗣、飛鳥田一雄、辻政信ら8議員。いまからみると、まさにオールスターキャストです。しかも改憲派、護憲派ともにガチンコの議論を展開。論旨はじつにわかりやすく、議場の緊迫した空気も伝わってきます。
白熱の論戦を読みやすく編集し、昭和史研究の第一人者である保阪正康氏の解説を付しました。法案提出者の孫が首相の地位にあり、憲法改正を念願していることを公言している現在、あえて新書のかたちで世に問う所以です。
感想・レビュー・書評
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その時代の国会の空気感を知るにはよい。改憲論議としては、賛成派の国際政治学者の議論がお粗末すぎて、合理的な議論をするための参考にはならない。当時の9条改憲の思惑が議論の焦点にならないよう避けつつ、改憲の議論を始める根拠を示そうとするから、こんなことになるのだろう。本書で一番印象的だったのは、巻末付録の衆院本会議議事録での下川議員の発言だった。戦争の記憶がまだ生々しく、自民党と社会党がどうしたって歩み寄れそうな感じがしない。そんなことを実感させてくれる。
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実際、この半世紀でまったく議論が深まってこなかったという点に衝撃を受ける。
新書の作り方として、この手もありなのかな、と。 -
本書は、昭和31年3月16日に開かれた「第24回国会 衆議院内閣委員会公聴会」の議事録である。内容は、憲法改正についてであった。当時は、サンフランシスコ平和条約が締結されたこともあり、独立を回復した我が国では憲法改正の機運が高まっていた。
公聴会であるから民間の公述人を呼んで意見を訊き、その意見に対して国会議員である内閣委員会委員が質問を加えるというスタイルである。、
この3人の公述人が凄いメンバーである。日本国際政治学の父とも呼ばれた神川彦松、近衛文麿のブレーンとして活躍した中村哲、特に入会の研究で名をなし後に公害問題で活躍することになる法学者戒能通孝。
おおよそ日本国憲法改正にまつわる論点の大きなものは、この公聴会で出尽くしている。そう考えるに足るほどの議論が展開されている。逆に言えば、こと憲法問題において、我々は50年前と何も進歩していないということか。
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50年前とは思えない、わかりやすさと緊迫感。これ以降、憲法論議が深まっていかなかった、というのもうなずける。おのれの生き様をひっさげて、議論に臨む姿勢は、どれも甲乙つけがたい。現在、改憲論議が盛んだが、ここまで体をはった議論はなかなか見られない。現在の改憲派も護憲派もどこか観念的、薄っぺらに思えてしまう。
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生身の議論が伝わってくる本。
個人的には護憲派の人達の法が理論がしっかりしてると思う。