- Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061580770
作品紹介・あらすじ
日本文化は、中国文化圏の中にあって、中国文化の強い影響を受けながらも、日本独自の文化を形成してきた。著者の日本文化を見る視点は、1つは中国の歴史の専門家として、もう1つは、日本人としての立場から、その本質をするどく洞察する。本巻には、「日本文化の独立」「香の木所について」ほか、現代日本を知るには、応仁の乱以後を知れば十分だと喝破する論文「応仁の乱について」など、余人では主張しえない秀れた8論文を収める。
感想・レビュー・書評
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著者:内藤 湖南
解説:桑原 武夫
装画:林 義子
底本:「日本文化史」in『内藤湖南全集』第九巻(筑摩書房)
【メモ】
・本の分量は少ないのに、なぜか分冊。
・青空文庫。
https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person284.html
【簡易目次 上】
まえがき(昭和五十一年九月九日 内藤湖南) [003-004]
目次 [005-007]
凡例 [008]
序文(昭和五年十月二十五日 著者記す) [009-010]
序(大正十三年七月四日すなわち西航前二日 内藤虎次郎) [011]
日本文化とは何ぞや(その1) 015
日本文化とは何ぞや(その2) 025
日本上古の状態 033
近畿地方における神社 043
聖徳太子 072
飛鳥朝のシナ文化輸入について 086
古写本日本書紀につきて 094
唐代の文化と天平文化 100
弘法大師の文芸 140
平安朝時代の漢文学 180
日本の肖像画と鎌倉時代 192
【簡易目次 下】
目次 [003-005]
凡例 [006]
日本文化の独立 009
香の木所について 038
応仁の乱について 061
日本国民の文化的素質 088
日本文化の独立と普通教育 108
大阪の町人と学問 126
維新史の資料について 139
日本風景観 147
解説(桑原武夫) [168-178]詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
内藤湖南は、秋田県鹿角出身。
東洋史が専攻で京都大学教授。
本著は講演会を書き起こししたものなので読みやすい。
中国史との比較において、日本史、特に南北朝、室町時代を日本史の起点とする考え方は興味深い。
以下抜粋~
・こういうことで日本がシナに対して気焔を吐くことが蒙古襲来以来流行って来たのであります、これはつまり日本の根本の文化の独立が出来上がったからだといってもよいと思います。これはちょうど蒙古襲来というときが後宇多天皇の始まりでありまして、そしてこの懐良親王の手紙が後亀山天皇のときでありますから、ともかく外国に対する思想の独立、文化の独立というものが大覚寺統を一貫して終始しておるといってもよいのであります。
・聞香のことが行われるようになったのは、いつの頃からであるか。徳川の中世に香に関する多くの著述をした大枝流芳の記するところでは、南北朝時代の佐々木道誉をもって元祖とするようにいい、降って東山将軍義政もこれを好んだ。
・大体歴史というものは、ある一面から申しますると、いつでも下級人民がだんだん向上発展して行く記録であるといっていいのでありまして、日本の歴史も大部分この下級人民がだんだん向上発展して行った記録であります。その中で応仁の乱というものは、今申しました意味においてもっとも大きな記録であるといってよかろうと思います。一言にしていえば、応仁の乱というものの日本歴史におけるもっとも大事な関係といものはそこにあるのであります。
・応仁の乱以降はわれわれの真の身体骨肉に直接触れた歴史であって、これをほんとうに知っておれば、それで日本歴史は十分だと言っていいのであります。
・それから一つはその当時の公卿などの生活状態から来たのでありますが、公卿の生活状態が困難なところからして、神社とか寺院とかが一般の信仰によって維持されることを考えたと同じように、公卿もなにか自分の家業によって生活する道を考えるようになって、そこにいろいろな伝授をするということが起こりました。
たとえば『古今集』などの伝授をすることによって生活するようになったのでありまして、これはよほど面白い考えであります。 -
東洋史学者・内藤湖南の講演録。日本と中国の文化を比較研究し、快活な語り口で日本文化の本質に切り込んでいる。いい本ですね。
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言わずと知れた内藤寅次郎大先生の著。