とりかへばや物語(2) 夏の巻 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
3.53
  • (3)
  • (6)
  • (9)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 71
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (150ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061582941

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 宰相の中将は、ただの能天気な平安男子です。中納言(女)は、両性の視点から、この男の調子こいてる本心を冷静に冷酷に見切っていて、ゾッとするほどです。

  • 平安時代後期に成立した作者は不詳の物語です。関白左大臣の2人の子供が、男児は「姫君」として、女児は「若君」として育てられることとなったことから始まる物語です。最近だと「君の名は。 」の着想のヒントになったと話題になっていました。本巻では男装していることが宰相中将にバレた上に姫君中納言が妊娠してしまうという衝撃の展開が描かれます。最初は「男」としてふるまうことに重きが置かれていたが、本巻では「女」としてふるまっているような描写が多くなっています。どこまでも理性的な姫君中納言に対して、宰相中将の軽薄さが…。

  • 二巻は、中納言(実は女)と結婚した四の姫が妊娠出産し(相手は宰相中将)、それどころか中納言も妊娠してしまう(これも相手は宰相中将)ところまでが書かれています。男装している女だという秘密がばれてしまった中納言は悩み、死を意識します・・・

    かなりハチャメチャなストーリー展開。教科書ではあまり扱わないわけだよね。
    面白かったのが、「鑑賞」のところで訳者が「この章は同じ言葉を繰り返し使いすぎ、文章がヘタ」とか、「こういうシーンは源氏物語であれば、こんな描写で読者を楽しませてくれるのに、ここでは深みがない」みたいな辛口批評がけっこうありました。キビシイな~(笑)

  •  1巻目に続いて、一気に読み終わった。
     ただ、前巻よりも更に言葉の装飾が華美(過剰?)になっていて、少々読み辛くなっていたような気もしないではないですが。

     うん…何だか現代でも、一部の乙女さん達が、キャッキャ言いながら読んでそうな内容になってきましたね。
     現代のマンガとかでも有り得そうな展開に、ちょっと当時の読者層を想像してしまい、親近感が沸きました。
     きっと貴族のお姫様方も、こっそり仲間内で読み漁ってはキャッキャv言ってたんじゃないだろうか…

  • 結局友人の力を借りて一気に買い揃えてしまった。訳文を担当した人の作品への本音が垣間見えるのが面白い。
    二巻は男君がその正体を宰相中将に知られてしまうくだりまで。最初に現代語訳を読んだ時も思ったが、宰相中将はいい加減で移り気で、その振る舞いには怒りに似たものすら感じる。そもそも、押し倒してみて初めて女だと分かったということは、(内心どこか疑っていたとしても)それまではあくまで男だと信じていたのだろう。友人である男性を押し倒していきなり行為に及ぶとは……綺麗ならばどっちでもいいのか?

全5件中 1 - 5件を表示

桑原博史の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×