- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061585683
作品紹介・あらすじ
明治維新史を彩る橋本佐内が、若くして著した『啓発録』は、自己規範・自己鞭撻の書であり、彼の思想や行動の根幹を成す。書簡・意見書は、世界の中の日本を自覚した気宇壮大な思想表白の雄篇である。
感想・レビュー・書評
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橋本左内先生の発言録のような内容。原文はなかなか読むのに苦労するが訳文だけでもその熱量と思考の深さ、広さは十分に伝わってくる。
1.啓発録
15歳の時に記した決意表明。15歳ならではの熱情、エネルギーを感じる言葉。大事にしたいと思うフレーズが満載。
2.書簡、意見書等
福井のド田舎で生まれ育ち、大阪、江戸で学びを深めたとは言え20歳そこそこの若者が、訪れたこともない世界の大局観を論じ、未来を予測する、一体彼には何が見えていたのだろうか?
定期的に戻ってきたくなるモチベUP本としても大事にしたい一冊。寅年のスタートによき出会いでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2017.08.27 『13歳からの道徳教科書」からの選書
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この人が生きておられれば…という本。
十代の頃に書き表した啓発録は、
三十代の人間が読んで確かに…と唸らせ、
ペリー来航後に書かれた意見書は、
明治になってから伊藤博文らが
直面した問題を的確に指摘している。
もし安政の大獄で生命を落とすこと無く、
彼の意志が理解されていれば…という想像は楽しいが、
彼のような人物が言論弾圧により処刑されてしまった
という事実が、国内の平和を再優先させた
幕藩体制では産業革命以降の世界情勢に
対応出来なかったということなのかも知れない。 -
この年末年始、偶々左内の書を座右に。いつ紐解いても新鮮な風が吹いてくる。中学三年か高校一年あたりで『啓発録』と出会うと、人生がもっとしなかやかになるのでは。
戦前の女学生向けの教科書に『女子鏡』というのがあります。橋本左内の母について書かれている文が印象的で、一度読むと忘れられません。機会があれば是非。
では漢詩をひとつ。
雨声虫叫 乱れて紛々
孤客 家を思ひて 聞くに耐へず
未だ継がず箕裘先考の志
寒燈挑げ尽くして洋文を読む -
素晴らしい。
私も今日から稚心を去り、気を振るい、志を立て、学に勉め、益友が得られるように努力したい。 -
最高の本のーつに出会えた!人物は知っていたが、なぜ歴史に名を残した人物であったのかは、今まで知らなかった。幕府中心に世界の強国に、ごす体制を構築しようと、具体的な構想を持ち活躍していたのに、くしくも、その幕府の手により消されてしまった。
この人の見識は、結果をしっている我々を驚かす精度。開国されてもいないあの時代に、ここまで見通すことができるなんて天才としかいえない。100年うまれるのが早かった人だと思ったが、西郷さんの思想に影響を及ぼしていたということであれば、ある意味、維新のたて役者といえると思った。幕府の中枢にこの人を使える人物がいたら、歴史は、かわっていたんだろうな一。
この本は、時期がきたら必ず子供達に紹介しよう。
安政の大獄がなかった時代設定で維新を描いた小設、かいてみたいな!
すでにあるなら読んでみたい。 -
夏休みの宿題①
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江戸時代の候文を初めて原文に近い形で接した。慣れると大意はつかめるものだ。切々と訴えかける上奏文。噛みで含ませるようにじっくりとまわりを埋めて核心に迫るような文体にはまどろっこしさも感じたが、左内先生の穏やかで決して気色ばむことなく堂々と意見を述べるお人柄がそのままに表れているようだ。早すぎる死が大変無念という人物であった。