経験と教育 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061596801

作品紹介・あらすじ

子どもの才能と個性を切り拓く教育とは?子ども自身の経験が好奇心を喚起し、独創力を高め、強力な願望や目的を創出し、能動的成長を促す。経験の連続性と相互作用という二つの原理を軸に、経験の意味と教師の役割を深く分析した本書は、デューイの教育思想を凝縮した名論考であり、生きた学力をめざす総合学習の導きの書でもある。

感想・レビュー・書評

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  • 薄いのに、重かったー。
    ゆっくり読まなければ理解出来ないのは、文末までいかないと「ある」か「ない」かが分からないからだと思う。
    肯定的に読んでいると、最後に「とは言えない」みたいにバーンとひっくり返されるので、えぇっ!?ってまた一文を読み返すという。

    今こそデューイ、と思って読んでいる。
    周りには、デューイといえば経験主義、となって、極端に言えば「活動あって学びなし」的に考えている人もいるように思う。
    学びとは、単に生活の経験をさせればいいだけなら、正直学校は要らないんでは。
    そうではなく、生活しているだけは手に入れられない理論や見方を踏まえて、自身の経験を観察出来る所に教育の価値はあるのではないかしら。

    というわけで。
    伝統的な教育に対して、新しい方向に教育を進めていこうとする方が先生は大変なのよ!とデューイはちゃんと述べている。

    教科書をただ知識として教えて、大人としての権威を振りかざし、単に思考の束縛をすることは、ある種、先生も考えなくていいわけだものね。
    社会が先生と生徒という図式はそういうものだという後ろ盾を担ってしまったら、ますます、その構図から変わることは難しい。

    経験をどう教材化するのか、そして子どもたちの経験に対して教師はどんな知を与えられるのか。
    それを発達段階を含めた、「成長」という連続的な学びからアプローチするとはどういうことか。

    成長って正だけではなく負の方向もあるわけで。
    じゃあ、教育は負の成長に対してどうすることが出来るのか。

    また、経験が大事!といって、現在と将来を安直に結ぶものではない。
    反対に、ただただ過去の出来事を現在から切り離して、静かに埋没すれば良いものでもない。
    教材は過去に基づいて作られたものがほとんどだが、過去と現在が共通して抱えた課題、それは未来にも考えなければならない問題として迫っている。

    今で言う「真正の問い」を教材を通して如何に問いかけ、子ども自身の生活の中に位置づけていくか。
    それを考えた時、教師は単に彼ら彼女らの成績や素行にだけ気を配っておけばいいわけでなく。
    生涯に向けての態度を日々「成長」させているのだという責任感が湧いてくるような気になる。

    現在、デューイ著作集が刊行されている最中なので、新訳で読めそうならリトライしてもいいかなーと考え中。

  • 経験の再構築論、相互作用論にハートをつかまれました。
    ソーシャルワークの領域で大切にしてきたことが、がっつり重なります。

    個人の経験を、社会とつなぐこと。

    もっと読み込んで、自分の中に染み込ませたいです。

  • 要するに教師が積極的な指導が生徒の主体的な経験の獲得に繋がる、ということか。
    特に衝動から目的が形成される過程とその中で教育者が担うべき役割に関する記述は興味深かった。
    経験が個人の変化に与える影響に関する考え方も面白い。

    ただ筆者の元々の文体が回りくどいのか、訳がまずいのか(それともその両方か)で非常に読みにくい(苦笑)
    あと抽象的な議論に終始しているので、具体例に当てはめて言いたいことを明確にイメージしながら読み進めていったのもあり、ページ数自体は少ないのに結構読了に時間がかかってしまった。

    内容自体は面白いので特に学校教育に携わる人は読むと勉強になるかも。

  • 経験を基盤とした教育論。手段と目的、科学的論考、自由についての論考など、日本の教育界が欠いているポイントをついており、とても興味深い。ただ、デューイの文章がくどいのと、それ以上に訳文がまずいのでとても読みづらかった。文末にならないと意味が分からないのは、とても辛い。20〜30年前によく見られた直訳、悪訳でした。

  • とても重要なことが書いてあると思うのだけど抽象的な議論が続くのでちゃんと理解するまでは至らず。難解、というか日本語訳の言い回しが独特というか、でもそもそも原著がそうなのか(訳者あとがきより)。第7章になってやっと少しわかってきたかも。3回ぐらい読み直すか教育学部でデューイ読んだ方に解説をお願いするか。

    訳者あとがきを読むと、総合的学習の理論書と呼んでいる意味はよくわかる。

    原書“Experience and Education”は1938年らしく、すごすぎるな(日本語訳 1956年,この文庫版は2004年)

  • この本をまだ完全には理解できていないように思う。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/66620

  • 極めて本質的で古びないことを主張している。「学習者個人と社会との両方の目的を達成するための教育は、経験ーそれはいつでもある個人の実際の生活経験ーに基礎づけられなければならない。」

  • 「教育とは知識を教えることではなく経験から学ぶこと」というデューイの教育哲学が書かれています。ワークショップを学びの仕掛けとして行う実践者へのエールのようにも感じられます。

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著者プロフィール

合衆国バーモント州バーリントン市生まれ。父親は食料品販売会社を経営。バーモント大学卒業後、高校教師を数年務める。ジョンズ・ホプキンズ大学院に進み、徹底したヘーゲル主義者として哲学者の道を歩み始める。教育学・心理学の研究を深めるなかで観念論を脱却する。教師として赴任したミシガン大学で1歳年上の学部生アリス・チップマンと出会い、1886年に結婚。同年、哲学科助教授に昇進する。招聘されたシカゴ大学で哲学科と教育学科の主任教授を兼任。実験学校=付属小学校の創設を主導したが、校長アリスの処遇をめぐる対立から妻と共に退職。翌1905年、コロンビア大学哲学科教授に就任。05~06年、アメリカ哲学会会長。19~21年、日本・中国に滞在。第1次大戦後、戦争禁止=違法化運動に参加。24年・28年大統領選挙で第三党候補者を支持。27年、アリス夫人逝去。翌年、ソヴィエト・ロシア教育事情視察団に加わり肯定的な印象記を残すが、体制の官僚化・全体主義への傾斜に疑問を深め、修正した。29年、独立政治行動連盟の初代会長。38年、モスクワ裁判検証・調査委員会の委員長に就任し、レオン・トロツキーの反革命容疑無罪を立証する。翌年、文化自由委員会の委員長。全体主義批判はソ連邦にもおよび国内左派の猛反発を招く。第二次大戦に反ファシズムを掲げて参戦したルーズヴェルト大統領を支持する。46年、ロバータ・ローウィツ・グラントと再婚。90歳を超えても旺盛な執筆活動は衰えなかったが、52年6月、肺炎で亡くなった。

「2024年 『デューイが見た大正期の日本と中国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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