- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061598089
感想・レビュー・書評
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA81106872
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[ 内容 ]
霊長類が長い進化史を通じて採用してきた遊動生活。
不快なものには近寄らない、危険であれば逃げてゆくという基本戦略を、人類は約一万年前に放棄する。
ヨーロッパ・西アジアや日本列島で、定住化・社会化はなぜ起きたのか。
栽培の結果として定住生活を捉える通説はむしろ逆ではないのか。
生態人類学の立場から人類史の「革命」の動機とプロセスを緻密に分析する。
[ 目次 ]
第1章 定住革命
第2章 遊動と定住の人類史
第3章 狩猟民の人類史
第4章 中緯度森林帯の定住民
第5章 歴史生態人類学の考え方―ヒトと植物の関係
第6章 鳥浜村の四季
第7章 「ゴミ」が語る縄文の生活
第8章 縄文時代の人間‐植物関係―食料生産の出現過程
第9章 手型動物の頂点に立つ人類
第10章 家族・分配・言語の出現
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ] -
簡単に言うと、人類発祥時点からの割合で考えると、狩猟などの遊牧している期間のほうが長く、稲作などによる定住というのは革命的な出来事なんですよ、という本。タイトルまんまです。
遊牧っていいよね!となるけれど、実際問題、これだけ人口が増えると、狩猟でまかなえる訳もなく、うん。そこが切ないな。
そして類人猿や人類の先祖にまで話が行き、今の社会まで手が伸びるんだけど……だんだんノリになってません? となる。読み物としては面白い。 -
第1章 定住革命
第2章 遊動と定住の人類史
第3章 狩猟民の人類史
第4章 中緯度森林帯の定住民
第5章 歴史生態人類学の考え方
第6章 鳥浜村の四季
第7章 「ゴミ」が語る縄文の生活
第8章 縄文時代の人間‐植物関係
第9章 手型動物の頂点に立つ人類
第10章 家族・分配・言語の出現 -
人類の歴史に置いて長く続いた遊動生活が有益なものと考える立場から、それが破たんしたために定住を始めたという発想の転換がおもしろい。農耕を行わずに定住する社会の多くが魚類資源に依存した生活を行っており、定置的な漁具を発達させている。魚類資源は陸上動物よりも生産量が大きく、年間を通した漁獲が期待できる。定置漁具は必要な労力が少なく、魚類の危険性も少ない。水産資源の利用が定住生活の出現に重要な役割を果たした。
・ヨーロッパでは、後氷期の森林拡大とともに遺跡が海岸部に集中する。
・氷期が終わり、中緯度地帯に森林が拡大し始めると、ユーラシア大陸の各地に定住集落が現れ、魚類資源の利用、ナッツの利用、食糧の大量貯蔵を伴っている。
・西アジアの地中海沿岸部で水産資源と野生穀物の利用が出現した後、内陸部で最初の農耕集落が出現する。
・5世紀中頃、大阪の泉北丘陵一帯で日本で最初の大規模な焼き物生産が始まった。 -
先の『暇と退屈の倫理学』の参考文献の一つ。著者は、農耕の開始→定住の開始という、我々が教科書で習った通説を否定し、定住の開始→農耕の開始としている。本書のポイントはこの一点に尽きるだろう。
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「不快なものには近寄らない、危険であれば逃げていく。この単純極まる行動原理こそ、高い移動能力を発達させてきた動物の生きる基本戦略である」
「遊動生活とは、ゴミ、排泄物、不破、不安、不快、欠乏、病、寄生虫、退屈など悪しき者の一切から逃れさり、それらの蓄積を防ぐ生活のシステムである。移動する生活は、運搬能力以上のものを持つことが許されない。僅かな基本的な道具のほかは、住居も家具も、様々な道具も、移動の時に捨てられ、いわゆる富の蓄積とは無縁である。」
「一方、定住生活とは、これら一切を自らの世界に抱える生活システムである。この生活を維持するには、ゴミ捨て場を定め、便所を作るなどして環境汚染を防止しなければならない。フワや葛藤、不安の蓄積を防ぎ、すみやかに解消するために社会規範や権威が要求され、、、」